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NHK教育(Eテレ)は今回の激レアさんに出演依頼すべし?

最近の更新はこの番組オンリーになってしまっている感がありますが、フジテレビの「全力!脱力タイムズ」と違って番組の全てがふざけているという感じではなく、ところどころでふざけているそのバランスが見ている方にとって心地良いのでつい面白く見てしまうところがあります。

ただ、番組を面白くしようとするあまり、番組で取り上げる対象について、大切なことを忘れてしまうきらいもあるので、今回はその事を中心に紹介していこうと思います。最後にあるテレビ局提供の番組内容を見ればおわかりの方は多くいると思いますが、過去にインターネットを媒介にして拡散されたいわゆる「バカ画像」に写っている本人が登場し、その「バカ画像」はどういった経緯で撮られたのか、さらになぜ非ネットの中で撮られたに過ぎないプリクラのシール写真がインターネットに掲載されることになったのか、さらにこの画像が拡散されたことによって、写真に写っている人達にどのような影響が出たのかということまで面白おかしく喋っているというのが今回の番組のキモです。

しかしながら、番組を面白く伝えようとするあまり、過去の「若気の至り」とも言える写真が今でも誰もが見られる状態でインターネット上に置かれている事についての危険性や本人達がもしかしたら今後受けるかも知れない受難について指摘しなかったことは、ともすれば今回出演していたご本人にとってこれからの人生において拭い去れない過去として復活するかも知れず、実はデリケートに扱わなければいけないところでもあるかと思います。そのフォローがないまま終わってしまったということもあり、最初のような「そこまで面白さを追求しないでもいい」NHKのEテレで後追いでもいいのでこの話題について出してくれないかと思うわけです。

今回の番組で紹介された「バカ画像」というのは、あくまで中学一年生の時に仲間うちで撮影した「記念写真」に近いもので、いわゆる犯罪行為を自慢するものでもなければ、異性との交遊を見せつけるものでもなかったため、テレビで画像を紹介したとしても本人達がかなくなに画像を出したくないという性質の写真ではなかったのでこのような番組で弄り倒すということも成り立つのですが、全てがこのように一定の時間が経過すれば人畜無害化していくようなものではないことも確かです。だからこそ、この写真というのは現在の小・中・高・大学生にとって「生ける教材」としての価値を持つものではないかと私には思えるのです。それは、あまり何も考えずに自分の姿をネット上に晒してしまうことが最悪どんな結果をもたらすかという一種のシミュレーションです。
今回の写真は、普通なら非ネット上でしか出回ることのないプリクラで撮影したプリントシールであり、なぜその写真がネットに流出したのか? という事を検証することが大切になります。これについては番組でも紹介されていました。

単なる物体に過ぎないプリントシールがネットに掲載されるのは、誰かがその写真をデジカメ(スマホや当時のガラケー)で撮って、ネットにアップしなければ写真は拡散されることなく仲間うちのちょっと恥ずかしい思い出として残っただけだったでしょう。今から10年前と言いますから2000年代に中学生達の中で流行っていたものの中に、「前略プロフィール」というサイトの存在がありました。このサービスは2004年に開始され、2016年に全てのサービスが終了となりました。サービスの終了とともにサーバーに上がっていたデータは全て削除ということになったのですが、ガラケー時代にネット上で友人を作りたいと思う若年層を中心に流行したサービスです。

もう少しこのサービスについて説明すると、定形のプロフィールを入力していくと本人の紹介ページとして機能し、それを見た不特定の人から連絡が来たりしていわゆる「メル友」になったり会っりしたりできるという、今で言うSNSの先駆けという感じのものでした。その頃の中学生の男子がこのサイトに登録して自分のプロフィールを公表するということは、やはり女の子からメールを貰いたいという下心があることは普通に考えればすぐわかることで、今も昔も文字だけのプロフィールよりもインパクトのある画像をプロフィール写真を載せることが大事だということは承知していたことでありましょう。そこで、問題になっている「バカ画像」を自分のプロフィールとして一緒に撮った友人に相談することもなくアップしてしまった人がいたことで、可愛い女の子が注目してメールを出すのではなく、ただただその画像の余りの「若気の至り」的なインパクトが高かったゆえ、当時の2ちゃんねるやまとめサイトに転載されたことにより、今回テレビにまで出てしまうほど有名な「バカ画像」になってしまったわけです。

この事を考えるにあたり、一つの教訓が導き出されるでしょう。今の世の中は写真を撮るということは常にその写真がネットにアップするには簡単な形で用意されるということです。そこで、その場に流されて顔や犯罪・法律違反が疑われる行為が記録された写真を何も考えずにアップした場合、多くの場合はそのままスルーされて何の問題も起こさないかも知れませんが、世間には写真から場所や学校を特定させ、学校に通報するような事を生業にしているサイトもあるので、ここまで有名になることはなくても、彼らが属するコミュニティ内で最悪生きていけなくなる可能性すらあります。こうした事を防ぐためには、簡単にスマホで撮った写真をアップすることを自制する事が大事であり、そうしたネットやSNSを楽しむ前に自分の身の守るために知っておきたいことをテレビで紹介することも大切なことだと思います。冗談ではなく、今回番組に出てくれた当時者に話を聞きながら、その後の人生が暗転するような事が起こらないためにはどうしたらいいかというテーマで、ぜひEテレは一本番組を作って欲しいと思います。

(番組データ)

激レアさんを連れてきた。 テレビ朝日
2018/06/11 23:20 ~ 2018/06/12 00:20 (60分)
【研究員】若林正恭(オードリー)
【研究助手】弘中綾香(テレビ朝日アナウンサー)
【客員研究員】松岡茉優、いとうあさこ

(番組内容)

伝説的なバカ画像「チャリで来た。」の張本人が登場!あの写真に隠された意外すぎる真実、ネット拡散の悲劇、そして訪れた奇跡の結末まで徹底的に研究していくぞ!! 本日の激レア研究はこちら!
【激レアさん1】 中1の時に撮った写真が伝説的なバカ画像としてネットで拡散してしまい、その後10年間、運命に翻弄され続けている人。
【激レアさん2】 交通安全教室で年間300回以上も車に轢かれる売れっ子の轢かれ役。


字幕放送の限界と今後の問題

今回の番組のメインテーマである、息子によって新進デザイナーとしてデビューすることになってしまった実の母親の成り上がり物語は大変面白かったのですが、今回はその壮大なドラマのすき間に入り込むような形で放送された「激レア」な職業についてのレポートを見ていて、ちょっと気になることがあったのでここで紹介させていただこうと思います。

テレビの設定で切り替えることができる「字幕放送」の文字をリアルタイムで入力しているステノキャプショナーという仕事があるのですが、ここではその仕事をされている方に取材して、どのくらいの早さでどの程度正確に入力ができるのか検証していたのですが、特殊なキーボードを使い、主にニュース用語などを単語登録することによって1分間に300文字以上という驚異のキーボード入力速度を実現しています。

ただ、普段はバラエティ番組を担当していなくて、ニュースの文字化を担っているオペレーターの方一人に、普段全く聞いていないだろうと思われる「ジョイマン」のお笑いネタを文字に起こしてもらうという無謀な依頼をこの番組では出していました。

ちなみに、実際にリアルタイムでテレビからの音声を文字化するにあたり、取材を受けた会社では2人一組で仕事を行ない、一人が入力したものをもう一人が漢字に直したり間違いを直したりした後でアップするような事を行なっていましたので、番組で検証した結果というのはあくまで、特殊なキーボードを使ってどこまで早口で行なわれるコントネタを追い掛けられ正確に記述できるか? というような事だったろうと思います。

私自身はそれまで、実際にお仕事として口述されたものをテキスト文書化するような人達は早く正確にできるものだろうと思っていたのですが、実は意外とそうでもないということに正直びっくりしました。ただ、ネタの早さに付いていける入力スピードだったのはさすがでしたが、「正確に」出力するためには大きな問題があり、それがたとえ特殊なキーボードを使っていたとしても、間違ってしまう根本的な原因があることがわかりました。

それは、私達がキーボードを使って入力する事と同じように、漢字をパソコン上で出すために行なわなければならない「かな漢字変換」の問題です。特に文章をそのまま写すのではなく、喋り言葉を文字化しなければいけないので、喋った内容をそのままかなで打ったとしても、変換をかけると正しいと目視で認識できないような「誤変換」が起こってしまいます。これはいわゆる「かな漢字変換」が基本のキーボード入力では回避できないもので、そこを変えていかないとどうにもならないように感じがするのです。

しかしながら、今後のテレビを考えてみると、生放送の字幕放送についてのニーズは現在よりももっと上がっていくのではないかと思います。というのも、今までは耳が不自由な人のためだけの放送ではなくなっているということがあるからです。

大きなショッピングセンターや高速道路のサービスエリアに設置しているテレビを見た方はおわかりかと思いますが、あえて音声を出さずに字幕放送にしておくと、周辺が騒々しい中でも字幕を読むことでドラマの内容やニュースの内容がわかりますし、それなりに聞こえなくても楽しめてしまいます。こうした形で字幕放送が使われることが多くなれば、やはりどんな番組でも字幕付きで見たいというニーズは出てくると思います。

そうなると、オペレーターの育成が必要になると思うのですが、何しろキーボードが特殊で興味があったとしてもなかなか手に入れることはできないでしょうし、さらに練習用に購入したとしても就職できるかわからない状況でお金を出すだけの人がいるのかどうかということもあります。

個人的な見解を言わせてもらえば、先述の「かな漢字変換」を行なわない入力方法ならば、常に画面に出す漢字を入力者が決定できるので、こうした字幕放送のオペレーターが使う入力方法としてより正確な文字を打つことができます。今使っているキーボードも入力方法も変えてしまい、一般的などこでも手に入るキーボードを使って「漢字直接入力」の行なえるオペレーターを育成することが大切ではないかと思うわけです。

ここまで読んでいただいて、「漢字を変換しないで入力する方法があるの?」と疑問に思う方もおられるかも知れませんが、元々日本語の扱えるタイプライターはどうなっていたか調べていただければわかるかと思いますが、和文タイプライターというものがかつてあり、そのオペレーターはかな文字だけでなく漢字も直接タイプして入力することを普通に行なっていました。

日本語ワープロの技術を研究していた時にも、「かな漢字変換」の他にキーの複数入力で直接漢字を画面に出す方法も考えられていたのですが、そうした漢字の出し方をするためにはいわゆる「常用漢字」の二千文字を超える数をそれぞれ直接入力できるように継続した訓練が必要になるディメリットがあります。日本語ワープロは初心者でも文字が打てることをテーマに開発されていたところもあったと思うので、時間はかかってもかな文字さえ入力することができれば漢字は自分の出したいものに何回も変換していくことによって誰でも入力できるような方式に落ち着きました。そのためこれだけ多くの人が日本語をワープロを使って入力できるようになったのですが、今回紹介した特殊技能についてはあえて誰でもできる方法をなぞってそのために正確に入力できないストレスを感じるならば、オペレーターを訓練して早く正確に日本語を入力できる「漢字直接入力」に変えていくのも十分ありだと思うのです。

具体的な「漢字直接入力」の形式としては、T-code、TUT-code、G-code、超絶技巧入力などがあり、そのどれもが「Google日本語入力」の「ローマ字カスタマイズ機能」を使ってその設定ファイルを読み込ませることができれば、普通のノートパソコンのキーボードからでも利用が可能になります。つまり、現在のように専用のキーボードが用意されている会社からでないと文字起こしができないということでなく、自宅でインターネットさえあればそこから直接作業ができるような環境も作ることができます。当然入力の学習におけるコストはかかりますが、一度覚えてしまえば導入のための費用は一切かかりませんし、もしキーボードの調子が悪くなったとしても、普通にお店に買いに行けば簡単に代替キーボードを調達できるメリットも有り、今の方式よりもかなり企業としてのコストはカットできるのではないかと思うのですが。

(番組データ)

激レアさんを連れてきた。 テレビ朝日
2018/05/28 23:15 ~ 2018/05/29 00:15 (60分)
【研究員】若林正恭(オードリー)
【研究助手】弘中綾香(テレビ朝日アナウンサー)
【客員研究員】東出昌大、高橋みなみ

(番組内容)

本日の激レア研究はこちら!
【激レアさん1】 自分では全く知らないうちに世界が認める洋服デザイナーになっていた主婦とその才能を見出した息子
【激レアさん2】 テレビ番組で話した内容を瞬時に打ち込む字幕放送の文字を入力する人


江頭2:50を天然記念物にしてはいけない

今回の「アメトーーク!」で江頭2:50さんが取り上げられたのは、もはや江頭さんのような芸人さんが絶滅の危機に見舞われていることの表われだということが言えるでしょう。同じテレビ朝日のバラエティで、一定の需要のもと呼ばれていた「ぷっスマ」や、フジテレビの「めちゃイケ」が終了し、今後江頭さんを生かすようなバラエティが消えていく中、業界関係者の視聴が多いと言われるアメトーーク!で江頭さんを取り上げることで、何とか地上波のテレビバラエティにその居場所を残してあげたい(自番組に出すだけでなく、他局の番組にオファーをお願いしたいなど)という番組スタッフの願いが込められているように見えます。

私自身が江頭さんの存在を知ったのはテレビではなく、彼が所属する大川興業総裁の大川豊さんが書いた「金なら返せん!」という本の中で、当時から今も借金が減っていないその大川さんからもその借金グセを問題視されていたのが江頭さんでした。当時住んでいた住まいで家賃を払うことができず、大家さんが催促に来た時に逃げられるように、木を使った骨組みまで付け地下に脱出用のトンネルを掘った話などは、それだけの労力を使って脱出用のトンネルを掘るならバイトをやってお金を返せばいいのにと思うところですが、これら様々なエピソードは「芸人・江頭2:50」の伝説となり、存在感を高めているところもあります。ただ、このような人が今後出てきたとしてもテレビで良く見る芸人としてデビューできるのかという疑問が出てきます。

というのも、今回の番組に出演した江頭さんを敬愛するお笑い芸人たちは、そのほとんどがお笑い養成所やスクールの主身です。今後もお笑い芸人になろうとする人は、いかにして面白くするかということ以上にいかにしてテレビの中で生きていくかというような、芸人にとっての限界を最初から決めるようなことを養成所内でレクチャーされ、そうした指示を守る人が合格になってテレビに出られる方向になってしまう可能性があります。番組内でもそうしてデビューしたと思われる「お笑い芸人」の面々は、次に何をするかわからない江頭さんの行動を諌めたり苦笑いするといったようなテレビ内での「常識」を強要するようなところが見えてしまい、テレビを見ている方は安心して見られる半面、そんな芸人だけだと視聴者が想像する以上の笑いはなかなか生まれないという状況になっていってしまう恐れも出てきます。

江頭さんとテレビとの関係は本当に特別で、多くの番組で問題を起こしながらも深夜とはいえ地上波で特別に放送してもらっているのですが、普通に芸人道を突き詰めて信念を曲げないと思えばまずはテレビという場から離れ、舞台のような自由にやれる所を選ぶのが普通です。事務所社長の大川豊さんはまさにそうした方法論を現在は取っているわけですが、江頭さんは今でもテレビに出ることにこだわった活動をしているように見えます。それは、本人がそこまで言わないかも知れませんが、同業者である今回共演した人を含むお笑い芸人に対するもどかしさについて、何とか状況を変えたいという想いからなのではないかと思えます。

ただ、こうした「江頭2:50」という人を前面に立ててその面白さを伝承しようとする番組は、今まさに消えようとする技術や芸能を後世に残すための記録としての意味しか見出せないような気もします。しかしそれではテレビは今以上に面白くなっていかないのではないでしょうか。今のお笑い界はほぼ吉本興業のコントロールの中にあり、それ以外のチャンネルから出て行けないような方向になることがないように、テレビ業界の方々も考えるきっかけにこの番組がなって欲しいという感じがするのです。

お笑いとは違う部分もありますが、今まで男性アイドルの世界を牛耳ってきた「ジャニーズ事務所」も、かつては事業所や所属タレントについて批判すら許されず、不祥事やスキャンダルがあってもテレビでは全く放送されなかった時代もありました。しかし数年前から所属タレントが自らの意志で事務所を離れたり、所属タレントが事件を起こして世間を騒がせたりした時には社長自らお詫びのコメントを出すなどかつての勢いは感じられず、事務所としても曲がり角に来ているように思います。そんな時代だからこそ、テレビの枠からはみ出るようなパフォーマンスを追求する江頭さんがあえて地上波のテレビの中で存在感を示そうとする中で、大手事務所の保護の下になく、「お笑い学校」に通わないでもテレビに居場所を持てる芸人さんが出現してきてくれることも期待したいところです。

(番組データ)

アメトーーク! 緊急!江頭2:50SP テレビ朝日
2018/05/03 23:15 ~ 2018/05/04 00:15 (60分)
【MC】雨上がり決死隊
【ゲスト】江頭2:50/出川哲朗&品川庄司・品川&原口あきまさ&FUJIWARA藤本&ロッチ中岡&アンガールズ田中

(番組内容)

▽江頭2:50で1時間▽数々の凄まじい伝説を振り返る▽どんな少年時代?▽食レポ&コメンテーターに挑戦▽江頭に聞きたい事▽熱湯風呂にも挑戦▽最後は伝説を残すぞ!


テレビに出てくる人の言葉遣いは大丈夫か

この番組は、東日本大震災の特別番組の直後に放送されたのですが、それまでの雰囲気とはかけ離れたバラエティーで、これはこれで考えさせられました。表現を抑えると「かかあ天下なご家庭」、かつて流行った言葉に置き換えると「鬼嫁のいるご家庭」に訪問し、女性の元で耐えるような生活を送っている男性の意見をテレビカメラが入ることによって聞いてもらおうという企画で、基本的には強い女性の姿を見て驚いたり男性に同情したり、パネリストの男女が様々な意見を面白おかしくまとめるという番組になるでしょうか。

この手の番組は過去にも他局で放送されていましたが、男性が暴力的で女性がその暴力に耐えているような場合は番組にならないのか、今回の2家族も女性の方が強いという設定でより強烈なご家庭にはプレゼントを持って再度訪問という形で女性のごきげんを取って番組は終了していました。

実際にテレビカメラを前にしたら普段の行動なり態度はそこまで出ないものですが、この番組に出てきた最初の「元ヤンキー」の女性は、もしカメラが入らずに男性とその中をとりもとうとして知らない人がいきなり入ってきたらどうなってしまうのか、心配してしまうほど「テレビ向き」のリアクションをされていました。元来、こうした状況を画に収めたかったのでしょうし、女性にやりこめられる男性という姿というのはそこまでテレビ局に抗議の電話やメールが来ないということなのかも知れませんが、この家庭での父親たる男性の訴えは、最初こそ「仕事で遅くなる時には洗濯物を取り込んで欲しい」とか、「食べ終わった食器を洗うのに、水に浸けておいて欲しい」というような当たり障りのないものでしたが、その後男性の口から出て来た言葉に、かなり深刻なものを感じました。

どういう事かというと、自分達の子供に女性の荒くて厳しい言葉遣いが移ってきたので、できれば普段使いの言葉については子供の前では気を付けて欲しいというのが最終的に男性の想いだったという事だったのです。子どもにとってはお父さんお母さんという形で見るとどうしてもお母さんの方とより多く接し(このご家庭の場合は男性が営業職で帰りが遅いのでなおさら)、母親である女性とのコミュニケーションが多くなる傾向にあります。就学前ならなおさら、さらに学校へ行く段階になってもこうした家庭内での言葉遣いが当り前のように育ってしまった場合、特に女のお子さんだったらこのケースでは男女の力関係的には女性の方がかなり荒い言葉遣いをしてしまっても許されると誤解する可能性が多くなります。

個人的にはご家庭によって父親と母親の間で力関係に差が出ることは当り前だと思いますが、ここまで極端になってしまうとそのお子さんが集団生活を送るようになって友人や先生、近所の人達とトラブルになった場合に解決をするための手段というのは当然自分の家族の中で見本とする人に求めるようになると思いますので、あくまでそのご家庭独自のものに過ぎない価値感の行使が、どこまで社会に受け入れられるのか心配になります。恐らくテレビで男性が主張したかったことは、特に営業職として自分で正しいと思っていることが通らずに、その想いを押し殺しても家族のために仕事を続けなければならないような事を自分の子が迫られた場合、今のまま大人になってしまって大丈夫なのかと思ったからテレビにまで出て伝えようとしたのではないかと思ってしまいました。

ただ、そのテレビではここまで紹介したような事に類する乱暴な言葉遣いをする番組があったりします。今回紹介した番組を含め、これはあくまでバラエティ番組で、番組を盛り上げるためのエッセンスが入っているかも知れないので、その点についてはお子さんと一緒に見ている場合にはその都度のフォローをしていけば、かえって番組の内容が反面教師のようになる可能性もあります。しかし、そう考えると同じバラエティとは言え、イデオロギーの対立で自説を訴えたいあまりに相手の人格まで攻撃するような論客の出演するニュース番組やニュース系バラエティというのは、その内容によっては大人が子どもに配慮して見せないということも必要になってくるのかなと思います。普通に考えて社会的地位の高い方が罵り合う姿というのは、大人への尊敬を失いかねないかも知れませんし。

よく夏休みの時期に小学生を国会に招いて子ども国会というイベントが開かれることがありますが、国会中継および地上波の政治バラエティの内容を小学生に授業の一環として見せても大丈夫なのか? という風にテレビを作る側の方が考えることが今後は必要になりのではないでしょうか。テレビに出演されたり国会に出たりする方々も、罵り合いでなく皮肉を効かせた「ディベート」で視聴者を唸らせていただきたいものです。

(番組データ)

夫はつらいよ ~鬼嫁直談判バラエティ 願い事を一つだけ聞いてください!~ テレビ朝日
2018/03/11 15:20 ~ 2018/03/11 16:30 (70分)
【スタジオ出演者】 ヒロミ 榊原郁恵 小峠英二(バイきんぐ) 平井理央
【ロケ出演者】
1組目 ~タレント応援団~ 飯尾和樹(ずん)、りゅうちぇる ~ご夫婦~ 河原夫婦(元ヤン鬼嫁)
2組目 ~タレント応援団~ 流れ星(瀧上・ちゅうえい) ~ご夫婦~ 尾崎夫婦(犬好き鬼嫁)

(番組内容)

鬼嫁に歯向かえない気弱な夫が、タレント応援団の後押しを受けて勇気を振り絞って願い事を妻に直談判するバラエティ「夫はつらいよ」。今回、世の気弱夫の背中を押すのは、先日おめでた発表をしたばかりのりゅうちぇる、愛妻家の飯尾和樹(ずん)の2人と、コンビ共に既婚者の流れ星。また鬼嫁お宅ロケの様子を既婚者であるヒロミ&榊原郁恵&平井理央、そして独身者のバイきんぐ小峠がスタジオから見守り鬼嫁度を判定!!

最初の依頼は、元ヤン鬼嫁を持つ32歳の夫から。つらいと思っているのは、「嫁が怖すぎて家族全員がビビってしまっている」こと。元ヤン鬼嫁の口撃にノックアウト寸前の夫をりゅうちぇるとずん飯尾は助けながらも願い事を直談判させることができるのか!?2組目の依頼者は「嫁が勝手に飼い始めた犬によって家庭崩壊の危機を迎えている」26歳の夫から。果たして犬より愛されていない夫から溢れ出る直談判したい切なる願いとは!?


「テレビ・芸能プロデュースの歴史」を忖度するとナベプロの歴史になる?

今回の番組は納豆の食べ方に興味があって何となく見ていたのですが、納豆の話題が終わったと思ったらとんでもない展開になっていくのが自分でもわかりました。何故か脈絡もなく「テレビ・芸能プロデュースの歴史」としてその時だけ新たな【学友】が加わりました。「番組データ」の中にある出演者の中で、「/」の後に名前があるのが後半から番組に出演した人たちです。

個人的には後半の講師を努めていたマキタスポーツさんに同情を禁じえませんでした。番組内のパネルでは一応芸能の歴史ということもあり、今日まで続くアイドルの中には「スター誕生!」からデビューした「花の中3トリオ」とか、松田聖子さんなど「非ワタナベエンターテインメント」に所属しているタレントを主に解説があってしかるべきところもあったのですが、番組で流されたのは最後に渡辺晋氏がプロデュースした吉川晃司さんまでで終了し、途中マキタスポーツさん自らがバンド形式で昔のバラエティの音楽ネタをやったのが一瞬一ネタだけ放送に乗ったものの、まさかあの一瞬のためにバックバンドのメンバーがセッティングしたわけではないでしょう。

恐らくバンド形式による数々のネタ披露とともにそれなりの楽しい芸能の歴史についてのレクチャーがスタジオ内では行なわれたように思いますが、番組の方は主に昔の「ナベプロ」の「渡辺晋」さんはすごい(渡辺美佐さんは若い頃の写真だけ出ただけで何も番組では触れられていませんでした)というように現在のワタナベエンターテインメントは芸能界とテレビを結ぶプロデュース力はすごかったんだというそれだけの内容を番組後半には紹介しただけのものになってしまったのです。

ちなみに、加藤茶さんおよびドリフターズのメンバーは元はナベプロ所属でドリフターズ時代に円満独立。中尾ミエさんにもその事務所名からもわかるように円満にナベプロから独立したので今回の出演となったのでしょう。独立時にいろいろあった森進一さんや沢田研二さん(吉川晃司さんはなぜナベプロに入ったのかという問いに沢田研二さんがいる事務所だからと答えていました)は当然出てきませんでした。元々、メインMCの林修さんが現在所属しているのがワタナベエンターテインメントで、彼の出る番組は軒並み視聴率を取るということから、テレビ朝日は林先生の所属事務所に忖度して今回のような企画が実行し、放送した内容を編集したのではないかと私は推測します。個人的にはもう少し林さんには他の芸能界のプロデュースの歴史についても触れるだけの余裕は持っていて欲しかったと思いますが。

少なくとも、今後の林先生がテレビに出て時の政治に意見を言ったとしても、大きな芸能事務所にとって都合の悪い事については発言できなそうな事が今回の忖度たっぷりのワタナベエンターテインメント礼賛プログラムを許した事でわかってしまったことは今回テレビを見ていての収穫でした。もし、同業他社のタレントが事務所ともめた時に林先生が何かを言ったとしても、話半分に聞いておいた方がいいような気がします。

それにしても、この番組の後半からなぜマキタスポーツさんが講師として起用されたのか、もし今回のような内容になるとわかっていてもマキタスポーツさんは出演を受けたのかという疑問は残ります。あの内容なら講師は中山秀征さんか恵俊彰さん(どちらもワタナベエンターテインメント所属タレント)の方が見ている方もすっきりしたと思うのですが。

(番組データ)

林修の今でしょ!講座 3時間スペシャル テレビ朝日
2018/03/06 19:00 ~ 2018/03/06 21:48 (168分)
【MC】林修(ワタナベエンターテインメント)
【進行】松尾由美子(テレビ朝日アナウンサー)
【講師】赤石定典 市原淳弘 伊藤明子 白澤卓二 津川尚子/マキタスポーツ(オフィス北野)
【学友】秋元真夏(乃木坂46合同会社) ビビる大木(ワタナベエンターテインメント) 吉田栄作(ワタナベエンターテインメント) 高橋英樹(アイウエオ企画) メイプル超合金(サンミュージックプロダクション)/加藤茶(イザワオフィス) 中尾ミエ(アスレティック・ミエ・カンパニー) 平野ノラ(ワタナベエンターテインメント) ブルゾンちえみ(ワタナベエンターテインメント) ミッキー・カーチス(ワタナベエンターテインメント)
【VTR出演】(公式データには記載なし)
吉川晃司(アクセルミュージックエンターテイメント)

(番組内容)

『健康長寿がよく食べる発酵食品~老化STOP 納豆の力を徹底解明』と『テレビ&芸能のプロデュースの歴史』2本立て!!健康長寿の方々に大調査!納豆、味噌…普段食べてる発酵食品は?今回は「納豆」をフィーチャー!血管・骨を老けさせない驚くべきパワーとメカニズムを紹介。納豆の栄養を無駄なく摂取できる「医学的に正しい食べ方」は?Q食べる前に良く混ぜる?混ぜない方が良い?皆さんの食べ方は大事な栄養を損してる?

テレビ放送開始65周年!バラエティや音楽番組、アイドルやタレント、今では当たり前になった「テレビ」の歴史に迫る特別講座!今回は多くのヒットプロデューサーの中でも、その草分け的存在と言われる渡辺プロダクションの創始者「渡辺晋」の功績を見ながら、テレビと芸能の「プロデュース」の歴史を学ぶ!才能ある人を見つけスターにする。面白い番組を作る。そこには私たちの想像を超える、情熱と創意工夫の歴史があった!


迷走した番組からデビューする人へのフォローはどうなる

すでにネットニュースで広く知られていると思いますが、「今夜、誕生!音楽チャンプ」は2018年3月でいわゆる「打ち切り」になるそうです。そんな状況がわかっているためなのかどんどん変な事をやり出していて、まさにテレビ番組はこうやって終わるんだよという事例を目の当たりにさせてくれている感じがするので改めてまた番組をネタに書いてしまいました(^^;)。

まず「ダンス企画」って何なの? と思ってはいけないのかなと思わせるほど当り前に「音楽チャンプ」なのに「ダンス」を競う企画を入れてしまうディレクターの厚顔無恥さはすごいですね。昨年から女子高校生による集団ダンスについては多くのバラエティーが取り上げて映画やドラマも作られましたが、このまま3月終了せずに番組が続いたら、いつの間にかお笑いのネタを競う番組にもなりかねないのではないのかと正直思ってしまいました。

放送時間が60分しかないのにこんな企画を入れるということは必然的にこの番組の本筋であるチャンプに挑戦者が挑む部分をカットしなければならなくなります。番組後半に、番組終了までに何とかこの番組からデビューさせるという命題を達成させるためのコーナーもあるので、さらに時間が取られるということになります。こうなると、もはや新たな才能の発掘ということではなく、他の番組で人気のある部分を切り取って流すという形でのなりふり構わなさを感じ、残りの放送日までを何とかしなければというスタッフの苦労がしのばれる部分でもあります。

たまたま前日、NHKのど自慢チャンピオン大会の放送があったのですが、こちらの方は毎週全国を回って続く長寿番組のチャンピオンの中から厳選された人達が出演し、2017年のチャンピオンを決めるというもので、審査員は音楽チャンプと違ってぬるい人選のような気がしたものの、まず出演者の年齢に幅があり、優勝者も男性でかわいい女性を優遇しているような感じはしなかった点はさすがNHKだと思いました。しかしNHKのど自慢はまだ素人時代の美空ひばりさんを落としたという致命的な判断ミスをしています。それは強烈な個性よりも大人しくまとまった才能を選ぶ傾向を感じ、その点はNHKだからこその壁であるという気もします。

本来はそうした点を突いて、決してNHKでは出てこなそうな人を選ぶ新たな歌のオーディション番組を作ろうと考えてできた番組ではなかったのかという風に思うのですが、やはり真面目にオーディション番組を作ろうと考えたら、大手芸能事務所所属タレントを司会に起用し、最初から視聴率や視聴者の評判を気にしたということが良くなかったのではないかと番組打ち切りという結果がわかってしまった今感じるところです。スターは狙って作るということはあるにしても、この番組はオーディション番組なのですから、やはり普通に応募してくる人の中からきらりと光る原石を見付け育てるようでなければならず、新たなスターが出るまでは視聴率が上がらなくても番組自体の人気が上がらなくても、放送する曜日や時間を変えてでも(早朝や深夜に移動しても)我慢して続けるべきでした。さらにその際に、ネットの評判によって番組での態度を変えるような審査員はやめさせるくらいでないと、結果の公平性は担保できないでしょう。

さらに、今回のような結果になってしまっても、番組スタッフの中で番組で育てた人材をどこまで世に出すための手助けをするつもりなのかという点も今後に向けては試される部分だと思います。せめて今、番組で推している丸山純奈さんと琴音さんをテレビ朝日がどのように育てていくのか、その結果きちんとした形でデビューさせるのが一つのケツのまくり方だと思うのですが、丸山さんをCDでなくあえてネット配信でデビューさせて多くの人が聴いてくれるのかというのが個人的には疑問が残ります。もちろん、今後フォローしながら本格的に歌手への道を進ませて行くのがこの番組を作って彼女らを送り出した責任として、今後のフォローを期待していますが、今後の状況によっては本気の音楽オーディション番組の企画はなかなか実現されないようになっていくのではないかと危惧をするところもあります。

(追記)
番組打ち切りの後で新たな情報が入り、どこまで続くのかは未知数なものの、今後は特番という形で番組の名前は残すような事も言われています。特番になれば私が心配していた合格者へのフォローも行なわれるでしょうし、今回のようなダンス勝負だったり、ピアノなどの演奏、バンド対抗の企画なども入れられるでしょう。しかし出演者の傾向は毎週続けていなければその分見ている人も限られるので、その中である程度の出演者のクオリティを保とうとすれば、テレビ関係者の目に止まったような人が主に集まるような気もします。テレビを見ていて、全く今まで表舞台に円のなかった人が「自分もテレビに出られるかも」と思って応募するような、いわゆる「スーザン・ボイル」さんのような方が出て来るような番組になるのは今後難しいと思われます。

どちらにしても、こうしたオーディション番組はできるだけ選考過程をガラス張りにして、見ている人たちも巻き込んだ形で作っていかないと、事務所とか関係ない才能を発掘する場にはならないような気がします。オリンピックになぜ多くの人の目が釘付けになるのかを考えてみれば、それは確かでしょう。ダンス企画でもいきなり「関東対関西」という形でやるのではなく、大々的に応募を募り、学校のクラブ活動から離れた草の根レベルで活動している才能を拾い上げ、決してクラブ活動で賞を取っているところだけが素晴らしいのではないということを提示するのもテレビの一つの役割ではないかと思います。歌にしても、カラオケバトルやのど自慢では集まらない異種の才能と番組常連の歌うま軍団を競わせるとか、そんなストーリーを探して欲しかったなと今となっては思います。

(番組データ)

今夜、誕生!音楽チャンプ テレビ朝日
3/4 (日) 21:58 ~ 23:05 (67分)
【MC】村上信五、黒木瞳
【審査員】
<カラオケ企画> 大本京、小柳ルミ子、菅井秀憲、田中隼人、森公美子
<ダンス企画> 蛯名健一、CRE8BOY秋元類、夏まゆみ、振付稼業air:man杉谷一隆
【ゲスト】 川田裕美、剛力彩芽
【挑戦者】
<カラオケ企画> 荒金理香、武田優一、濱住夏海 琴音(現チャンプ) 丸山純奈(デビューへの道)
<ダンス企画> 同志社香里高等学校ダンス部、山村国際高等学校ダンス部

(番組内容)

■徳島の合唱ガール・丸山純奈(中2)が5つの課題をクリアし、ついに配信デビュー!デビュー曲をスタジオで初披露する!作詩・作曲は昨年の日本レコード大賞で作曲賞を受賞した、番組審査員でもある杉山勝彦!スタジオ感動の熱唱を披露する!
■新潟県の女子高生、チャンプ・琴音(高1)が3度目の防衛戦に挑戦!今回も3人の強敵がその道を阻む!果たして、3連覇出来るのか!?
■さらに特別企画!高校生ダンスチャンプを開催!関東と関西の強豪校が激突!
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「悲運の漁師」山本秀勝さんはなぜテレビにフィットしたのか

この番組はブログを立ち上げた時に新作が放送されたら必ずこの番組について書こうと思ったほど、表題の山本さんの動向に個人的に注目しています。これほど全く自身とは関係のない本州最北端でマグロの一本釣りを行なう漁師の事が気になるのはなぜなのか、今回は世界最高の技術や感動の作りものでない人間ドラマも垣間見える、平昌冬季オリンピックの開催期間中に放送があったので、ちょっとオリンピック関連番組と比較しながら考えてみることにします。

今回の放送では、番組が始まった当時と比べると出演者の顔ぶれが変わっていることを実感させるように、30代でものすごい量のマグロを揚げる若い兄弟漁師と、彼らと同じ30代ながら大間最年少漁師として海に出ている方の2組に山本さんの近況、さらに見習いで別の師匠の元でマグロ一本釣りに挑戦する山本さんの長男の様子を見せる構成になっています(今回次男の現在については出てきませんでした)。確かに技術も根性も、創意工夫の姿も、漁を離れた時の表情もまさに地元の勝ち組(特に若手No.1の兄弟漁師の方々)なんだなあと思え、好成績を挙げると延々と紹介される日本の人気選手にその存在をだぶらせることができます。

ただ、そういう方がいくら釣果を誇ろうとも、テレビに映し出される映像というのは狙い通りにマグロを釣り上げた場面だけです。オリンピックの金メダリストの競技やそのメダルに至った物語さえ毎日見せられていると辟易してきてしまうので、今回だけでもうお腹いっぱいというのが正直なところなのです。
「悲運の漁師」山本秀勝さんはこれまでの番組出演で、何と一年間全くマグロが釣れない年が3年も続くなど、マグロを面白いように釣る人達と比べて何という悲運続きなんだと涙で枕を濡らしながら見る人がいる一方、半ば莫迦にするように笑いながら見るという人も少なからずいると思います。確かにそういった山本さんの悲運の数々をとらえて笑いにつなげようとする演出上の意図が感じられる作りにもなっているのですが、ここで考えていただきたいのが、山本さんご本人がある意味「無礼」な事もされる中で何故取材を受け入れ、漁船に取材クルーを受け入れる寛容さがあるのかということです。

それが地方の人特有の「人の良さ」であり、その人の好さに付け込んでテレビ局も取材に入ったのかも知れませんが、次第に自分の姿が単なる漁師としてではなく、自分が失敗する様子をクローズアップされて怒りたいことがあったり、さらにマグロ漁船で密着中に釣れないことを突っ込まれることに対して声を荒げたり問い掛けに答えなくなる様子まで画面に映し出されていたこともありました。

ただ、この番組の最初は山本さん個人へ集中した取材をしていたわけではなく、元々は夫婦舟でマグロを釣っていた奥さんを亡くし形見のスカーフを巻いて漁に出る、山本さんの先輩の渡辺さんに密着取材をしている中で、渡辺さんに「助け舟」を出す山本さんにも取材し、その素朴な人柄となかなかやることと釣果が噛み合わない「悲運」をそのまま画面で見せられることで視聴者の興味がどんどん山本さんに集まる中、山本さんの事情としてもお二人のお子さんの結婚や就職という人生のイベントをひかえる中でテレビの存在は大事であることに思い至ったことは考えられます。

今回の密着では、最初から冬の漁に山本さんは出遅れてしまいます。それは、漁船同士の衝突事故を起こし、船体に穴が開いてしまったからで、修理が済むまでの間は漁に出られなかったのです。個人的にはスピードが出ていて衝突したのではなかったので決して「悲運」ということではなく、逆に漁船の穴を塞いで復帰をすぐに果たせたのは「幸運」だったのではないかとも思います。
さらに、若手の漁師が100キロ以上の大間まぐろを水揚げする様子を映し出す中、山本さんも3年振りにマグロを釣り上げたのですが、その大きさは40キロ台という、釣り上げた当の山本さんも手放しで喜べず、番組を継続してご覧になっている方ならおわかりのご自身へのご褒美としての儀式「スーパーのお寿司で夕食」という事もせず、最近買いだしたネコの「ピコ太郎」へのご褒美もなしということで本年は終了でした。

二人の息子が家を出て、その寂しさをまぎらわすために譲り受けたネコのピコ太郎と戯れる山本さんの姿は実に人柄の良いおじさんという感じで見ているだけでもなごんでしまいます。私自身がこの番組にはまる一番の要因は、こうしたどこにでもいそうな、決してずばぬけた能力があるわけではない地方の漁師さんが、一人で乗り続けるには経費がかかるわりに必ずもうかるわけでもなく、冬の荒海に乗り出すため常に命の危険もあるマグロの一本釣りを諦めずに続けているという生き様に励まされるからに他なりません。

オリンピックは勝つことより参加することに意義があるという言葉がありますが、今の世の中はメダルを取るか取らないかでその注目度に大きな差が出て、そもそもオリンピックに出られる事というのはその競技のスペシャリストであることの証で、特に冬の競技はマイナーな種目が多いのでメダリスト偏重でなく、オリンピック終了後でもサポートが少ない中で頑張っている様子を報道して欲しいと思いますが、そんなテレビ界の注目の付け方からすると、この番組の山本秀勝さんの扱いは破格で、それこそ中高年の星のような感じを受けるのは私だけでしょうか。

山本さんは他の出演漁師と比べても使っている装備が古く、要領も一人で船を操縦しながら漁をしている関係もあり必ずしも良いとは言えないのですが、大間に行く観光客も山本さんの船を目指したり、漁協のネットショップでも「山本さんグッズ」を大々的に売り出すくらい私だけでなく多くの人から注目を集めるだけの存在になっています。これはひとえに山本さんの素朴な人柄と、人から「悲運の漁師」と言われてもめげず、今日よりも朝日の希望に向かって出港する生きざまに多くの人がシンパシーを感じていると私には思えます。くれぐれも体調には気を付けて、ゆくゆくは長男の方との親子船で漁をする姿も見てみたいものですが、ドキュメンタリーに予断は禁物です。今後もこの番組が続くということがあるなら、多くの普通の視聴者が生きていくための力が生まれるような山本さんの姿を映していって欲しいですね。

(番組データ)

マグロに賭けた男たち2018 ~あの悲運の漁師は?極寒の死闘スペシャル~ テレビ朝日
2018/02/18 18:00 ~ 2018/02/18 20:00 (120分)
【ナレーション】渡辺篤史

(番組内容)

命とプライドを賭けて、“海のダイヤモンド”=本マグロに真剣勝負を挑む青森・大間のマグロ漁師たちに密着取材。 今シーズンは、番組史上最高の“爆釣”!かつてない大漁を激撮! さらに、あの“悲運の漁師”山本秀勝さんにも密着。昨シーズン4年ぶりに100kg超えの巨大マグロを釣り上げ、男の意地を見せつけてくれた山本さんだが、今シーズンは…? 若手ナンバー1の凄腕漁師や大間最年少の一本釣り漁師も登場!

【“悲運の漁師”山本秀勝さん】 16年追いかけてきた“悲運の漁師”は、今シーズンも悲運が襲い続けていた!今シーズン、長男・剛史さんも一本釣りに初挑戦!巨大マグロに賭ける山本親子の行方は…

【若手No.1の兄弟漁師 南芳和さん・竜平さん】 大間で1、2を争うほどマグロを釣り上げる南兄弟。その神業の秘密とは…

【大間最年少の一本釣り漁師 泉健志さん】 2年前に結婚し、娘も誕生。家族を守るため、必死で戦う最年少船頭の実力とは…


テレビカメラに身を晒す時期とその効果

2017年の鳥取巡業の時に起こった貴乃花部屋の幕内力士・貴ノ岩が頭に怪我を負った事件で、一部のマスコミでは全くしゃべらない姿ばかりがテレビに映っていたことから、かなり不快感を持ってテレビであげつらっていた人もいた貴乃花親方が、今までの沈黙は何だったのかと思えるほど饒舌に語るというこの番組は本当にテレビらしいと言えます。

翌日のワイドショーだけでなく、当日の報道ステーションでもこのインタビューの事が放送されるなど、かなり多くの人の目に今回のインタビューが触れたと思うので、今回改めてこの番組を見ていて色んな貴乃花親方についての人物評がされたことでしょう。なぜこのように急に貴乃花親方がカメラの前で喋ったのかというと、番組内で親方は、理事選挙で落選するまでは自分は協会側の人間だったので、協会の意見に反する想いを公の場で述べることは協会と関係なくなるまで喋ることができなかったのだそうです。

そうは言っても大相撲好きな方なら、貴乃花親方というのは現役時代、土俵で対戦する可能性がある力士とは付き合わないなどかなりストイックにご自身の道を生き抜いたという感じで、昔から真面目ではあるが融通がきかないというようなイメージを持たれている方も少なくないと思います。この番組で語るまでは、そうしたイメージ通りに何を考えているかわからないという方も、こんなに饒舌に喋るし、相撲協会へも逐一文書での連絡をしていたことがわかった中で今回の騒動を見ていくと、今まで貴乃花親方に対して思っていたイメージとは変わってしまうこともあるのではないかとも思えます。

ただ、この番組のスタンスは、マフィアのようだとまで言われた「マフラーをする理由」まで細かくフォローするなどインタビューをお願いした貴乃花親方寄りに立って情報を出しているようなところもあるので、ある程度は差し引いて見ることは必要だと思います。番組の中で強調されていたのは、今回のインタビューで出た貴乃花親方の見解について、相撲協会側には質問状を提出したことでした。しかし、番組放送翌日の羽鳥さんのモーニングショーでもテレ朝の方に相撲協会からの回答は送られてこなかったそうです。今回の放送を受けて、相撲協会側の反論が出てきたらさらに盛り上がると思いますが、さすがに相撲協会の方々は番組を見ていても直接カメラの前で問いに答えることは難しいでしょう。実はそれこそが貴乃花親方がテレビカメラの前で沈黙を通した理由なのだと考えると、まともな回答は今後も出てこないのではないかとも思えます。

テレビというものは恐しいもので、このようにテレビカメラの前でインタビューに答えたありのままの姿というのは、これまでの貴乃花親方に対する不信感を払拭するかもしれない力を今後生じさせるかも知れません。というのも昨日の今日でも何回も番組内のシーンが出てきましたし、その言葉がこれまでの協会側の主張を崩すようなものであれば、何度でもリピートされます。と同時に、テレビは貴乃花親方と対立する協会側の親方の姿も映すことになるでしょうが、それは貴乃花部屋まで来てみたものの親方に会わせてもらえず仕方なく帰る姿の繰り返しであったり、どうしても「正義の味方」と「悪の軍団」という風にはっきりとした区分けをするのが好きなのがテレビであり、現状では貴乃花親方に反論するためにカメラの前に出て行けば自分が「悪の軍団」として認識されかねないと恐れている方も少なくないでしょう。

実際のところはそう簡単に善と悪が分かれるものではないということも、多分そんな番組を作っているテレビ制作側の人間もわかっているのではないでしょうか。なぜなら、今回の貴乃花親方が選んだ道と同じように、大きな企業に内部告発をして大企業の悪を訴えようと思った人がいても、その人を必ずしも正義のヒーローとして扱わず、もしかしたら企業の論理に従わない不良社員(または取引先)という風に扱うことも過去にはあったからです。

結局のところ、テレビは大手スポンサーにしろ視聴者にしろ、番組を見てくれてその流れに乗ってくれる層に合わせたような情報を出していくことがあります。もしテレビ朝日はそうでないと言うなら、決して相撲協会の意見をはなから否定するようなことはせず、公平公正に両者の主張を戦わせる続編をやるために、関係者を口説き落として朝まで生テレビ!で徹底的に討論させるというのも一つの手かも知れません。

(番組データ)

独占緊急特報!!貴乃花親方105日沈黙破りすべてを語る
2/7 (水) 19:00 ~ 20:54 (114分)テレビ朝日
【出演】貴乃花光司(貴乃花部屋)
【聞き手】山本晋也(映画監督)
【スタジオ司会】渡辺宜嗣アナウンサー 大下容子アナウンサー

(番組内容)

(1)覚悟の理事選“敗れて悔いなし”全胸中を激白
(2)貴ノ岩関傷害事件とケガ全真相
(3)協会と深い溝…無言の裏で提出文書数十通 猛抗議
(4)“独りに立ち返る”相撲道貫く信念


バラエティ番組で笑われるタレントにも立派な理由がある

久しぶりに復活した「しくじり先生」ですが、今回2人目として登場したにしきのあきらさんは、今ではすっかり「スター」という言葉が似合うバラエティタレントだと思っている方が多いと思います。私の印象というと、今回の番組の中でも出てきましたがフジテレビのスター大運動会や水泳大会では必ず目立った活躍をする身体能力の高い歌い手さんというイメージが強いのですが、今回その芸能界での浮き沈みの様子を聞く中で、一般の人が憧れる芸能界で活躍したからこそ陥る苦悩というものを改めて感じました。

というのも、ある程度顔と名前が売れてしまった場合、活動が停滞したり仕事がなくなったりして本格的にお金に困った場合、普通の人なら外からの目を気にせずにアルバイトでも肉体労働でもやってお金を稼ぐことができますが、過去の栄光にとらわれてプライドがあるような場合や、お子さんが学校に通っているような場合、どこでそうした姿が見られるかわからないということがあります。本人だけならまだしも、子供さんがそうした行動を見咎められた人から口コミで話が広がり、いじめのネタとされない保証はありません。

そんな状況の中だから事業をやろうとか言われて騙されたり、お金のやり取りについてそちらでも騙される可能性があるわけですが、信頼していた知人にだまされて借金が増えたり横領されたりして、遂には家が差し押さえを食らうという最悪な状況の中で声がかかったのが日本テレビ「とんねるずの生でダラダラいかせて!!」だったのです。

私自身もこの番組でのにしきのあきらさんのバラエティ番組にフィットした姿に大笑いした一人ですが、その裏にどういうことがあったのかというのが今回の番組を見てわかりました。一時期には芸能界のトップと呼ばれた人が、なぜ毎回ドッキリを仕掛けられ、ものの見事にどっきりに引っかかってもめげずにテレビに出てくるのかというのは、今回の番組で語られたような金銭面での苦労があり、自分を呼んでくれて仕事をくれる日本テレビのスタッフにいやな気持ちを持つどころか最悪の状態から救ってくれたことに感謝しているような感じでした。

実はこの「とんねるずの生でダラダラいかせて!!」は今のロンドンブーツの番組のように親が子どもに見せたくない番組の常に上位をキープしていました。今思えば、かつての大スターであったにしきのあきらさんを笑いものにしているという事もその理由の一つだったのかも知れませんが、現実はまるで違うということが今回の番組を見た人には理解できるでしょう。

確かに無様に落とし穴に落ちたり、くだらないことで体を貼っているタレントを見て眉をしかめる方もいるかも知れませんが、そんなことは十分承知の上でもらった仕事をこなすことでしか生きていけない人もいるということを、多少はテレビを見る側の人も理解して、例えばそこから差別的な感情がお子さんに生まれるかも知れないと思ったら、番組を見終わった後に「タレントさんはああして人を笑わせることが仕事なんだよ」とフォローしてあげることが必要なように思います。

このような、テレビに出ることでしか稼げない事情のある人にとっては、たとえ多くの人から下品だと思われようが気持ち悪いと罵られようが、出演するしかないと腹をくくっていたり、自分がテレビに出ることで多くの人が笑ってくれることに仕事としてのやりがいを感じている場合があるのです。しかし残酷にも、にしきのさんのようにテレビに出て人気をもりかえすことができるケースとは違い、テレビ視聴者の訴えからテレビ出演そのものを降ろされてしまう人たちもいます。

それはドリフターズの「8時だョ!全員集合」(TBS)のコントの中で一瞬出てきて笑いを誘い、子どもたちにも人気があったものの大人の事情で番組を降ろされてしまった「Mr.ポン」や、全日本女子プロレスと一緒に興行をしていながら決してテレビでの放送がされなかった「小人プロレス(後にミゼットプロレスと改名)」の例があります。今でこそNHK Eテレの「バリバラ」で体に障がいを持つお笑い芸人という人が登場したり、番組の中の企画として本格的なバラエティが放送されていますが、この場合は障がい者に関する問題を継続して放送してきたEテレだからこそ許される部分があり、他の地上波チャンネルでは昔も今も誰かが声を挙げたら即テレビに出られなくなる状況は終わっていないと思われます。

今後も地上波では無理かも知れませんが、CSやネット配信の番組でなら地上波では放送が難しいようなケースでも番組として成立する可能性は残ります。今の日本には潜在的にたくさんのテレビに出たい人がいて、たとえそれがいじられて笑われるような立場であってもそれで自分の存在が知られるならテレビに出たいと思う人もいるでしょう。そんな人の中で、とにかく面白ければスターへの道が開ける、かつての「全日本歌謡選手権」のような番組を作ったらどうでしょうか。

今回のにしきのさんのような芸能界を干されて困窮極まった元人気者と、今までは人前に出ることさえ不謹慎だと言われてきたような体に障がいを持つ人などが同じ舞台で明日のスターを夢見て「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」のような、誰がどれだけ笑わせるかをチャレンジする番組が実現できれば、人によっては不謹慎と写っても、全てが平等に審査されるなら、決して一部の人から糾弾されるような番組にはならないように思えるのですが。

(番組データ)

しくじり先生 俺みたいになるな!! 2時間スペシャル テレビ朝日
1/28 (日) 18:57 ~ 20:54 (117分)
【しくじり先生】村主章枝・錦野旦
【担任】若林正恭(オードリー)
【レギュラー生徒】吉村崇(平成ノブシコブシ)
【生徒】あき竹城・伊集院光・岡田結実・澤部佑(ハライチ)・杉山愛・関根勤・高山一実(乃木坂46)・辺見マリ・真野恵里菜・横山だいすけ・遼河はるひ

(番組内容)

過去に大きな失敗を体験した“しくじり先生”が生徒たちにしくじった経験を教える反面教師バラエティ番組「しくじり先生」!今回はスター錦野旦先生と元フィギュアスケート選手の村主章枝先生による熱血授業を開講します!次々飛び出す驚愕エピソードに教室が震撼!そして授業の最後には先生たちによる熱いメッセージで教室は感動の嵐に!お楽しみに!

・村主章枝…「引き際を誤って家族に迷惑をかけないための授業」 オリンピックに2度出場し、その卓越した表現力から“氷上のアクトレス”と評された元フィギュアスケート選手の村主章枝が緊急帰国!“トリノ五輪後に引退しなかった本当の理由”を激白!誰もが冷静な判断を下すことが難しい“引き際”について真摯に向き合い、長く現役を続けた村主先生だからこそ悟ることのできた人生の教訓を伝えます!

・錦野旦…「安易に人を信用して地位も名誉も財産も失わないための授業」 “スター”の愛称で世代を超えて愛され続ける錦野旦が登壇!デビュー1年目にして日本レコード大賞「最優秀新人賞」受賞、さらに紅白歌合戦にも出場。スター街道を歩んできた錦野先生は自身のある性格が原因で、大きなしくじりを犯し、地位も名誉も財産も失うことに。「本当にしくじった!」と反省するスター錦野先生が転落人生を赤裸々に激白します!


サスペンスドラマに新技術と言えば聞こえはいいものの

以前、藤子不二雄Aさんが書いた「少年漫画」に関してのエッセイを読んだことがあり、その中で強く印象に残ったことがあります。今の漫画界は少年漫画も成年コミックも並列に語られることが多いですが、昔は漫画は子供が読むものとして読者層は総じて低年齢が多かったということがありました。

藤子不二雄さんの2人は「オバケのQ太郎」が大ヒットし、アニメ化される中、雑誌とテレビの勝手の違いに戸惑うことになります。視聴率的にはまだまだ十分な数字を叩き出していたにも関わらず、キャラクターを使ったお菓子の売り上げが落ちてきたという理由で、藤子さんは「オバQ」に変わる新しいキャラクターによってテコ入レをする必要に迫られたのです。そうして出てきたキャラクターが「パーマン」「怪物くん」「ウメ星デンカ」と続きますが、その後テレビアニメ界はいわゆる「スポ根」ものの雄である「巨人の星」に取って代わられて、藤子さんらはテレビの世界からいったん退場します。

その後、藤子さんら2人は活動の幅を広げ藤子・F・不二雄さんは「異色短編集」、藤子不二雄Aさんは「黒イせぇるすまん」」(後に「笑ウせぇるすまん」に改題)や「毛沢東伝」のような大人向け作品を描くようになり、仕事の幅を広げていきます。ただ、その頃からは藤子不二雄Aさんの記述によると日々の疲れがひどくなり何か調子の出ない日が続いたとのことでした。

そんな時、藤子不二雄さんの元に運命的な一通の手紙が届きます。その内容は当時小学館の学習雑誌に唯一月イチ連載していた「ドラえもん」に関するファンレターで、最後に藤子さんにとって痛烈な一言が書かれていたと言います。それは「なぜ先生は少年漫画を描かないのですか? もっとたくさんの藤子先生の漫画が読みたいです」というような内容のものだったと言います。

その時、藤子さんにはようやくそれまでの不調の原因がわかったのだそうです。心を動かされるような少年少女からの熱い手紙が届かなくなって久しい中、新しい漫画を描く活力が失なわれていたことに気付き、「ドラえもん」をはじめとした藤子作品を中心に据えた「コロコロコミック」で当時必ずしも少年読者向けのものでないものも混じっていた週刊漫画誌とは一線を画すコドモ向けの漫画に力を入れ出したということがあるのです。

こうして少年漫画と成年向け漫画の両方を描いてきてその違いについて、自分の漫画を熱烈に読んでくれるのは少年漫画の方だという結論の他、漫画の描き方にも大きな違いがあるということをエッセイの中で明かしています。何が違うかというと、少年漫画の方は熱烈にコマの中の細かい部分までしっかりと読み込む傾向があるので、成年漫画なら黒塗りでも済んでしまう車の裏側でもきちんと調べて細かく描きこむ必要があるので、同じ枚数を仕上げるにも成年漫画と比べて倍以上の時間と労力がかかるというのです。

現代と昔とは漫画を描く手段も違ってきているので一概に比較はできませんが、熱心に漫画を見ている人からすると、あからさまにコピー原稿を使い回していたり、背景などの省略が多い漫画についてはすぐに気付くことは間違いないでしょう。漫画家の中にはわざとそうした「手抜き」をギャグにしている人もいますが、逆に丁寧に描きこんでいることで出てくる魅力というものがあり、それが少年少女の心をうち、今だに人気が衰えないことにもつながっているのでしょう。

かなり前置きが長くなってしまいました(^^;)。ここまで私が書いたことは、テレビについても同じような事が言えるのではないかと思えます。よくテレビと映画との違いということを考える時、一番の違いはその予算だと思います。予算の差を埋めるためにテレビは様々な工夫をするわけですが、今回見た「越後純情刑事 早乙女真子」というどらまでは、私の勘違いであればいいのですが、一部のシーンでロケに出ないで俳優と背景をクロマキー合成したのではないか? というようなシーンがありました。こうした処理というのはテレビドラマではしばしば使われ、特に列車や自動車運転のシーンの窓の外の風景というのはなかなか合成しなくてはできない部分であることは十分に理解できます。

しかし、外のシーンでクロマキー合成のようなシーンが出てくると、天候の影響でロケができなかったのか? と思う以前にやはり本放送が土曜夜から日曜朝になり相当制作費も削減されているんだろうなと思うと同時に、今後もお金が掛けられないなら映像的な見どころも減るんだろうと思ってドラマ自体を見なくなるという人も出てくるのではないかと思ってしまうのです。

今の時代は市販されている一眼レフカメラでもテレビドラマを作ることができるくらいのクオリティがあります。もしかしたらそうした機材を使ってアマチュアがネットに投稿した連続ドラマの方が、時間とお金の制約がなく作り手が作り上げられる分面白くなるのではないかとも思えます。そうなれば現在のような「ユーチューバー」による面白動画だけでなく、ドラマの世界においてもテレビ局の存在が失なわれていくのではないかというような事を考えてしまうのは先走り過ぎるでしょうか。

そういう意味では、ナイトドラマのようなあえて低予算で作るようなドラマでは仕方ないにしても、昔から多くの目の超えた視聴者のいるサスペンスドラマについては、細かい所で見ている人に指摘されるようなことのないきちんと作りこんだドラマで勝負して欲しいと思う今日このごろです。

(番組データ)

日曜ワイド「越後純情刑事 早乙女真子」テレビ朝日
1/28 (日) 10:00 ~ 11:50 (110分)
【出演】比嘉愛未、宇梶剛士、近江谷太朗、渋谷謙人、松田悟志、濱田和馬、伊藤貴璃、遠山俊也、仲野元子、朝加真由美
【脚本】吉本昌弘
【監督】坂本栄隆

(番組内容)

長岡中央署刑事・早乙女真子(比嘉愛未)は中学生のときに両親を事故で失ってから、警察庁刑事局長の伯父・実(宇梶剛士)が親代わり。亡き母の故郷である長岡にやって来たのは、口うるさい実から逃げるためでもあった…。ある日、ショッピングモールに爆発物を仕掛けたという電話が署にかかってきた。

先輩刑事・鬼平貫一(近江谷太朗)から連絡を受け、後輩刑事の木下裕也(渋谷謙人)と共に現場に駆け付けた真子は、展示物に違和感を抱き、ぬいぐるみの一体に爆発物が仕込まれていることを見抜く。だが、爆発はとても小規模で、被害が出るようなものではなかった。