テレビが作る「実績」は本当の実力なのか?

NBC長崎放送が制作した番組に地域情報バラエティ「げなパネ!」がありますが、この番組は静岡県出身の漫才コンビ「トータルテンボス」の冠番組で、現在はネット配信の「TVer」で見ることができます。私が見た回は同じ漫才コンビで茨城県出身の「カミナリ」がゲストで出演していて、現在のお笑いについての興味深いお話をしていたのを見させていただきました。

「カミナリ」は今回紹介する「ものまねグランプリ」にも出場した漫才コンビ「霜降り明星」とは事務所は違うものの活動年数も近く意識するのだそうで、そんな霜降り明星の事を「吉本の宝」という風に表現していました。当然ライバル心もあるでしょうし、露骨に贔屓されることについての不満もあるでしょうが、「げなパネ!」の中ではそんな感じは一切出さず、実に立派な態度だったと見ていて思いました。

番組の感想に先立って直接は関係ない「げなパネ!」の話題を出したのは、お笑い界だけでなくテレビの世界でも番組制作に大きな影響を与える大手芸能事務所の「吉本興業」の意向を考えずして人気バラエティの制作が難しいのではないかという疑念があります。

そこで改めて漫才コンビの「霜降り明星」の活動実績について見ていくと、今回の「ものまねグランプリ」では見事チャンピオンに輝いたわけですが、これで漫才の「M-1グランプリ」、ピン芸のコンテスト「R-1ぐらんぷり」でメンバーの粗品さんがグランプリ受賞と、今回のものまね芸でのグランプリと合わせて「三冠」を取ったというまさに「吉本の宝」とカミナリやトータルテンボスに言わしめたことがお世辞ではない活躍ぶりです。

しかし、番組を直接見た方ならおわかりでしょうが、生放送でなく録画番組で、決勝の際に審査員全員が「霜降り明星」に一位の点を付けてのぶっちぎりのグランプリ獲得に、他の決勝進出者との比較で、審査結果に疑念を持った方も少なくないのではないかと思います。

「ものまねグランプリ」に限らず、新たなスターが出現した場合、いかにその人気を上げるように忖度するかということは別に番組がオリンピックなどの見ばえとは関係ない真剣勝負でなければ、十分演出の範囲であるように思えます。人気を上げたいと思っている人をドラマの主演にキャスティングすることは「やらせ」でも何でもありませんし、見たい人だけが見ればいいわけなので、今回のグランプリ受賞もそうした考えの延長線上にあったものなのかも知れません。

結果としてこうしてできた「実績」は後々まで残り、最初に紹介したように「霜降り明星」は「漫才」でも「ピン芸」でも「ものまね」でも面白いという大きなイメージが形成されます。そうしたイメージを利用して「霜降り明星」のお二人が今以上の実力を発揮することで名実ともに「吉本の宝」となっていくのか、そのイメージに押し潰されてしまうのか大変気になります。

もし私が「霜降り明星」のファンだったら、そこまで色々な事に手を出して受賞歴を増やす事よりも、地に足をしっかり着けて漫才の面白さとテレビでのフリートークの面白さ、さらにロケ回しのうまさを身に付けてずっとテレビで活躍することができるように頑張って欲しいと思うのですが。今後彼ら二人が、「何でもできる芸人」として無茶振りされて滑ってしまった場合、相当お二人にとってのダメージが増えてしまうのではないかと心配になったりします。大きなお世話と言われればそれまでですが、霜降り明星のお二人には、くれぐれもテレビに潰されることのないように、苦言を言ってくれる方を大切にして活動していって欲しいと思います。そして番組に出演したものまね芸人の方についても、今回の結果については悲観せず、次回こそグランプリを取れるように芸道に精進していって欲しいと思っています。

(番組データ)

ものまねグランプリ特別編 ものまねレジェンドが選ぶ次世代ものまね芸人No.1決定戦
2019/05/07 19:56 ~ 2019/05/07 22:54 (178分)日本テレビ
【MC】ネプチューン
【進行】郡司恭子アナ、笹崎里菜アナ
【出演者(審査員含む)】コロッケ、神奈月、ホリ、福田彩乃、荒牧陽子、山寺宏一、アンガールズ、横澤夏子、椿鬼奴、古賀シュウ、イジリー岡田、やしろ優、Mr.シャチホコ、平野ノラ、沙羅、メルヘン須長、山田七海、チョコレートプラネット、朝日奈央、霜降り明星、祭nine.、関根勤、井森美幸、ビビる大木、上白石萌音、池田美優、加藤ナナ、廣瀬智紀

(番組内容)

ものまねレジェンドが感嘆!進化した芸を見逃すな

▽霜降り明星ものまね連射漫才
▽チョコプラ大坂なおみVS和泉元彌
▽歴代朝ドラ主題歌を山田七海が激似熱唱…上白石萌音絶賛
▽CD店QUEENがすべて神奈月になったらバレる?バレない?
▽3年A組菅田将暉が蘇る?▽祭nine.のTT兄弟とは?
▽平成30年名曲45組で20分ノンストップメドレー!ものまねを止めるな
▽広瀬すず、佐藤健、山崎賢人…見た目そっくりさん


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思った事を包み隠さず言葉にする子どもの恐さと凄さ

まず、最初に苦言を呈しておきますが、この番組をなぜ今になって紹介するかと言いますと、私の住む静岡県では2月2日に放送されず4月30日午後の放送になったからです。改めて番組の内容を詳しく知りたいと思って番組のホームページにアクセスしたところMCのサンドウィッチマンと芦田愛菜さんの名前は出てきたものの、番組に出演した「博士ちゃん」の子どもたちの名前については一切紹介されていなかったというのはどういう事なのでしょうか。

今回出演したお子さんたちの中で、このブログで取り上げたいのは番組データにある(1)の美空ひばりをこよなく愛する超歌うま11歳少女だったのですが、この子がどういう方なのかということが、公式ページからでは調べられないというのでは、この番組をきっかけにして何か興味を持ったテレビを見ていたお子さんの可能性まで潰してしまうといったら言い過ぎでしょうか。テレビに出て顔と名前を出しているならば、せめて番組を紹介したページについてはきちんとしたデータを出すべきではないかと思うのです。

ただ、番組名とキーワードでさらに検索を掛けると、やはりテレビに出たり多くのコンテストに出て歌っている子だけに、他の子と比べると比較的簡単にその名前を見付けることができました。梅谷心愛さんというのが11才の少女の名前でした。テレビの「歌唱王」「カラオケバトル」といった素人の歌唱力を競う番組にも出演している、将来の歌手を目指している子です。ひいおばあちゃん(だったと思います)の影響で美空ひばりさんの歌に惚れ込み、当時の流行歌を聞き自分でも歌い、その歌唱力もかなりのものなのだそうです。

ちなみに私自身の美空ひばり体験というのは、もはや大御所としての存在だった時期からしか知らないため、身内の不祥事によって紅白歌合戦を辞退した時のイメージが長いこと強く、当時ニューミュージックと呼ばれるジャンルに勢力を縮小しつつあった「古くさい演歌歌手」という感じで考えていたので、その歌手としての凄さというのは大人になるまでわかりませんでした。ひばりさんの魅力というのは、心愛さんと同じくらいの小さな頃から歌手だけでなく女優としてもデビューし、その子どもに思えないほどの歌唱力をもって歌った様々な歌の魅力があります。

それこそ昔は「悲しい酒」のような曲調のものしか知らなかったのですが、それは大きなる認識不足で、それこそ素人がおいそれとカラオケで歌えない曲の数々に驚愕し、改めていろんな時代の曲を聞き直した私からすると、心愛さんが番組で紹介した「美空ひばりのすごい曲」として取り上げるのは何かのかちょっと興味が湧いたのでした。

結果として紹介されたのは「お祭りマンボ」「ひばりの佐渡情話」「人生一路」という、11才の少女から出てくるにはちょっと考えられないような曲の数々でした。さらに、美空ひばりの代表曲とされる「川の流れのように」に一切触れなかったというのも本当に美空ひばりの歌について良くわかっていると思われる事でした。

ただ誤解してほしくないのですがここで私は「川の流れのように」をディスっているわけではありません。この曲は、素人がカラオケでもそれなりに歌える曲で、ひばりさんが演歌に興味を持ちにくい若い人にも興味を持ってもらえるようにと、ひばりさんの最晩年に作られた曲であり、ひばりさんの代表曲の一つには違いありません。こちらで想像するに、すでに美空ひばりさんの多面性のある歌の魅力を知ってしまっている心愛さんにとって、ひばりさんが若者の側に寄せた曲である「川の流れのように」とは別の方向の「本当にすごいと思う曲」を出してきたのではないかと思われます。

ちなみに、著書に「美空ひばり」があり、生前には「ひばりウォッチャー」とも言われたルポライターの竹中労さんが選ぶ美空ひばりの曲のベストの中の一つとして挙げた曲こそ「ひばりの佐渡情話」だったのでした。さすがに心愛さんが竹中労さんの書いたものを詳しく読んだことを根拠に番組内で挙げたとは思えず、自分で美空ひばりさんの曲を歌うことによってその凄さを感じたからこそ「ひばりの佐渡情話」が出たのだと思いますし、相当美空ひばりさんの曲を聴き込んでいることが想像できました。

今の世の中はYou Tubeで過去の映像を簡単に見ることができるようになりましたし、昔の人・今の人に関係なく、子供の心で本当にすごいと思ったものが評価されるような事にこれからはなっていく可能性をこの番組を見て感じるとともに、とってつけたような知識では、感性の強い子には単にバカにされるだけだということも感じた次第なので(^^;)、私自身ももう少ししっかりとTV番組について書いて行こうと思い直しているところです。

(番組データ)

サンドウィッチマン&芦田愛菜のぶっつけ教室 博士ちゃん テレビ朝日
2019/02/02 14:55 ~ 2019/02/02 16:25 (90分)
【出演者】サンドウィッチマン 芦田愛菜

(番組内容)

大人顔負けの知識を持つ子ども博士こと“博士ちゃん”が サンドウィッチマン&芦田愛菜の質問に答えまくる 黒板も教科書も使わない“ぶっつけ本番”の即興授業! 単独ライブで客席の子どもをステージに上げて 即興トークを繰り広げているサンドウィッチマンが “博士ちゃん”をイジリながら教えを請う爆笑教室!
登場する博士ちゃんは…

(1)美空ひばりをこよなく愛する超歌うま11歳少女
(2)最年少で取得!世界遺産マイスター中学生
(3)マイナー野菜激アツプレゼン10歳男子
(4)日本一の金魚すくい兄弟


番組スタッフのせいでタレントの立場が悪くなるケースも

この番組MCの生瀬勝久さんは、過去にスタッフと司会者の板挟みになり、現在も大人気のバラエティ「探偵ナイトスクープ」(ABC朝日放送)を降板せざるを得なくなった経験のある方であることを番組を見終って思い出しました。

当時は番組降板だけでなく芸能界からも干されていたという事ですが、その原因というのは今から考えると番組に送られてきた一つの依頼に応えて彼が調査し、その内容を発表したことが当時の司会者だった上岡龍太郎氏の逆鱗に触れたのでした。依頼の内容は日本が戦った戦争のとある部隊は俗謡に出てくるような「特別に弱い部隊」だったのかということを調べるというもので、生瀬氏は自らの意志というよりスタッフから依頼を受けて当時の事を調べVTRで発表し、締めの言葉を言ったのが運命の別れ目でした。

私自身は当時の番組を見ていないのでどちらが悪いのかということはわかりませんが、一つだけ言えることは生瀬氏はスタッフからの支持に基づいてロケに出て、スタジオで喋ったわけで、もし生瀬氏自身の物言いや態度が上岡氏の気に入らなかったとしても、上岡氏が怒りの感情を向けたのは生瀬氏に100%ということではないでしょう。上岡氏はその後も探偵個人ではなく、スタッフの中途半端な調べ方(結論を引き出すことなく尻切れトンボのようにVTRを終わらせるような依頼もあった)をした際にはスタッフに向かって切れた様子をそのままオンエアさせたこともありました。

そうしたことを総合して考えると、生瀬氏が探偵の座を追われた事については当時のスタッフの方にも非があると考えられるので、たとえ一時的にせよ生瀬氏がテレビに出られない時期があったことについては、当時のスタッフは生瀬氏に対してきちんとした謝罪なり落とし前をつけたのか? ということは今でも気になっています。そんな中、同じ生瀬勝久氏がMCを務める番組で、出演しているタレントさんとは関係ないところでどうにも気になる点を見付けてしまったのでした。

VTR出演され、スタジオにも登場したのはお笑いコンビの「アイデンティティ」のお二人で、このブログではTBS系「オールスター後夜祭」において見浦彰彦さんがクイズで最下位になったことで今後同番組に出入禁止になってしまったといういわくつきの方々です。まあ、この件についてはご本人にもそれなりの覚悟が有り、スタッフの介在するところではなかったと思いますのであくまで「自業自得」扱いで、見浦さんに対してはこの件で逆に知名度を上げて頑張って欲しいと思っていたのですが、わざわざそんな時に今回紹介しなければならないような事が起こるとは思いませんでした。しかし、今後のテレビのバラエティ番組の事を考えると、いい加減な情報を出しっぱなしでは困るのであえてここで指摘させていただこうと思います。

問題にしたいのは番組前半で放送された「1000円の中古車でドライブ!?」というネタです。番組で登場した埼玉県桶川市の中古車販売店について、自動車販売のネットで検索したところ、1000円どころではなく車両本体価格1円という中古車の値付けをしている販売店だということがわかりました。

番組を見ていた方の中には、本当に1,000円しか出さないで車に乗れるのか? と誤解をした方もいたかも知れませんが、この点については番組では業者さんにきちんと購入する場合の金額を聞き、税金や自賠責保険や諸経費が70,070円になるということを、一瞬ではありますが画面で紹介していました。

ただ、この番組についてネットでまとめている方のホームページを見たら、番組では一瞬しか映らなかった購入時費用の内訳をじっくりと見ることができ、これは大きな問題をはらんでいるとピンと来たのです。

販売店が車に付ける価格というのは、中古車の場合は1円でも1,000円でもいいのですが、実際にナンバープレートが付いて自走できる状態になっている場合、本体以外の別の費用がかかっているので、その分の費用負担が必要になります。番組の紹介では、その車は17年落ちの走行距離が9万キロくらいのスズキ・ワゴンR(軽自動車)で、バンパーが取れかかり、回りは傷やヘコミも多く、車内についても前オーナーが乗ったままの状態で、金目のものであるかも知れないオーディオすら取り外されているような車でした。番組ではそれでもナンバープレートが付いていて、車検はわずかに残っているというような説明の仕方だったので車両本体価格が1,000円だったら、残りの費用の内訳はどうなっているのか気になりました。以下に番組で紹介された1,000円の車の購入時の費用内訳をそのまま書き起こしてみます。

(ここから引用)

【車両本体価格】  1,000円
【自賠責保険料】 25,880円
【重量税】     8,800円
【登録代】     1,480円
【リサイクル料金】 8,910円
【車両管理費】  24,000円
合計70,070円

(引用ここまで)

もっともらしく書いてあるのですが、気になったのは3点あります。上記の【自賠責保険料】は軽自動車の25ヶ月間の保険料になっていて、【重量税】についても17年落ちの軽自動車の2年分の税金の額になっています。番組の説明からするとなぜ車検の残り期間が少ない車を購入するのに前のオーナーが車検を通す時に支払った諸費用を負担しなければならないのでしょうか?
また最後にある【車両管理費】についても、納車前に整備をしていない事が前提の企画であることを考えると(ナンバープレートが外れないように固定したという説明は番組内のナレーションでありましたが)、これだけの金額を請求される根拠がはっきりしません。

番組の企画で「1000円の中古車」という事実ありきの面白VTRを作っているのですから、もしかしたらきちんと整備して納車しているのにわざと古い車の状況を誇張して騒ぐ「やらせ」をしている可能性もありますし、スタッフが車の購入金額の内訳も良く知らないのに業者に確認もしないでそのまま電波に料金内訳を乗せてしまった事で、この業者に関する視聴者のイメージが悪くなる可能性も出てきます(この内訳が本当だったら、利用してもいない車検費用を取られていると思われても仕方がありません)。

可哀想なのは、そうした中古車の販売事情を知らないまま出演させられたタレントだということにもなります。現在は上岡龍太郎さんは芸能界を引退していますが、こんな杜撰なVTRを見て何も疑問に思わずただ笑っているということで、MCとしての生瀬勝久さんについて何を想うでしょうか。ただ、番組を見ている私でさえも、いちいち画面を静止画にして記録してくれているサイトを見たからこんな事が書けるわけで、本当に悪いのは今回のケースでは企画を担当したスタッフだと思えるのですが。

深夜のバラエティだと言っても、いい加減な内容で面白ければいいというのであれば、テレビにはもっとメチャクチャなことをやって欲しいという気持ちもあるのですが、放送コードに触れることはやらない代わりに今回のように誰も見ていないで指摘されなければその部分はいい加減でもいいと思っているのだとしたら、この番組を作っている人にもはや未来はありません。全国放送でこんないい加減な番組制作がまかり通る今、やはり時代からはテレビは取り残されていくのでしょうか。

(番組データ)

それって!?実際どうなの課 中京テレビ
2019/04/24 23:59 ~ 2019/04/25 00:54 (55分)
【MC】生瀬勝久
【出演】博多華丸・大吉/田島直弥・見浦彰彦(アイデンティティ)
【構成】松本建一
【演出】立澤哲也
【企画・プロデュース】簑羽 慶(中京テレビ)

(番組内容)

(1)【1000円の中古車でドライブ!?】 1000円で販売されている中古車ってどれだけ走るのか!?アイデンティティ率いるドラゴンボール芸人が日光いろは坂をドライブ!果たして無事に走り切れるのか!?

(2)【YouTuberになったら稼げるのか!?】 素人がYouTuberになってみたら、実際1か月でどのくらい稼げるのか!?番組のチーフ放送作家が作家のプライドをかけて、実際どうなのかチャレンジ!動画をバズらせ一攫千金はなるか!?人気YouTuberとのコラボも!!


Amazon Fire TV Stickに「TVer」アプリを導入してみると

今まで、Amazon Fire TV Stickを使ってテレビの大画面で様々なビデオオンデマンドサービスを利用していて一つ残念だったのが、スマホ・タブレット用のアプリとして提供されていた民放テレビ局の見逃し番組配信サービスの「TVer」のアプリがなかったことでした。本来、現在放送中のバラエティやドラマを見逃した場合、小さな画面のスマホやタブレットで見なければいけなかったのです。当然ネット上ではウェブブラウザを利用した裏技的な利用の方法はあったようですが、やはり専用のアプリであればわかりやすいですし、リモコンで目的の番組にたどり着きやすいというメリットがあります。

アプリを登録する際には、生年と月を入力した上で現住所の郵便番号を入れるようになっています。もしかして地域を判定してテレビ東京の番組を一切見せないようにするのか? と思ったのですが、現在は地方ではリアルタイムでは見られないテレビ東京の一部の番組も見ることができています(Youは何しに日本へ? のように地上波の内容をそのまま配信しないような配信の仕方をしているケースもありますが)。

私の自宅でのネット環境はADSLなので早いというよりも遅いという感じなのですが、地上波レベルの画質は十分キープできています。さらに、番組の中で強制的に配信がストップされ、同じテレビ局の番組の案内やコマーシャルが強制的に入ることはあるのですが、地上波のドラマで延々とコマーシャルを流し続けるような感じではなく、最低限のブレイクタイムという感じなので、むしろリアルタイムで見るよりも時間短縮になるところもあります。

ただTVerでは全ての番組を再配信するわけではないという事もあります。どの番組が見逃し配信されているかは、アプリの一覧から確認できますが、個人的には月曜から日曜までという形で日ごとに分けて見られるのが有難いですね。今まで全ての番組を録画に頼って見ていた方は、少なくともTVerで配信されているものに関しては、記録として残すことを考えなければ(見たらしばらくして消す)、ビデオ予約の手間も低減できます。

また、見たいと思うものの録画してまで見ないような深夜番組については、このアプリ経由で見ることで今後も継続して見るかどうか決めることもできます。もちろん、テレビの大画面だけでななく、スマホでもWi-Fiが利用できる場所でなら外でも見られますし、このアプリをスマホやAmazon Fire TV Stickの両方で活用するに従って電波とネットの逆転現象が起こってしまう可能性もあります。

もちろん、ずっと無料で見られるわけではなくおよそ一週間限定というところがあるので、今回のAmazon Fire TV Stick用アプリでの利用が可になったことで、今までの非テレビの時間もつい見逃したドラマを見るとか、今まで全く見たことないものの面白そうなバラエティを見るとかして、継続して楽しむことで今までとは違ったテレビの楽しみ方が生まれてくるのではないかと期待するところが大きいです。

こうなると気になるのがNHKがどう出てくるかということですが、もしテレビ番組はTVerの再配信だけでいいと思われた場合、「大画面テレビ」ではなく「大画面モニター」を購入し、Amazon Fire TV Stickを組み合わせることで、「ニュース」「天気予報」「ドラマ」「バラエティ」「スポーツ」を「TVer」「You Tube」「DAZN」「Netflix」「Hulu」「ウェザーニューズ」「TBSニュース」「日テレニュース24」あたりのサービスを併用すれば(一部のサービスはウェブブラウザのインストールをし、専用サイトをブックマークしてアクセスする必要があります)十分と思う人もいるのではないでしょうか。また、ネット放送としてのAbemaTVや、格安の動画利用が可能なアマゾンプライムではテレビ放送では放送されないオリジナルコンテンツもあるため、その点ではテレビを越えていくというところがあるのかも知れません。

ただ、便利になったからと言ってテレビを取り巻く状況が改善したわけではないので、今後もTVerのラインナップには注目していきたいと思っています。


芸能人・タレントの「あるべき姿」を具現化したオードリー春日企画

まず、このブログで番組内容を紹介する場合には事前にインターネットで公表されるデータを利用することがほとんどなので、今回のように番組側がその内容をひたすら隠したいようなドッキリ企画の場合には、データとして残りにくいということがあります。すでにこの文章を書いている段階で番組は放送を終了していますのでネタバレしますが、重大発表とはオードリー春日さんがM-1グランプリで世に出る10年以上前から付き合いのあった一般女性にプロポーズするという事で、どこまでが既定路線なのかはわかりませんが、とにかくプロポーズは受諾され結婚という形へとなるようです。

こうした特定の番組内でのプロポーズ、結婚の発表というやつは、もし今後二人の人生に何かがあった場合、必ず引き合いに出される可能性があるので、特に顔出しまでした春日さんのお相手の一般女性および親族に話を通し、事前のテレビ出演のオファーがなかったわけはないでしょう。そうしたテレビ上の「お約束」を見ている側も理解した上で3時間通しで見てしまったわけですが(^^;)、ここまで個人のプライベートに踏み込んでドキュメンタリーの手法も使いつつ流すということには裏があるのではないか? という風に考えることもできてしまいます。

タレントの好感度調査というものがありますが、男女別年令別という全方位的に印象が良くなければなかなかランキングの上位には出てきません。そのために、こうした番組によって、春日さんの一途な相手とのお付き合いの仕方を印象付けるようなテレビ番組の取材を受けることによってしだいにお茶の間の好感度が上がるようになっていくという流れになっていくのだと思うのですが、ここで改めて言いたい事は「テレビはその枠にはまった所しか映し出さない」ということです。

テレビの、特にワイドショーでは人を叩く場合、その人の中にある批判されるべき場所を見付け出し、VTRで切り取られた箇所をこれでもかとしつこいぐらいに流されていると、最初はどうでもいいと思っていた人までも、この人は絶対許せないとテレビコメンテーターとともに怒り、その流れは特定の人物に対するバッシングにも繋がりかねません。きっかけになる行動というのは何でもいいので、それこそオリンピックのメダリストになった、それまでは国民の殆どが知らなかったいわゆる「今どきの若者」がするようなぶっきらぼうなインタビューでの受け応えが問題になったりします。しかし、現場の当事者にとっては、そこまで他人に気を遣うような人間であれば、ちょっとした事で心が動き、大きなプレッシャーが掛かるオリンピックや大きな試合でのメンタルをコントロールすることは難しいと考えることもできます。

テレビ番組に出演して好感度が起きるタレントを目指し、さらには大企業から大きなコマーシャルの契約を得たいと思っている人や事務所なら、あえて言えばテレビカメラが回っていない時でも、スタッフや一般のファンへのいわゆる「神対応」をするような完全無欠な「いい人」であることが好感度を持たれテレビに出続けるためには必要だと思うでしょう。

さらにそれこそ今回の春日さんのようにテレビ番組の提案に乗る形で、真面目で真剣に取り組む姿をテレビで出そうと必死になり、今まで良く思っていなかった人をも取り込むということもあるでしょう。反対に同時期にSNSでのつぶやきの内容が問題になり、さらに公の場に出てきてファンやマスコミに対して取った態度が最悪だと一部の人々がかみついている電気グルーヴの石野卓球さんのような場合はどうでしょうか。相方のピエール瀧容疑者はテレビの影響力とともに知名度を伸ばしてきたところがあるので、テレビ視聴者が納得するような謝罪なり態度を取っていないと、今後のテレビ復帰は難しいと思います。しかし、基本的にテレビに出なくてもいいと考えていて、石野氏のように今回の騒動で事務所を辞めたいとまで考えている人までテレビは「いい人」であれと強要するところがあるのです。これはテレビに出ることを目的としない人であれば、無視してもいい点ではないと思いますし、それをいくら批判したとしても批判の対象にはダメージにはならず、逆に新たな「伝説」になるところもあるので、あまりテレビが糾弾を繰り返すとテレビ自体のメディアとしての信頼感が損なわれるようなところも今後は出てくると思います。その点は十分に考えた上でテレビは批判の対象を考えるべきです。

改めてこれまでの春日さんとテレビとの関係ということで考えていくと、まだ現在住んでいる自宅アパートの「むつみ荘」はもはやネット検索を掛ければその場所は割れており、自宅でくつろいでいてもテレビで面白おかしくその様子を放送したがために(当然春日さんサイドも了解の上ではあるのですが)、数々の「自称ファン」という方とのトラブル話には事欠きません。一般的に考えて全くメリットがないばかりか、最悪の場合には犯罪被害を受ける可能性すらある今の状態を維持しているのには、とにかくどんな取り上げ方をされてもテレビに出続けたいという意志があったのだろうと想像はするものの、これからは一人で生活するわけではないので、さすがに結婚後は居を移さないとまずいでしょう。

少し前に福山雅治・吹石一恵夫妻の自宅に無断侵入したファンがいたことが大きなニュースになりましたが、福山雅治なら駄目で春日(敬称略)なら大丈夫という風にもし今のオードリーの担当番組を作っている人の中にいて、今後もむつみ荘で夫婦生活の様子をバラエティ番組で流そうと思っているとしたら、それは大きな間違いです。

2019年4月から「働き方改革」が大企業では実践されていますが、今のままテレビ局が一人の芸人のプライバシーを赤裸々に流すことで、春日夫妻の仕事というのはテレビ・ラジオ出演や営業の仕事が終わり、自宅に帰っても「残業」が続くことになります。どうしてもそうした画が録りたいなら、別に新居での生活を持った上で、むつみ荘は全てテレビ局が家賃などの面倒を見て「疑似生活用の仕事場」として提供するくらいの気概が欲しいところです。そうすれば私たち視聴者は、普通では考えられないむつみ荘での生活をテレビ演出上のフィクションと思って気楽に楽しむことができるようになるでしょう。それがきっかけになって、テレビとは「テレビという枠」の中にうまく収まるように演出をし、それらしく見てもらい視聴者を楽しませるものだということも、今よりももっと多くの人に理解してもらえるようになるのではないかと思うのです。

(番組データ)

ニンゲン観察モニタリング★福山雅治&緊急生放送で重大発表3時間SP!! TBS
4/18 (木) 20:00 ~ 23:07 (187分)
【MC】ブラックマヨネーズ(小杉竜一・吉田敬)
【レギュラー】小泉孝太郎  笹野高史  NAOTO ハリセンボン(箕輪はるか・近藤春菜)(50音順)
【プロデューサー】 田村恵里 畠山渉
【ディレクター】 木村大介 後藤美和 ほか

(番組内容)

【ニンゲン観察1】福山雅治が放送ギリギリ暴露トークに香川照之&中村アン総ツッコミ「貪欲だから」 レミ直伝の15分でできる超簡単「ケーキリゾット」を神木隆之介が手作り差し入れ!平野レミの超ムチャ振りにDAIGO困惑!

【ニンゲン観察2】運動音痴だと思っていた少女が実は小学生日本チャンピオンだったら?まるでCG!?実力完全開放で超高速スーパーラリーに驚愕!神技スマッシュに大人タジタジ…


今こそ「オートスナック」の復活を

全てのメーカーが参加していないというところはあるものの、番組の趣旨に賛同したと思われる冷凍食品を出している企業9社の製品の中からベスト30を決めるというランキング番組と言えば終わってしまいますが、日本では本当に冷凍食品は売れているし、毎日の食事に利用している人が多いからこそ番組として成り立つというところはあります。

相変わらずこうしたランキング番組では爆笑問題のお二人の存在感はまるでなく、あくまで番組に参加いただいた企業のPRに徹しているテレビ局としてはおいしい番組であることは確かでしょう。ただ、こうした食品に依存しているといわゆる「外食」を手本にした味付けになるため、カロリー過多や塩分のとり過ぎに注意することは大事です。そして、冷凍食品に依存していると思わぬところで困る状況も出てくる可能性があります。

レトルト食品やインスタント食品と同じように冷凍食品は見られがちですが、もしライフラインのうち電気が止まってしまったら冷蔵庫の中で溶けて行ってしまうわけですから、少なくとも自宅にあるクーラーボックスに入り切らないほど備蓄しても、いざという時の助けにはなりません。何事も適度な用意というのが大事で、日常の食生活の中で時短だったり忙しい時のお供にうまく使えるような付き合い方を考えるべきだろうと思います。

そんな中で今回のランキングを見て、電子レンジ主体でなくフライパンで作ることができるチャーハンが1位、餃子が2位、3位もエビピラフというのは良くリサーチをしているなと感じるところがあります。まさにこうした製品なら何とか電気がなくてもカセットコンロとフライパンがあれば温めておいしくいただくことができるでしょう。

また、今川焼き、お好み焼き、たこ焼きと言ったものは冷凍食品とわからないようなクオリティがあるということもあり、さらにラーメンやパスタまで簡単に電子レンジで作ることができるということもあり、その可能性は今後も色々あると言えます。ランキングには入りませんでしたが、無印良品の冷凍フレンチトーストはどんなものなのか実に興味がありますし、無印良品には今までの冷凍食品ではなかったものを今後も出していただきたいと期待することができました。番組では「王者ニチレイ」と盛んに盛り上げていましたが、今回の番組で一番知名度を得て翌日からの売上に期待が持てそうなのが無印良品だったと番組を見終わって思うところです。

これだけ様々な製品が出ていて、今後ももっと多種にわたる製品が出てくるようだと、もはや調理をする人すらいらずにかつてはやった自動販売機で食事をいただく「オートレストラン」「オートスナック」というものの復刻というのも現実味を帯びてくるのではないかと思えたりもします。飲食店での働き手の人手不足というのはもはや恒常的な問題とも言えるわけで、さらにコンビニエンスストアでも深夜営業の休止を決める店舗があるような状況です。

そんな中、ガソリンスタンドのセルフスタンドのように店舗内は無人でセルフサービス、出す料理は専用の冷凍食品のみというような形態でもこれだけメニューのバリエーションがあればやっていけるのではないかと思うのは私だけでしょうか。単に冷凍食品会社のPRだけに終わらせないアイデアを番組作りに生かせればと思います。例えばテレビ局が一時的にでもオートスナックのセットを作って、同じチャーハンや餃子でもどのメーカーのものが一番売れるかというところで評価を決めるなんてのも楽しいのではないかと見ていて想像が広がりました。

(番組データ)

国民1万人がガチで投票! 冷凍食品総選挙 テレビ朝日
4/16 (火) 19:00 ~ 21:48 (168分)
【MC】爆笑問題
【スペシャルプレゼンター】武田真治
【会場進行】弘中綾香(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト(五十音順)】  安藤なつ(メイプル超合金)、伊集院光、乙葉、春日俊彰(オードリー)、しゅはまはるみ、羽田美智子、北斗晶、安めぐみ

(番組内容)

日本人がもっとも愛する冷凍食品は何なのか?国民1万人が選ぶ“もっとも好きな冷凍食品”が今夜決定!

▽会場には日本を代表する冷凍食品メーカー9社が集結。各社がこだわりぬき開発した、珠玉の商品たちが続々登場!
▽開発秘話から、驚きの製造工程、さらには、より美味しく食べられる新情報まで大公開!!
▽今回の冷凍食品総選挙のプレゼンターを務めるのは、武田真治!禁断の決戦を見守ります。
▽各メーカーが手がけるイチオシ商品が続々ランクイン。その結果に、歓喜と悲鳴が飛び交う大波乱の展開に…! 果たして白熱の対決を制するのは、どの商品なのか!?今夜、No.1冷凍食品が決定します!


伝え方によって印象の違う事故から見る「逆転人生」

事前に今回の番組「逆転人生」の紹介を見て、栃木県の有名な温泉旅館である「加仁湯」の一家が遭遇した雪崩事故についてNHKが放送するのを知り、まず思い出したのは今回の番組で紹介した一連の雪崩からの救出劇のあらましを語ったテレビ朝日制作の「激レアさんを連れてきた」で今回出演した加仁湯の女将さんが出演した回でした。

激レアさんの方では、58時間の雪中遭難の様子については面白おかしく(それがこの番組のクオリティです(^^))、手作りの工作で紹介し、全員助かったからこそのバラエティ番組の出演だったと思います。実は今回の「逆転人生」のナレーションで、今回の主役の女将さんは加仁湯に入る前に芸能界を目指していたもののうまく行かずに、紹介された加仁湯でバイトすることになったことで今のご主人とご縁ができたという話が出てきました。

なぜわざわざ宣伝する必要がないほど有名な温泉旅館の女将がバラエティ番組に? と思ったのですが、その話を聞けば納得できる部分があったのですが、もしかしたら女将さんとご主人が今回のオファーを受けて、あえて同じ話題で2回目のテレビ出演をしたのには、さすがに今回の番組で紹介したような深刻な状況もあり、その中での葛藤があったということを示すことで、「激レアさんを連れてきた」とは違う事実があることを示したかったのではないかと番組を見始める中で思ったのですが、さらにもう一つの理由があったようにも思いました。

番組では丹念に遭難した58時間の様子を再現ドラマで紹介していて、雪崩に車がすっぽり埋まった状態でエンジンを掛けて暖房を付けるという行為は、もしマフラーが雪でふさがってしまったら排気ガスが車内に逆流して全員が一酸化炭素中毒で死亡という最悪の結果も考えられました。再現ドラマでは女将の「頭痛」「吐き気」について言及が有りましたが、結局それが多少でも排気ガスが車内に入ってきたためのものなのか、車を閉め切ったための酸欠のためだったのか、明らかにされることはありませんでした。今回の番組では「危機管理アドバイザー」という肩書の人も番組に参加していたので、少なくともその辺の事は明らかにし、実際に同じように雪崩で埋まった中でどのようにするのが正解なのかという事も伝えて欲しかったと思ったのは私だけではないはずです。

まあその点は気になったものの、子供4人を乗せた状態で58時間も子供をパニックにさせることなく過ごすことができたことは立派で、NHKの番組だからこそ伝えられた点があったことは確かです。しかし、番組のテーマである「逆転人生」という事で言うと、この事故の前と後で女将さんには以前のように自分から動くことのない、受け身で温泉旅館の仕事をするのではなく、温泉旅館の仕事を前向きに行なうような意識の変化があったということがあったそうです。番組としてはその事こそが大事で、番組ではそれを伝えるために事故の内容を詳しく紹介したということも言えます。

この番組自体は過去に「コンビニに入店しただけで逮捕され長期勾留された男性」が裁判で無罪を勝ち取るまでの事を詳細な取材で紹介し、「大きな困難に負けずにそこから逆転する人生の達人」を紹介するドキュメントであることはわかっていました。そういう意味では、今回の加仁湯の家族の物語というのはなかなか継続して営業することの難しさもある山の中の一軒温泉がまだまだ続いていく希望を感じさせてくれた点(ご夫婦の長男が旅館を継ごうかと考えていることがテレビで紹介された)については、実に見ていて嬉しかったです。
こうした番組の命は、いかに多くの視聴者の共感を得られる「人生の逆転」をした人を連れて来られるかという事になるかと思いますが、NHKには毎週放送にこだわらず、しっかりとした取材を行なって番組作りをしてほしいものです。

(番組データ)

逆転人生「母は強し!連続雪崩から奇跡の生還」NHK総合
2019/04/08 22:00 ~ 2019/04/08 22:50 (50分)
【司会】山里亮太,杉浦友紀,
【ゲスト】旅館経営者…小松輝久,旅館女将…小松志保,
【出演】北斗晶,松本伊代,危機管理アドバイザー…サニーカミヤ,
【語り】吉川未来

(番組内容)

栃木県の山あいを走っていた車を連続雪崩が襲った。乗っていたのは母親と子供たち。天上の上2mまで雪に覆われ、酸欠や低体温の危険が。八方塞がりの状況から奇跡の生還。

2014年冬。栃木県の山あいを走っていた車を大きな雪崩が襲った。乗っていたのは母親と子供たち。雪崩は連続しておし寄せ、天井の上2mまで雪に覆われる事態となった。低体温を防ぐため、エンジンをかけて暖房をつけると、排気ガス中毒の危険が。密閉されたため酸欠の恐れもあり、まさに八方ふさがりの状況に陥った。しかし母子は58時間後に、奇跡の生還を果たす。生死を分けたのは、母親が土壇場で固めた“決意”だった。


過去の事は問題にしないテレビに痛烈な皮肉も

2019年3月から4月にかけて、フジテレビのお昼のワイドショー「バイキング」においてコカインを吸っていたことで逮捕された電気グルーヴとしての音楽活動だけでなく、タレント・俳優として毎日テレビでは見ない日はないくらい活躍していたピエール瀧容疑者についての音楽上のパートナー石野卓球氏についてのバッシングが話題になっています。

番組MCの俳優・坂上忍氏や、元宮崎県知事の東国原英夫氏が石野氏が発するピエール瀧容疑者へのツイートが不謹慎で、社会人として大丈夫なのか? というような批判をしているのですが、そういった表面的な正義感あふれる主張というのは果たして見ていて面白いのかと思うのと同時に、先日亡くなったばかりの萩原健一さんや内田裕也さんについて彼らが語る内容と、時期の違いで(現在起こっている事件と過去に決着した事件との違いは当然あるわけですが)そこまで直接逮捕されていない人間を批判する正義感は何なのか? と考えるきっかけになったことは確かです。

今回紹介する「オールスター後夜祭」が、こうした一連の事件をどこまで受けた上で放送したのかはわかりませんが、今回の問題の中にとんでもないVTRを元にした問題があり、その内容は最高に面白かったものの、同時にテレビの中でたびたび主張される表面的な正義感を木っ端微塵に破壊するようなものであったので、ぜひここで紹介させていただきたいと思います。

そのVTRは2019年から数えて28年前(1991年・平成3年)と言いますから、平成の時代にはなっていたものの、今のような社会の雰囲気とはかなりかけ離れていて、今のテレビなら放送できないような内容でも普通に放送されていました。この番組はプロレスや格闘技の世界から問題が出題されることが普通に行なわれますが、その問題もシューティングという元タイガーマスクの佐山サトル氏が主催する合宿に密着したVTRで、佐山氏が合宿参加者に大いなる愛情を持って接しているのか、単に虫の居所が悪いだけなのかわからないのですが、竹刀で思い切り気合いが入っていない参加者をぶっ叩いたり、全力での力が感じられない参加者を大声で威嚇しつつ鼓膜が破れ大怪我をするのではないかと思うくらいの力でビンタする様子がそのまま流れたのです。

番組では、「ビンタをした後、佐山氏は何と言ったでしょう?」という問題と、あまりの佐山氏の行動にあっけに取られている解答者へ向けて、「VTRで佐山氏が着ていたトレーナーの柄は何でしょう?」という二問の問題が出されたのです。当時は戸塚ヨットスクール事件から10年くらい経った後で、決して暴力指導礼賛ということではない状況だと思えるのに、これくらいの事なら問題なく放送していたテレビのおおらかさというのが逆に面白いというのが正直なところなのですが、このVTRを2019年の地上波で流すということは、単に番組を面白くするということだけでなく、その裏に何らかの意図を感じるべきではないか? とも思えるわけです。

この書き込みはいつまで残るのかはわかりませんが、これから十数年度にピエール瀧容疑者が保釈された映像を見て石野卓球さんは何とツイートしたでしょう? というような問題を出す番組があっても何もおかしくないのが現代のテレビでもあります。今後の捜査の展開や裁判の結果、そしてそもそもピエール瀧容疑者が再犯をするかどうかによっても変わってくるとは思いますが、逮捕されてから時間が経たず、ここまでの報道だけでも他の大きなニュースを押しのけるように、当初のコカイン中毒の方々への理解や社会にはびこる覚醒剤に対する意識の変化というところからかけ離れてしまっているのも実にテレビらしくて面白いと思えます。

今回の件に限らず、過去の痛い行動というのは常にネタにされ、笑われてしまう宿命を帯びていることを示しているとも言えるのではないでしょうか。とにかく「不謹慎」と言われても面白ければいいと思っている人がいる限り、同じような番組は無くならないと思いますし、昔そうした番組をやっていた人が正論で糾弾をくりひろげるのも「それが面白いから」という理由があるものと思われ、それはそれでテレビ的な騒動であると思えます。そうした騒動を見ている側としては、あまり本気で怒らないで騒動自体を面白がって見るのがいいのではないかと思います。

ちなみに前回の時に書いた「優勝者に何も賞品・賞金がない」という点について、苦情が殺到したようで今回は5万円の優勝賞金が出ることになりました。そして、今回の最下位(今後「オールスター後夜祭」出入禁止)の栄冠は、マジカルラブリーの野田さんに決まりました。同率で途中退場した流れ星・ちゅうえいさんと同じく一問を正解がないというクイズに答える気のない人物を切ったということになるのでしょうが、残念ながら今回の番組では全て「佐山サトル」さんと流れ星・瀧上伸一郎さんの奥さん(番組最初からずっと白のビキニを着てアシスタントガールを行なっていた)に持って行かれて他の事はあまり印象に残らなかったというのが正直なところです。その点では今後のクイズへの取り組み方にも影響が出てくるのではないかと思います。出入禁止になっても一問も答えずに目立とうとしても、今回のような強烈な問題や人物が出てきたら一瞬のうちに埋もれて単に出入禁止になるだけということがわかってしまったわけですから。

今回の番組を通しで見てみて、「獣神サンダー・ライガー」(マスクのみの出演でしたが)「ザ・グレート・カブキ」「佐山サトル」(VTR出演)「前田日明」といった今ではなく昔のプロレス界で活躍した人が出演したりクイズになったりクイズに協力したりと大活躍でしたが、これは純粋にMCの有吉弘行さんの好みに合わせたに過ぎないでしょう。これは過去に紹介した「クイズ脳ベルSHOW」の特番でもあったように、出演者やスタッフの一部の方が好きで面白いと思った「プロレスに熱中した時代」の事をやっているに過ぎないと思います。それがこれだけ面白く、恐らく今回出たVTRの「佐山サトル」氏と「シューティング」だけでなくさっそうとデビューした「初代・タイガーマスク」との関係を何も知らない人でも楽しめてしまうのは、テレビの「笑い」というのは、時代に関係なく面白いものは十分面白いということでもあります。まだまだ当時のプロレス界には面白い逸話は豊富にあるので、ネタが尽きるという事はないでしょうが、今回のようなネタがあればプロレス・格闘技に関わらずどんどん放出して視聴者を楽しませて欲しいなと思っています。

(番組データ)

オールスター後夜祭’19春 TBS
2019/04/07 00:58 ~ 2019/04/07 02:58 (120分)
【MC】有吉弘行、高山一実(乃木坂46)
【解答者】あぁ~しらき、あかつ、アキラ100%、あばれる君、アマレス兄弟、AMEMIYA、荒ぶる神々、アルコ&ピース、アンガールズ、イジリー岡田、イワイガワ、インスタントジョンソン、ウエスP、エルシャラカーニ、おいでやす小田、岡野陽一、おばたのお兄さん、お宮の松、ガリットチュウ、河邑ミク、ガンバレルーヤ、キンタロー。、グレート義太夫、
クロちゃん(安田大サーカス)、小石田純一、コウメ太夫、小坂なおみ、紺野ぶるま、サイクロンZ、ザ・ギース、ザ・たっち、サツマカワRPG、ザブングル、沙羅、サンシャイン池崎、Gたかし、シオマリアッチ、ジグザグジギー、ジャッキーちゃん、ジャングルポケット、じゅんいちダビッドソン、しゅんしゅんクリニックP、ジョイマン、新宿カウボーイ、スーパー・ササダンゴ・マシン、ずん、だーりんず、ダーリンハニー、
TAIGA、タイムマシーン3号、田島直弥(アイデンティティ)、たんぽぽ、チョコレートプラネット、テル、東京ホテイソン、どきどきキャンプ、トム・ブラウン、トンツカタン、流れ星、ニッチロー’、にゃんこスター、脳みそ夫、ノッチ(デンジャラス)、パーパー、バイク川崎バイク、Hi-Hi、X-GUN、バッドナイス常田、花香よしあき、ハナコ、ハマカーン、浜ロン、原口あきまさ、ハリウッドザコシショウ、
ビックスモールン、平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)、フォーリンラブ、ブリリアン、HEY!たくちゃん、ぺこぱ、ペンギンズ、槙尾ユウスケ(かもめんたる)、マシンガンズ、マヂカルラブリー、三浦マイルド、Mr.シャチホコ、宮下草薙、むらせ、もう中学生、もりせいじゅ、やさしい雨、ゆってぃ、ゆりやんレトリィバァ、ゆんぼだんぷ、四千頭身、ラバーガール、ラブレターズ、ルシファー吉岡、ロッチ、ロビンフット、
和賀勇介、わらふぢなるお、他
【プロデューサー】金原将公、福田健太郎
【演出】藤井健太郎

(番組内容)

有吉弘行&高山一実(乃木坂46)司会で「感謝祭」深夜の延長戦!芸人156人が深夜ならではのクイズ&企画に生放送で挑戦!最下位になって番組を永久追放となるのは誰?

オールスター感謝祭の延長戦生放送「後夜祭」では、感謝祭からの居残り組に追加メンバーを加えた、合計156人の芸人たちが深夜ならではの笑いに振ったクイズや企画に挑戦!恒例の毒霧にロード地獄に特殊競走に…超強力罰ゲームで3人目の永久追放となるのは?


テレビドラマを多元利用すればするほどパワーは落ちる?

このドラマの題名「さすらい温泉 遠藤憲一」に普通のドラマとはちょっと違う匂いを感じ、見てみましたがさすがにそのあざとさに苦笑するしかありませんでした。

物語は全てフィクションで、現実の遠藤憲一さんがこの番組を最後に芸能界を引退するわけでもなく、ドキュメンタリーでもないでしょう。素足に雪駄を履いて革のトランクを持って上着を一枚ひっかけただけという姿は、渥美清さんの演じた「フーテンの寅」そのものです。

ただ寅さんと違うのは、遠藤憲一さんは全国を渡り歩く温泉宿の仲居という設定でこれから全国の有名な温泉地をさすらうように回るのでしょう。働いた温泉宿には必ずマドンナがいて、淡い恋心は全て打ち砕かれ、番組の最後には次の温泉地に向かって流れていくということになるのでしょう。

次回のマドンナは誰になるのかとか、そもそも働く温泉はどの温泉でどこの温泉宿が撮影に使われるのかとか、さらに宿のお風呂で誰が脱ぐのかとか(^^;)、ドラマの進行とは関係ないニーズを追い、「ドラマ」「温泉(旅番組)」「お色気」という3つの要素を詰め込んだものにしたいのでしょう。

それは、ちょっと違った方から見ると、単なるストーリーを工夫したドラマだけではとても持たないということで、エンドロールに「さすらい温泉 遠藤憲一 製作委員会」とありましたが、有料サイトのParaviで全話配信するというのもリアルタイム視聴にこだわる世代を莫迦にしているようです。また、番組の裏側についても配信するということになっているのだそうで、今後はさらに計算された色んな仕掛けでこのドラマの元を取ろうとされるのだろうと思うと、単に面白がって見ているわけにもいかないと思ったりするのです。

そもそも、映画だけでなくテレビドラマの製作にも製作委員会方式の作り方が当り前になるような未来があるというのなら、当時の流行りに沿った作りになればなるほど、時間が経過した後に見てみるとつまらなく思えてしまうようなものになるかも知れません。

ともあれ、このドラマのあらすじもその内容も一回見ればわかるくらいの陳腐なものであることは確かなので、これをこのまま続ける意味はあるのか? と久しぶりに思ってしまったドラマとなりました。

(番組データ)

さすらい温泉 遠藤憲一 第一湯 草津温泉~湯畑慕情~ BSテレ東
2019/04/05 00:00 ~ 2019/04/05 00:30 (30分)
【出演】
中井田健一…遠藤憲一
富永理恵…ともさかりえ
富永勇介…五十嵐陽向
橋本…大高洋夫
美貴…松野井雅
ヒトシ…升水柚希
カズヨシ…高橋曽良
【監督・プロデューサー】
後藤庸介
【脚本】
田中眞一
【音楽】羽深由理

(番組内容)

俳優を辞めた?遠藤憲一が仲居となって温泉宿で働き、恋した女性を助けるドキュメンタリー風人情ドラマ。草津温泉で一人息子を育てる理恵(ともさかりえ)と出会う。

遠藤憲一が仲居の“中井田健一”として、全国の温泉宿で働き始める。草津温泉の旅館「奈良屋」で働き出した中井田は同僚の仲居・理恵(ともさかりえ)と出会う。中井田は理恵に、胸の奥がうずくような、甘酸っぱい感覚を味わう…。だが、理恵には小学生の息子・勇介(五十嵐陽向)がいた。夫は豪華客船の船長で、勇介は航海中の父に長く会っていないのだという。勇介は父に会いたいと理恵に訴えるが…。


ドラマのリアリズムは現実にどこまで歩み寄るべきか

NHKの朝の連続テレビ小説の99作目「まんぷく」が終わりました。ここのところNHKでは大手企業やその関連する人物を主人公にした作品を多く作っていますが、この作品も日清食品グループの創始者夫婦と思しき人物を主人公にしたもので、今回の番組終了を機に日清食品グループがどのようなアプローチをするのか、そもそも一切ドラマ便乗の商法を行なわないのか、これを書いているうちはわからないので興味があります。

かつての朝ドラ「マッサン」の時は、日本全国でウィスキーブームが起き、そのためずっとウィスキーを好んで飲んできたような人にとっては特定の銘柄のウィスキーが入手が難しくなり、オークションで価格が上がるなど個人レベルでまでNHKがドラマで「ニッカウヰスキー」を取り上げたことによる影響が出ましたが、そういう状況が生まれるからこそ、どのような「事実に基いたフィクション」を作るかということが大事になってくるような気がするのです。

今回の「まんぷく」は日清食品が「カップヌードル」を作り、さらにそれが大成功して大団円ということになるのですが、ドラマのように歩行者天国での試食イベントだけで全国に広まったわけではありません。それこそ当時でも東京の歩行者天国というのは遠い存在で、一大プロモーションで「カップヌードル」という製品があり、自動販売機で売られているというところまでは知られたとしても、全国津々浦々のスーパーマーケットで売られるようになるには、歩行者天国でのキャンペーン後に起こったもう一つの大きな「事件」の産物で、結果的にカップヌードルには幸いしました。

実はこれにはドラマを制作したNHKも十分関わっているところなので、なぜ今回の脚本にその場面が出て来ないまま終わってしまったのか、かなり消化不良の印象があります。おばあちゃんの生前葬をやる時間があるなら、歩行者天国のくだりは前半に行なってしまい、最終回の一つ手前に「あの事件」を持ってきても良かったのではないかと思います。

ちなみに、歩行者天国でのキャンペーンは1971年11月で、その事件「あさま山荘事件」が起こったのが1972年の2月です。過激派が立てこもった「浅間山荘」の周辺は2月の気温がマイナス15度というとんでもない寒さで、差し入れのあらゆる食品がカチンコチンに凍ってしまい、作りおきしたおにぎりやお弁当という携帯食料では、酷寒の中ではまともに食べられないということが事件を生中継し続けたNHKのテレビを食い入るように見ていた全国の人々が知ることになったのでした。

そこで登場したのが「カップヌードル」でした。これなら犯人と対峙する機動隊も交代時間に食べられました。沸騰したお湯を注いで3分待ってすぐ食べるという、自分で調理し、自分で食べるタイミングを決定できる食品の有効性がきちんと伝わったことになります。本来コマーシャルは流せないはずのNHKで、カップヌードルを食べる姿が大写しになって流れたことで国民は商品の存在とセールスポイントを知り、大きな購入動機が生まれました。当時のテレビにとっては民放・NHKを合わせると現場中継を9割の人が見ていたというデータも残る中、広告費を出していない日清食品の一人勝ちで、実にNHKや他の食品メーカーからすると皮肉な結果になったという、テレビの歴史からするとかなり稀有な事件の主役がカップヌードルだったわけです。

実は最終週は、ナレーションだけでも事実として紹介されるのかなと思って見ていたものの、全く触れられずに、「チキンラーメン」や「カップヌードル」が売れるようになったのは今回の朝ドラヒロインのおかげですというような何か変な結論で終わらせるというのは、いくらフィクションとは言え無理がありすぎです。本当に日本の中でもわずかな地域で行なったキャンペーンだけで大ヒットになった? なんてことが本当なのかはちょっと考えればわかることでしょう。

たかがドラマにそこまでのリアリズムは必要ないと思う方もいると思いますが、それなら実在の人物で、さらに現在もテレビコマーシャルを民放局で放送している企業について利益を誘導するようなドラマ制作自体について、もう少し考えるべきでしょう。

(番組データ)

連続テレビ小説 まんぷく(151)[終]「いきましょう!二人で!」NHK総合
3/30 (土) 8:00 ~ 8:15 (15分)
【出演】安藤サクラ,長谷川博己,内田有紀,松下奈緒,要潤,大谷亮平,桐谷健太,瀬戸康史,岸井ゆきの,松井玲奈,呉城久美,中尾明慶,深川麻衣,牧瀬里穂,加藤雅也,松坂慶子,
【語り】芦田愛菜
【作】福田靖

(番組内容)

「まんぷくヌードルの価値が理解できるのは頭の柔らかい若者たちではないか」という福ちゃんの気づきをきっかけに、大勢の若者が集まる「歩行者天国」で、社運をかけてヌードルの大試食販売会をすることになりました。いよいよ勝負の日。誰もが成功を願う中、行き交う人々の反応は…。そして福ちゃんと萬平さんは、ある大きな決断をするのです。