0502トークバラエティ」カテゴリーアーカイブ

NHK教育(Eテレ)は今回の激レアさんに出演依頼すべし?

最近の更新はこの番組オンリーになってしまっている感がありますが、フジテレビの「全力!脱力タイムズ」と違って番組の全てがふざけているという感じではなく、ところどころでふざけているそのバランスが見ている方にとって心地良いのでつい面白く見てしまうところがあります。

ただ、番組を面白くしようとするあまり、番組で取り上げる対象について、大切なことを忘れてしまうきらいもあるので、今回はその事を中心に紹介していこうと思います。最後にあるテレビ局提供の番組内容を見ればおわかりの方は多くいると思いますが、過去にインターネットを媒介にして拡散されたいわゆる「バカ画像」に写っている本人が登場し、その「バカ画像」はどういった経緯で撮られたのか、さらになぜ非ネットの中で撮られたに過ぎないプリクラのシール写真がインターネットに掲載されることになったのか、さらにこの画像が拡散されたことによって、写真に写っている人達にどのような影響が出たのかということまで面白おかしく喋っているというのが今回の番組のキモです。

しかしながら、番組を面白く伝えようとするあまり、過去の「若気の至り」とも言える写真が今でも誰もが見られる状態でインターネット上に置かれている事についての危険性や本人達がもしかしたら今後受けるかも知れない受難について指摘しなかったことは、ともすれば今回出演していたご本人にとってこれからの人生において拭い去れない過去として復活するかも知れず、実はデリケートに扱わなければいけないところでもあるかと思います。そのフォローがないまま終わってしまったということもあり、最初のような「そこまで面白さを追求しないでもいい」NHKのEテレで後追いでもいいのでこの話題について出してくれないかと思うわけです。

今回の番組で紹介された「バカ画像」というのは、あくまで中学一年生の時に仲間うちで撮影した「記念写真」に近いもので、いわゆる犯罪行為を自慢するものでもなければ、異性との交遊を見せつけるものでもなかったため、テレビで画像を紹介したとしても本人達がかなくなに画像を出したくないという性質の写真ではなかったのでこのような番組で弄り倒すということも成り立つのですが、全てがこのように一定の時間が経過すれば人畜無害化していくようなものではないことも確かです。だからこそ、この写真というのは現在の小・中・高・大学生にとって「生ける教材」としての価値を持つものではないかと私には思えるのです。それは、あまり何も考えずに自分の姿をネット上に晒してしまうことが最悪どんな結果をもたらすかという一種のシミュレーションです。
今回の写真は、普通なら非ネット上でしか出回ることのないプリクラで撮影したプリントシールであり、なぜその写真がネットに流出したのか? という事を検証することが大切になります。これについては番組でも紹介されていました。

単なる物体に過ぎないプリントシールがネットに掲載されるのは、誰かがその写真をデジカメ(スマホや当時のガラケー)で撮って、ネットにアップしなければ写真は拡散されることなく仲間うちのちょっと恥ずかしい思い出として残っただけだったでしょう。今から10年前と言いますから2000年代に中学生達の中で流行っていたものの中に、「前略プロフィール」というサイトの存在がありました。このサービスは2004年に開始され、2016年に全てのサービスが終了となりました。サービスの終了とともにサーバーに上がっていたデータは全て削除ということになったのですが、ガラケー時代にネット上で友人を作りたいと思う若年層を中心に流行したサービスです。

もう少しこのサービスについて説明すると、定形のプロフィールを入力していくと本人の紹介ページとして機能し、それを見た不特定の人から連絡が来たりしていわゆる「メル友」になったり会っりしたりできるという、今で言うSNSの先駆けという感じのものでした。その頃の中学生の男子がこのサイトに登録して自分のプロフィールを公表するということは、やはり女の子からメールを貰いたいという下心があることは普通に考えればすぐわかることで、今も昔も文字だけのプロフィールよりもインパクトのある画像をプロフィール写真を載せることが大事だということは承知していたことでありましょう。そこで、問題になっている「バカ画像」を自分のプロフィールとして一緒に撮った友人に相談することもなくアップしてしまった人がいたことで、可愛い女の子が注目してメールを出すのではなく、ただただその画像の余りの「若気の至り」的なインパクトが高かったゆえ、当時の2ちゃんねるやまとめサイトに転載されたことにより、今回テレビにまで出てしまうほど有名な「バカ画像」になってしまったわけです。

この事を考えるにあたり、一つの教訓が導き出されるでしょう。今の世の中は写真を撮るということは常にその写真がネットにアップするには簡単な形で用意されるということです。そこで、その場に流されて顔や犯罪・法律違反が疑われる行為が記録された写真を何も考えずにアップした場合、多くの場合はそのままスルーされて何の問題も起こさないかも知れませんが、世間には写真から場所や学校を特定させ、学校に通報するような事を生業にしているサイトもあるので、ここまで有名になることはなくても、彼らが属するコミュニティ内で最悪生きていけなくなる可能性すらあります。こうした事を防ぐためには、簡単にスマホで撮った写真をアップすることを自制する事が大事であり、そうしたネットやSNSを楽しむ前に自分の身の守るために知っておきたいことをテレビで紹介することも大切なことだと思います。冗談ではなく、今回番組に出てくれた当時者に話を聞きながら、その後の人生が暗転するような事が起こらないためにはどうしたらいいかというテーマで、ぜひEテレは一本番組を作って欲しいと思います。

(番組データ)

激レアさんを連れてきた。 テレビ朝日
2018/06/11 23:20 ~ 2018/06/12 00:20 (60分)
【研究員】若林正恭(オードリー)
【研究助手】弘中綾香(テレビ朝日アナウンサー)
【客員研究員】松岡茉優、いとうあさこ

(番組内容)

伝説的なバカ画像「チャリで来た。」の張本人が登場!あの写真に隠された意外すぎる真実、ネット拡散の悲劇、そして訪れた奇跡の結末まで徹底的に研究していくぞ!! 本日の激レア研究はこちら!
【激レアさん1】 中1の時に撮った写真が伝説的なバカ画像としてネットで拡散してしまい、その後10年間、運命に翻弄され続けている人。
【激レアさん2】 交通安全教室で年間300回以上も車に轢かれる売れっ子の轢かれ役。


字幕放送の限界と今後の問題

今回の番組のメインテーマである、息子によって新進デザイナーとしてデビューすることになってしまった実の母親の成り上がり物語は大変面白かったのですが、今回はその壮大なドラマのすき間に入り込むような形で放送された「激レア」な職業についてのレポートを見ていて、ちょっと気になることがあったのでここで紹介させていただこうと思います。

テレビの設定で切り替えることができる「字幕放送」の文字をリアルタイムで入力しているステノキャプショナーという仕事があるのですが、ここではその仕事をされている方に取材して、どのくらいの早さでどの程度正確に入力ができるのか検証していたのですが、特殊なキーボードを使い、主にニュース用語などを単語登録することによって1分間に300文字以上という驚異のキーボード入力速度を実現しています。

ただ、普段はバラエティ番組を担当していなくて、ニュースの文字化を担っているオペレーターの方一人に、普段全く聞いていないだろうと思われる「ジョイマン」のお笑いネタを文字に起こしてもらうという無謀な依頼をこの番組では出していました。

ちなみに、実際にリアルタイムでテレビからの音声を文字化するにあたり、取材を受けた会社では2人一組で仕事を行ない、一人が入力したものをもう一人が漢字に直したり間違いを直したりした後でアップするような事を行なっていましたので、番組で検証した結果というのはあくまで、特殊なキーボードを使ってどこまで早口で行なわれるコントネタを追い掛けられ正確に記述できるか? というような事だったろうと思います。

私自身はそれまで、実際にお仕事として口述されたものをテキスト文書化するような人達は早く正確にできるものだろうと思っていたのですが、実は意外とそうでもないということに正直びっくりしました。ただ、ネタの早さに付いていける入力スピードだったのはさすがでしたが、「正確に」出力するためには大きな問題があり、それがたとえ特殊なキーボードを使っていたとしても、間違ってしまう根本的な原因があることがわかりました。

それは、私達がキーボードを使って入力する事と同じように、漢字をパソコン上で出すために行なわなければならない「かな漢字変換」の問題です。特に文章をそのまま写すのではなく、喋り言葉を文字化しなければいけないので、喋った内容をそのままかなで打ったとしても、変換をかけると正しいと目視で認識できないような「誤変換」が起こってしまいます。これはいわゆる「かな漢字変換」が基本のキーボード入力では回避できないもので、そこを変えていかないとどうにもならないように感じがするのです。

しかしながら、今後のテレビを考えてみると、生放送の字幕放送についてのニーズは現在よりももっと上がっていくのではないかと思います。というのも、今までは耳が不自由な人のためだけの放送ではなくなっているということがあるからです。

大きなショッピングセンターや高速道路のサービスエリアに設置しているテレビを見た方はおわかりかと思いますが、あえて音声を出さずに字幕放送にしておくと、周辺が騒々しい中でも字幕を読むことでドラマの内容やニュースの内容がわかりますし、それなりに聞こえなくても楽しめてしまいます。こうした形で字幕放送が使われることが多くなれば、やはりどんな番組でも字幕付きで見たいというニーズは出てくると思います。

そうなると、オペレーターの育成が必要になると思うのですが、何しろキーボードが特殊で興味があったとしてもなかなか手に入れることはできないでしょうし、さらに練習用に購入したとしても就職できるかわからない状況でお金を出すだけの人がいるのかどうかということもあります。

個人的な見解を言わせてもらえば、先述の「かな漢字変換」を行なわない入力方法ならば、常に画面に出す漢字を入力者が決定できるので、こうした字幕放送のオペレーターが使う入力方法としてより正確な文字を打つことができます。今使っているキーボードも入力方法も変えてしまい、一般的などこでも手に入るキーボードを使って「漢字直接入力」の行なえるオペレーターを育成することが大切ではないかと思うわけです。

ここまで読んでいただいて、「漢字を変換しないで入力する方法があるの?」と疑問に思う方もおられるかも知れませんが、元々日本語の扱えるタイプライターはどうなっていたか調べていただければわかるかと思いますが、和文タイプライターというものがかつてあり、そのオペレーターはかな文字だけでなく漢字も直接タイプして入力することを普通に行なっていました。

日本語ワープロの技術を研究していた時にも、「かな漢字変換」の他にキーの複数入力で直接漢字を画面に出す方法も考えられていたのですが、そうした漢字の出し方をするためにはいわゆる「常用漢字」の二千文字を超える数をそれぞれ直接入力できるように継続した訓練が必要になるディメリットがあります。日本語ワープロは初心者でも文字が打てることをテーマに開発されていたところもあったと思うので、時間はかかってもかな文字さえ入力することができれば漢字は自分の出したいものに何回も変換していくことによって誰でも入力できるような方式に落ち着きました。そのためこれだけ多くの人が日本語をワープロを使って入力できるようになったのですが、今回紹介した特殊技能についてはあえて誰でもできる方法をなぞってそのために正確に入力できないストレスを感じるならば、オペレーターを訓練して早く正確に日本語を入力できる「漢字直接入力」に変えていくのも十分ありだと思うのです。

具体的な「漢字直接入力」の形式としては、T-code、TUT-code、G-code、超絶技巧入力などがあり、そのどれもが「Google日本語入力」の「ローマ字カスタマイズ機能」を使ってその設定ファイルを読み込ませることができれば、普通のノートパソコンのキーボードからでも利用が可能になります。つまり、現在のように専用のキーボードが用意されている会社からでないと文字起こしができないということでなく、自宅でインターネットさえあればそこから直接作業ができるような環境も作ることができます。当然入力の学習におけるコストはかかりますが、一度覚えてしまえば導入のための費用は一切かかりませんし、もしキーボードの調子が悪くなったとしても、普通にお店に買いに行けば簡単に代替キーボードを調達できるメリットも有り、今の方式よりもかなり企業としてのコストはカットできるのではないかと思うのですが。

(番組データ)

激レアさんを連れてきた。 テレビ朝日
2018/05/28 23:15 ~ 2018/05/29 00:15 (60分)
【研究員】若林正恭(オードリー)
【研究助手】弘中綾香(テレビ朝日アナウンサー)
【客員研究員】東出昌大、高橋みなみ

(番組内容)

本日の激レア研究はこちら!
【激レアさん1】 自分では全く知らないうちに世界が認める洋服デザイナーになっていた主婦とその才能を見出した息子
【激レアさん2】 テレビ番組で話した内容を瞬時に打ち込む字幕放送の文字を入力する人


「テレビ・芸能プロデュースの歴史」を忖度するとナベプロの歴史になる?

今回の番組は納豆の食べ方に興味があって何となく見ていたのですが、納豆の話題が終わったと思ったらとんでもない展開になっていくのが自分でもわかりました。何故か脈絡もなく「テレビ・芸能プロデュースの歴史」としてその時だけ新たな【学友】が加わりました。「番組データ」の中にある出演者の中で、「/」の後に名前があるのが後半から番組に出演した人たちです。

個人的には後半の講師を努めていたマキタスポーツさんに同情を禁じえませんでした。番組内のパネルでは一応芸能の歴史ということもあり、今日まで続くアイドルの中には「スター誕生!」からデビューした「花の中3トリオ」とか、松田聖子さんなど「非ワタナベエンターテインメント」に所属しているタレントを主に解説があってしかるべきところもあったのですが、番組で流されたのは最後に渡辺晋氏がプロデュースした吉川晃司さんまでで終了し、途中マキタスポーツさん自らがバンド形式で昔のバラエティの音楽ネタをやったのが一瞬一ネタだけ放送に乗ったものの、まさかあの一瞬のためにバックバンドのメンバーがセッティングしたわけではないでしょう。

恐らくバンド形式による数々のネタ披露とともにそれなりの楽しい芸能の歴史についてのレクチャーがスタジオ内では行なわれたように思いますが、番組の方は主に昔の「ナベプロ」の「渡辺晋」さんはすごい(渡辺美佐さんは若い頃の写真だけ出ただけで何も番組では触れられていませんでした)というように現在のワタナベエンターテインメントは芸能界とテレビを結ぶプロデュース力はすごかったんだというそれだけの内容を番組後半には紹介しただけのものになってしまったのです。

ちなみに、加藤茶さんおよびドリフターズのメンバーは元はナベプロ所属でドリフターズ時代に円満独立。中尾ミエさんにもその事務所名からもわかるように円満にナベプロから独立したので今回の出演となったのでしょう。独立時にいろいろあった森進一さんや沢田研二さん(吉川晃司さんはなぜナベプロに入ったのかという問いに沢田研二さんがいる事務所だからと答えていました)は当然出てきませんでした。元々、メインMCの林修さんが現在所属しているのがワタナベエンターテインメントで、彼の出る番組は軒並み視聴率を取るということから、テレビ朝日は林先生の所属事務所に忖度して今回のような企画が実行し、放送した内容を編集したのではないかと私は推測します。個人的にはもう少し林さんには他の芸能界のプロデュースの歴史についても触れるだけの余裕は持っていて欲しかったと思いますが。

少なくとも、今後の林先生がテレビに出て時の政治に意見を言ったとしても、大きな芸能事務所にとって都合の悪い事については発言できなそうな事が今回の忖度たっぷりのワタナベエンターテインメント礼賛プログラムを許した事でわかってしまったことは今回テレビを見ていての収穫でした。もし、同業他社のタレントが事務所ともめた時に林先生が何かを言ったとしても、話半分に聞いておいた方がいいような気がします。

それにしても、この番組の後半からなぜマキタスポーツさんが講師として起用されたのか、もし今回のような内容になるとわかっていてもマキタスポーツさんは出演を受けたのかという疑問は残ります。あの内容なら講師は中山秀征さんか恵俊彰さん(どちらもワタナベエンターテインメント所属タレント)の方が見ている方もすっきりしたと思うのですが。

(番組データ)

林修の今でしょ!講座 3時間スペシャル テレビ朝日
2018/03/06 19:00 ~ 2018/03/06 21:48 (168分)
【MC】林修(ワタナベエンターテインメント)
【進行】松尾由美子(テレビ朝日アナウンサー)
【講師】赤石定典 市原淳弘 伊藤明子 白澤卓二 津川尚子/マキタスポーツ(オフィス北野)
【学友】秋元真夏(乃木坂46合同会社) ビビる大木(ワタナベエンターテインメント) 吉田栄作(ワタナベエンターテインメント) 高橋英樹(アイウエオ企画) メイプル超合金(サンミュージックプロダクション)/加藤茶(イザワオフィス) 中尾ミエ(アスレティック・ミエ・カンパニー) 平野ノラ(ワタナベエンターテインメント) ブルゾンちえみ(ワタナベエンターテインメント) ミッキー・カーチス(ワタナベエンターテインメント)
【VTR出演】(公式データには記載なし)
吉川晃司(アクセルミュージックエンターテイメント)

(番組内容)

『健康長寿がよく食べる発酵食品~老化STOP 納豆の力を徹底解明』と『テレビ&芸能のプロデュースの歴史』2本立て!!健康長寿の方々に大調査!納豆、味噌…普段食べてる発酵食品は?今回は「納豆」をフィーチャー!血管・骨を老けさせない驚くべきパワーとメカニズムを紹介。納豆の栄養を無駄なく摂取できる「医学的に正しい食べ方」は?Q食べる前に良く混ぜる?混ぜない方が良い?皆さんの食べ方は大事な栄養を損してる?

テレビ放送開始65周年!バラエティや音楽番組、アイドルやタレント、今では当たり前になった「テレビ」の歴史に迫る特別講座!今回は多くのヒットプロデューサーの中でも、その草分け的存在と言われる渡辺プロダクションの創始者「渡辺晋」の功績を見ながら、テレビと芸能の「プロデュース」の歴史を学ぶ!才能ある人を見つけスターにする。面白い番組を作る。そこには私たちの想像を超える、情熱と創意工夫の歴史があった!


バラエティ番組で笑われるタレントにも立派な理由がある

久しぶりに復活した「しくじり先生」ですが、今回2人目として登場したにしきのあきらさんは、今ではすっかり「スター」という言葉が似合うバラエティタレントだと思っている方が多いと思います。私の印象というと、今回の番組の中でも出てきましたがフジテレビのスター大運動会や水泳大会では必ず目立った活躍をする身体能力の高い歌い手さんというイメージが強いのですが、今回その芸能界での浮き沈みの様子を聞く中で、一般の人が憧れる芸能界で活躍したからこそ陥る苦悩というものを改めて感じました。

というのも、ある程度顔と名前が売れてしまった場合、活動が停滞したり仕事がなくなったりして本格的にお金に困った場合、普通の人なら外からの目を気にせずにアルバイトでも肉体労働でもやってお金を稼ぐことができますが、過去の栄光にとらわれてプライドがあるような場合や、お子さんが学校に通っているような場合、どこでそうした姿が見られるかわからないということがあります。本人だけならまだしも、子供さんがそうした行動を見咎められた人から口コミで話が広がり、いじめのネタとされない保証はありません。

そんな状況の中だから事業をやろうとか言われて騙されたり、お金のやり取りについてそちらでも騙される可能性があるわけですが、信頼していた知人にだまされて借金が増えたり横領されたりして、遂には家が差し押さえを食らうという最悪な状況の中で声がかかったのが日本テレビ「とんねるずの生でダラダラいかせて!!」だったのです。

私自身もこの番組でのにしきのあきらさんのバラエティ番組にフィットした姿に大笑いした一人ですが、その裏にどういうことがあったのかというのが今回の番組を見てわかりました。一時期には芸能界のトップと呼ばれた人が、なぜ毎回ドッキリを仕掛けられ、ものの見事にどっきりに引っかかってもめげずにテレビに出てくるのかというのは、今回の番組で語られたような金銭面での苦労があり、自分を呼んでくれて仕事をくれる日本テレビのスタッフにいやな気持ちを持つどころか最悪の状態から救ってくれたことに感謝しているような感じでした。

実はこの「とんねるずの生でダラダラいかせて!!」は今のロンドンブーツの番組のように親が子どもに見せたくない番組の常に上位をキープしていました。今思えば、かつての大スターであったにしきのあきらさんを笑いものにしているという事もその理由の一つだったのかも知れませんが、現実はまるで違うということが今回の番組を見た人には理解できるでしょう。

確かに無様に落とし穴に落ちたり、くだらないことで体を貼っているタレントを見て眉をしかめる方もいるかも知れませんが、そんなことは十分承知の上でもらった仕事をこなすことでしか生きていけない人もいるということを、多少はテレビを見る側の人も理解して、例えばそこから差別的な感情がお子さんに生まれるかも知れないと思ったら、番組を見終わった後に「タレントさんはああして人を笑わせることが仕事なんだよ」とフォローしてあげることが必要なように思います。

このような、テレビに出ることでしか稼げない事情のある人にとっては、たとえ多くの人から下品だと思われようが気持ち悪いと罵られようが、出演するしかないと腹をくくっていたり、自分がテレビに出ることで多くの人が笑ってくれることに仕事としてのやりがいを感じている場合があるのです。しかし残酷にも、にしきのさんのようにテレビに出て人気をもりかえすことができるケースとは違い、テレビ視聴者の訴えからテレビ出演そのものを降ろされてしまう人たちもいます。

それはドリフターズの「8時だョ!全員集合」(TBS)のコントの中で一瞬出てきて笑いを誘い、子どもたちにも人気があったものの大人の事情で番組を降ろされてしまった「Mr.ポン」や、全日本女子プロレスと一緒に興行をしていながら決してテレビでの放送がされなかった「小人プロレス(後にミゼットプロレスと改名)」の例があります。今でこそNHK Eテレの「バリバラ」で体に障がいを持つお笑い芸人という人が登場したり、番組の中の企画として本格的なバラエティが放送されていますが、この場合は障がい者に関する問題を継続して放送してきたEテレだからこそ許される部分があり、他の地上波チャンネルでは昔も今も誰かが声を挙げたら即テレビに出られなくなる状況は終わっていないと思われます。

今後も地上波では無理かも知れませんが、CSやネット配信の番組でなら地上波では放送が難しいようなケースでも番組として成立する可能性は残ります。今の日本には潜在的にたくさんのテレビに出たい人がいて、たとえそれがいじられて笑われるような立場であってもそれで自分の存在が知られるならテレビに出たいと思う人もいるでしょう。そんな人の中で、とにかく面白ければスターへの道が開ける、かつての「全日本歌謡選手権」のような番組を作ったらどうでしょうか。

今回のにしきのさんのような芸能界を干されて困窮極まった元人気者と、今までは人前に出ることさえ不謹慎だと言われてきたような体に障がいを持つ人などが同じ舞台で明日のスターを夢見て「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」のような、誰がどれだけ笑わせるかをチャレンジする番組が実現できれば、人によっては不謹慎と写っても、全てが平等に審査されるなら、決して一部の人から糾弾されるような番組にはならないように思えるのですが。

(番組データ)

しくじり先生 俺みたいになるな!! 2時間スペシャル テレビ朝日
1/28 (日) 18:57 ~ 20:54 (117分)
【しくじり先生】村主章枝・錦野旦
【担任】若林正恭(オードリー)
【レギュラー生徒】吉村崇(平成ノブシコブシ)
【生徒】あき竹城・伊集院光・岡田結実・澤部佑(ハライチ)・杉山愛・関根勤・高山一実(乃木坂46)・辺見マリ・真野恵里菜・横山だいすけ・遼河はるひ

(番組内容)

過去に大きな失敗を体験した“しくじり先生”が生徒たちにしくじった経験を教える反面教師バラエティ番組「しくじり先生」!今回はスター錦野旦先生と元フィギュアスケート選手の村主章枝先生による熱血授業を開講します!次々飛び出す驚愕エピソードに教室が震撼!そして授業の最後には先生たちによる熱いメッセージで教室は感動の嵐に!お楽しみに!

・村主章枝…「引き際を誤って家族に迷惑をかけないための授業」 オリンピックに2度出場し、その卓越した表現力から“氷上のアクトレス”と評された元フィギュアスケート選手の村主章枝が緊急帰国!“トリノ五輪後に引退しなかった本当の理由”を激白!誰もが冷静な判断を下すことが難しい“引き際”について真摯に向き合い、長く現役を続けた村主先生だからこそ悟ることのできた人生の教訓を伝えます!

・錦野旦…「安易に人を信用して地位も名誉も財産も失わないための授業」 “スター”の愛称で世代を超えて愛され続ける錦野旦が登壇!デビュー1年目にして日本レコード大賞「最優秀新人賞」受賞、さらに紅白歌合戦にも出場。スター街道を歩んできた錦野先生は自身のある性格が原因で、大きなしくじりを犯し、地位も名誉も財産も失うことに。「本当にしくじった!」と反省するスター錦野先生が転落人生を赤裸々に激白します!


地上波TVバラエティへの文句を電波にのせる千原せいじのしたたかさ

漫才コンビ「千鳥」の二人の冠番組ということですが、千鳥はスタジオのみの出演で、VTRを好きな所で止める権限があるという「笑神様は突然に」(日本テレビ)のシステムをそのまま使っています。もっとも「笑神様は突然に」には島シリーズということで千鳥も出演しているのでネット局の垣根を超えて仁義は切ってあるのかなという気もしますが、ツッコミの鋭い千鳥なので、全く違和感を感じることはありません。

また、VTRの内容もロケで決まった場所を訪れたタレントさんがアポ無しで地元食堂に入り、相席をお願いした後でその人のお宅におじゃまするという、何やら「鶴瓶の家族に乾杯」(NHK総合)や「家、ついて行ってイイですか」(テレビ東京)の2番組を合わせたような作りになっています。ただ、この種の番組の面白さを決めるのは出演するタレントさんの技量や、VTRにツッコミを入れる側の力量があれば二番煎じでも十分面白い番組として成立するでしょう。今後、この組合せ以外にもこの種の番組が量産される予感がしなくもありません。

今回の「相席食堂」が面白かったのが、2ヶ所訪れたゲストがどちらもキャラが立っていて、菊池桃子さんは意外とロケに強いということがわかったということと、この種の田舎まわりに強い千原せいじさんの安定した面白さでした。
ちなみに、吉本興業が私の住む静岡県沼津市に専用の劇場を持っている関係もあって、ネットで言うと日本テレビ系の「静岡第一テレビ」の夕方のワイドショーに千原せいじさんが地元の名物キャスターとコンビを組んで静岡県内を回るコーナーを行なっているのですが、口は悪いわ下品だわ、おまけに企業訪問をして少しでもお金の匂いを嗅ぎ分けると、自分ならこうすると言い放ったり、自分のところで商売にしたいなどと言ったりと、その味を存分に発揮して笑いを誘っています。

今回千原せいじさんは長崎県五島列島を訪れようとして、飛行機が機材故障で飛ばず、高速船も高波で運休の中、8時間遅れで島に入り、そのまま飲み屋街をはしごするのですが、そこで出会ったお店の方とお客さんに教えられたのが五島列島の酒飲みの風習が、人にお酒をすすめる前に杯を空にして相手にも杯を空にしてもらい、延々と酒をすすめ続けるという大変恐ろしいものなのですが、せいじさんが入った居酒屋さんでは焼酎のロックでそれをやっていたのですから相当なものです。

ここで、その風習をせいじさんもやるのかと思って見ていたら、これが関西ローカルの強みなのか、せいじさんは自分がなぜそのお客さんやお店の方と一緒に杯を空にしないのかを説明し始めました。賢明な方ならもうおわかりでしょうが、テレビでタレントが「一気飲み」を奨励するような飲み方をするとテレビを見ている人が真似をする恐れがあるのでテレビ内での一気飲みというのは自粛されているということなのです。

もしこれがドラマで、登場人物を酔わせて何かするという設定であれば違うのかも知れませんが、あくまでタレントが飲むという点についてはローカル放送であってもダメなラインはしっかり線引きがされているということになるのでしょう。ただ、昔のテレビを知っている人なら、昨年LGBTに対する配慮に欠けるとフジテレビが謝罪するという騒ぎになったとんねるずの曲で、あの秋元康さんがプロデュースして作詞もした「一気!」という曲です。当時は若者の飲み会の熱気をそのまま伝える曲として数々の賞も受賞したのですが、さすがに今はこの曲を地上波で歌うことは難しいでしょう。

この一連の流れの中で千鳥はVTRを止めることもなくそのまま流していましたが、東京で出ないのならここでもう一笑い千鳥からもコメントが欲しかったと思います。というのも、現在アマゾンプライム会員限定でネット配信されている「ドキュメンタル シーズン4」において、地上波では絶対に放送できないくらいの醜態を晒してまで笑いを取っているのを先日見たばかりだったので(^^;)、ついそんな事も考えてしまいました。ただ、ネット配信の「醜態」については、見る人が見ると全く今の千鳥を許せなくなると思いますので、見るにも覚悟が必要だと思いますが。

今回、本放送からは遅れたものの、偶然深夜の静岡で私は見ることができました。番組ホームページを見たところ今回の番組の内容について記載はあったものの、次回への言及がなかったのでもしかしたら特番扱いなのかとも思いますが、次回があるとしたらぜひロケに出掛けるタレントさんを厳選していただき、ローカル番組の色として構成は有名な番組をなぞるような形であっても、その内容で千鳥の個性を出して欲しいと思います。

(番組データ)

相席食堂~ついて行ったらチョメチョメじゃった 朝日放送(関西ローカル)
2018/01/04 23:20 ~ 2018/01/04 00:15 (55分)
出演者
千鳥(大悟・ノブ)
VTR出演
菊池桃子
千原せいじ

(番組内容)

芸能人が田舎の食堂に突然現れ、地元の人にいきなり相席をお願いしたら、どんなドラマが生まれるのか?さらに、相席した人について行ったら、どんなチョメチョメが待っているのか!?そんな行き当たりばったりの展開を“田舎出身&ロケマスター芸人”の千鳥がツッコミながら見守る“芸能人と地元民のガチ交流バラエティー”!

「ウチの島にも食堂が一軒だけあったからわかるけど、田舎の食堂は、毎日、同じ人が同じ時間に来るだけで、何もハプニングは起きない」と、大悟が“田舎あるある”を披露。「そこに芸能人が行ったら、どうなるかじゃ」と、ノブは未知数の展開に期待を込める。そんな2人の目の前にあるのが、VTRをいったん止めることができる“待てぃボタン”。VTR中に気になる箇所があれば、どんどんボタンを押して止め、自由にツッコんでいく。

今回とある田舎の食堂に向かう芸能人は、何と菊池桃子、そして千原せいじ。まさかの菊池桃子登場にいきなり仰天の千鳥。早くも“待てぃボタン”を押す。菊池は食堂で相席した女性に、「20万人以上が訪れる」という地元の一大イベントがあるという話を聞く。果たしてそのイベントとは!?

一方、せいじは数々のトラブルによって行く手を阻まれる…「この人にブッキングするからこういうトラブルになるんよ!」と大悟が声を荒げるが、せいじは悪態をつきながらも持ち前の強運で何とか乗り切り、地元の漁師とふれあう。


「気」の世界を無いとするテレビの検証は正しいのか?

かつて、その名も「ガチンコ」というテレビ番組(TBS制作)がありましたが、あまりにあからさまな番組タイトルと違う「ヤラセ」で問題になったという、今となっては笑い話にもならない状況の中でテレビは視聴率を求めてゴールデンのバラエティ番組を作っていた時代もあったのですが、さすがにネットで自由に声を挙げることができるようになったこともあり、節目はさすがに変わっているのではないかと今までは思っていました。

そもそも、この「ガチンコ」という言葉は大相撲やプロレスの中で言われていた言葉で、「真剣勝負」の事を差し、テレビバラエティでは略されて「ガチ」という風にも使われることがあります。元々プロレスは作られたショーではないか? という疑問を持つ人もいたことは事実ですし、最初は週刊ポストだったと思いますが、大相撲の八百長疑惑を報じる際にその反対の行動を取る力士の事を「ガチンコ力士」という風に使っていたのを覚えています。

その後、大相撲では疑惑では済まない形で告発がなされ、多くの力士が処分されたのですが、またぞろ「八百長相撲」をやっているのではないか? というきな臭い話が週刊誌を中心に報じられるようになりました。テレビをずっと見ている立場として面白いと思うのが、いつも「週刊文春」「週刊新潮」のトップで芸能人の不倫についてのスクープが出た時には必ずといっていいほどその週刊誌提供の動画とともに同じスキャンダルを報道するのに、本日のワイドショーは週刊誌でトップ見立しになっていた大相撲の八百長報道について全く触れることなく、相撲に触れても八百長の「八」の字にも踏み込めない始末です。テレビとして大相撲の八百長疑惑に突っ込んでいけないなら、他のもはやどうでもいい個人攻撃をしている様は、テレビの無力さを現しているに過ぎないのではと思う今日このごろですが、今回は別の面から「ガチンコ」にチャレンジしたバラエティーについて報告します。

まず、何よりも素晴しいことは、「本当なのか?」と疑われた上での取材依頼にも関わらず、きちんと取材に応じて館長自らがテレビに出て演武を行なってくれた群馬県太田市の村松気功太田道場の村松館長のご英断です。テレビの裏側がどうなっているかということは見ている側なので私には全てわかるわけではありませんが、明らかに自分達のやっている事に疑いを向けた中での取材であるのに、最後まできちんとその内容を紹介しつつ出演したということは、他の道場や流派と違って信頼に足るべきものがあると思います。

幸いなことにその道場はホームページを持っていて、道場としての告知とともに様々なグッズを売っているのも目に付きます。意地の悪い方はそれが胡散臭く感じるかも知れませんが、何の実体もない「ビットコイン」を売る仲介をして大儲けしている人もいる中で、こうした「気」のためのグッズとしてはそこまで胡散臭くないのではないかと思うのですが、気になる方は以下のリンクからぜひその内容を確認してみて下さい。

http://www.muramatsuqigong.jp/

番組ではこの村松道場にドランクドラゴンの鈴木さんが乗り込み、体に触れないで吹っ飛ぶような体験がしたいということで、とにかく「ヤラセ」なく館長の「気」をあびたのですが、残念ながら全く鈴木さんは反応しませんでした。

恐らく番組MCである有吉さんとマツコさんがいるために番組スタッフも安易に「お約束」である道場のお弟子さんと同じように吹っ飛ぶような演技をせず、MCの二人も取材に応じてくれた館長さんをかばうような苦笑いを浮かべていたのですが、そもそもこうした大きなテーマをテレビで検証するような場合は、専門の番組を作って中国の気功から日本の合気道まで様々なものについて解説しながらやっていかないといけないくらいの複雑な題材であると私には思えます。

番組では実際に演武を行なう前に5分間の「気を送る時間」を設けていましたが、これは催眠術と同じで、いかに相手の精神力を乱すことができるかという事が鍵になっているような気がします。今回の場合は絶対に動かないことを信念とするかのごとく鈴木さんが道場に乗り込んでいるのですから、「気」というものが存在しないという結論になりましたが、実は「気」だけでふっ飛ぶような事はそもそもテレビのバラエティ番組がその瞬間を何回も捉えているのです。

具体的には本当に「ガチ」なドッキリ番組において、本当にターゲットの気が抜けていたり、別の事に意識が集中している中で思わぬ所から仕掛け人が出現するような場合、人によっては決して仕掛け人が体に触れていないのにびっくりしてふっ飛ぶという場面を私たちは年末年始の特番で色々見たのではないでしょうか。

例えば、毎年恒例の日本テレビのドッキリ番組で、ターゲットの自局アナウンサーを待たせておくデスクの中に仕掛け人である上司のアナウンサーを忍ばせて、デスクを壊しながら正面に大声を出しながら登場する場面は、本当にその声と音だけで、ターゲットの新人あるいは入局の浅いアナウンサーは座っていた椅子からころげ落ちるように崩れ去りました。さらに面白いのは、もう一つ後に出てくる仕掛け人です。

いつもはそうしてびっくりさせた後で仕掛け人がアナウンス原稿を読ませるだけなのですが、今年はテレビ朝日の「報道ステーション」を卒業して他局にも出られるようになった古舘伊知郎さんが登場したのです。

若手アナウンサーにとっては古舘アナは実際に目にすることも少ない存在ということで、本当に古舘氏がすぐ目の前にいるということを理解した後でヘナヘナとその場にうずくまってしまったアナウンサーもいたのですが、これこそその人物の持つ「オーラ」や「気」だけで相手にダメージを与えるということの一つの例です。

また、ロケでめったにテレビカメラが入って来ないような所に有名なタレントが出向き、それが本人であるとわかったとたんに一気にその場にしゃがみこんだりその場から無意識に遠のいたりすることがあることも、私たちはテレビバラエティを数多く見る中で出てくるお馴染みの場面であるとわかるでしょう。そうした頭がパニックになってしまった人に、例えば「私は気功の心得がある」とでも言ってその場に立たせた人に気合いとともに空の拳を勢いよく繰り出したら、恐らく演武で見たような触れずに吹っ飛ぶ様をヤラセ無しで見ることができるでしょう。ぜひ自分の事を見て正常でいられなくなるようなファンを持っているタレントさんには試して欲しいものです。

人間の精神世界というものはここまで語ってもなおわけのわからないものなので、ぜひこうした「気」の世界についてヤラセ無しでとことん検証する番組があればいいのにと思います。今回の番組内容について、やっぱりヤラセなんだと思う人も多くいるとは思いますが、個人的には今回の検証を機に、さらに深く掘り下げる別番組が出て来ないかなと期待しています。

(番組データ)

マツコ&有吉 かりそめ天国 テレビ朝日
2018/01/17 23:15 ~ 2018/01/18 00:15 (60分)
【MC】マツコ・デラックス、有吉弘行
【進行】久保田直子(テレビ朝日アナウンサー)
【出演】ガンバレルーヤ、白鳥久美子(たんぽぽ)、鈴木拓(ドランクドラゴン)、土屋圭市

(番組内容)

◇視聴者からのお耳に入れたい話は…(1)どんなワードを入れればいいかわからない!ネット検索が苦手です(2)甘納豆ブームはいつ来るのでしょうか?(3)回転寿司店のボックス席の上座下座ってどっち?◇欲望!!(1)ステーキ激戦区・六本木で最高のステーキを食べまくる!(2)気功の達人に思いっきり吹き飛ばされたい!(3)ドリフトキング土屋圭市のドライブテクを助手席で体感したい!
視聴者から寄せられた『二人のお耳に入れたい話』や、様々なジャンルの有識者たちから届けられた各業界の幸せニュース、視聴者の皆さんの「こんなことやってみたい、見てみたい!」という“欲望”を叶えるVTRをもとに、マツコ・デラックスと有吉弘行がトークするバラエティ番組!進行は久保田直子アナウンサー。今週は二人からどんな「お言葉」が生まれるのでしょう?お楽しみに!


地方局発の人気バラエティが一極集中を防ぐ

テレビ放送がネットで常時同時放送されるという話も出る中、全国にある地方テレビ局はどのように生き残っていくのか? という問題の一つの答えが、北海道のHTBが全国展開した「水曜どうでしょう」を始めとするTEAM NACSのメンバーを全面に押し出し、各北海道内の民放が独自番組を自前で作るというものです。

そうした全国区になる地方発の人気バラエティ番組が生まれるというのは、少し前なら考えもできなかったことで、当時は夕方の情報番組こそ地方各局が独自に作っていたものの、バラエティ番組を地方局が制作する場合、普通は東京で活躍する全国的にも認知度のあるタレントを呼んできて局の女性アナウンサーと組ませて地元の旅番組をするくらいがせいぜいだったのが、当時は全く東京へ進出するようなことも考えられなかった若手の舞台俳優を深夜番組の主役に抜擢し、出演者やスタッフも楽しんでいるような番組を作ったことで、それが他の地方にも受けたのです。

その番組を全国のテレビ局に買ってもらったり、さらに北海道で放送している内容とかなりずれて放送されている地域に向けて、かなり早いうちから有料のネット配信を行ない、その売上げは上々だったということです。さらに遅れて来た番組ファンのために、過去の番組をそのままDVDにしたものを、通常の流通で扱わず、コンビニ経由で事前予約をしてから売り出したりして、かなりの確実な儲けを出したのではないかと推測します。

少なくともこうした番組を地元民が見ているうちは、いくら東京の放送局がネットで見られることになったとしても、安易に視聴者はネットに流れないでしょう。改めて時代の変化の中、地域性ということだけでなく、東京の放送局とは違うアプローチで人気番組を作ることが地方局生き残りのためには大切ではないかと思います。

しかし、地方の他局が北海道の手法をそのまま真似ることはできませんし、番組を制作しても見て面白い番組でなければ意味がありません。ご当地だけで笑えるネタのみでは他の地域に番組を売ることはできません。そんな中、静岡朝日テレビ制作の「ピエール瀧のしょんないTV」も「水曜どうでしょう」までは行かないものの、今では全国のテレビで多少見られるようになるほど注目を集めています。ネット局は後追いになるため、リアルタイムに見られるのは静岡県のみというローカルな話題だということもあるので、まずは番組のメインである「ピエール瀧」さんとは一体何者か? というところから説明していきたいと思います。

今ではNHKの朝ドラやビートたけしさんの映画などでも主要な役で出演するなど、面白いだけでなくシリアスな芝居もできる役者というイメージが付いているピエール瀧さんですが、元々はメジャーデビューして様々な音楽番組にも出演している「電気グルーヴ」の結成当時からのメンバーとして、そのステージパフォーマンスには定評がありました。今では星野源さんや朝ドラで瀧さんと共演もしていた浜野謙太さんなど、ミュージシャンであり俳優という方がかなり活躍しているという事があるのですが、ピエール瀧さんの場合はそうした方とは決定的に違う部分があります。

というのも静岡県内で過ごした高校時代から付き合いがあり、一緒にバンド活動を行なっていた石野卓球さんがそれまでやっていた地元の友人を中心に集まったインディーズバンドの活動を止めて新たに「電気グルーヴ」を作る時に、唯一誘ったのが当時楽器ができなかった瀧さんであったのだそうです。電気グルーヴの音は基本的にコンピューターソフトによる打ち込み(自動演奏)であることもあり、とにかくステージではじけることのできるパワーを持った瀧さんに白羽の矢を立てたのでしょう。

電気グルーヴはあれよあれよという間に人気が出てメジャーデビューにこぎつけ、さらにその面白さをライブを見たことのない多くの人達に知らしめたのが、石野卓球さんとピエール瀧さんが二人でパーソナリティを務めたニッポン放送のオールナイトニッポンに起用されたことでした。当初はユーミンの後の土曜の2部だったものの当時のとんねるずから引き継ぐ形で火曜1部に昇格し、今でもその面白さについて語られる事も多くなっています。

ですから、ピエール瀧さんの面白さというのは、学生時代からのセンスももちろんあるとは思いますが、電気グルーヴとしてのライブやラジオでの喋りを通して鍛えられた一代限りの叩き上げの芸と言えないこともありません。さらに、彼らの活動が全国的に面白いと評価されたことについて、いわゆるお笑いの本場ということでもない単なる田舎の学校生活や友達同士のバカ話をラジオで喋っていても、受けるものは受けるのだという想いをラジオで人気があった頃から私は持っていました。つまり、日本全国どこで生まれて育ったとしても面白い人は面白いですし、そういう人材を地域で育てることができれば、静岡だろうと北海道だろうと全国区へ出しても十分通用するものが作れるのではないかということです。

しばらくは東京を中心にして電気グルーヴとして活動していたピエール瀧さんでしたが、オールナイトニッポン終了後には私的にはその動向は音楽番組での演奏くらいでしかその活動を確認できなかったのですが、唐突にオールナイトニッポンの時に構成をしていた静岡時代の仲間である椎名基樹さんをスタッフに加えて2010年10月から放送が開始されたのが「ピエール瀧のしょんないTV」だったというわけです。

オールナイトニッポンは収録でなく生でやられていましたし、ライブ自体は生ですので、そうした状況で鍛えられていることもあり、特にピエール瀧さんには共演者いじりのうまさを感じることが多いのですが、この番組を支えてきたもう一つの個性が静岡朝日テレビアナウンサーの広瀬麻知子さんです。

当時彼女は入社したての新人アナウンサーで、テレビ局としては同期入社で後に東京へ仕事の場を移した(セント・フォース)牧野結美アナウンサーとどちらをピエール瀧さんと番組をやるアシスタントとして起用するか二択の中、局側が広瀬さんを選んだというのが彼女らの人生の転機になったような感じが今ではします。彼女は千葉県の出身で静岡県とは何のつながりもありませんが、きっちりその場を仕切るような感じではなく、収録中もぼーっとしていて瀧さんにつっこまれるほどおっとりしている部分と、いざ何かをやらされるような状況になっても本気で取り組むような明るさと真面目さが同居していて、静岡県人的なパーソナリティを持っているのでは? と思える不思議なアナウンサーです。そんな広瀬さんはピエール瀧さんにとっては扱いやすく、番組のマスコット的な存在として二人のコンビがうまく回転していく中、番組自体の人気も出てきたように思います。

そうして「しょんないTV」が地方の放送局に売れて各地て見られるようになる中、広瀬アナウンサーは地元の期待を背負って単身でテレビ朝日の「アメトーーク!」に出演したこともありましたが、やはりというかその魅力をアメトーーク!の中では発揮することはできませんでした。あくまでピエール瀧さんと一緒に番組をやる中で欠くことのできない存在であるということ認識を新たにされることで、彼女自身もその後身の丈をわきまえて努力をし、番組自体がマンネリに陥ることにもならずにここまで続いてきています。

番組の内容はたまには静岡県外へ出ることもありますが、ほとんどが静岡県内でロケをして地元の人たちとからむという、あまり全国的な基準で見ても情報的には得られないのではないかとも思うのですが、ピエール瀧さん自体が全国区で顔が売れているということと、いいコンビの広瀬アナやゲスト、ロケ先で出会った人をいじって笑いを導くことがうまいということと、まだ知名度はないものの面白い出演者を選ぶスタッフの力もあるのではないかと思います。思い出したように出てくる元・電気グルーヴメンバーの砂原良徳さんや、元々は地元が静岡県ということで出場していたピン芸人のハリウッドザコシショウも何回か出場しているうちにすっかりその魅力が引き出され、今では準レギュラー扱いになるなど恐らく番組のファンなら彼がR-1グランプリで優勝する前からその面白さに気付いていたと思われます。

今回は年末特番ということでこの一年の放送を紹介しながら振り返るという内容なので、あえてこの内容に感想を語ることもないのですが(^^;)、番組が始まってから丸7年というのですからよく続いていると思いますし、今後ピエール瀧さんがテレビで露出度を増やせば、さらに面白い展開も出てくるように思います。番組の公式ページによると、静岡県を除く全国の14局でも見ることができているようです。元々全国進出の戦略を練って作られた番組ではないと思うので、「水曜どうでしょう」のように爆発的な人気になることはないとは思いますが、単に地元愛にあふれた一人よがりの番組ではなく、出演者やスタッフが面白がりながらやっている番組として、見る機会がありましたらとりあえず最後まで見ていただきたい番組であると思っています。

今回はあえて私の住む静岡県での事例を紹介させていただきましたが、全国の他の地方のテレビ局も、もっと地元の面白い人や、地元から巣立って全国で活躍している人を呼び戻す形で東京にはない新たな番組作りに挑戦していただきたいと思います。特に地方からテレビを見ていると、どうしても地方民にとってはわからない東京周辺の範囲の狭いネタで盛り上がっているだけのバラエティを購入して放送している地方局もあるので(実際行こうと思っても放送している地方によってはそのお店に簡単には行けませんし、放送時期がずれているとテレビに出ていた特典が終了していることもしょっちゅうです)、それならその空いた時間に自社制作の番組をぶつけてもっとテレビ局が主導して地元を盛り上げるような事があってもいいのではないかと思うのです。特に東京に行くのがなかなか難しいような地域の場合は、多くのチャンスに恵れていると思うのですが。

(番組データ)

ピエール瀧のしょんないTV 年末1時間SP今年のしょんない瞬間一挙大公開スペシャル 静岡朝日テレビ
12/22 (金) 0:20 ~ 1:15 (55分)
【出演】ピエール瀧、広瀬麻知子(あさひテレビアナウンサー)

(番組内容)

しょんないことに真実がある!「くだらないけどどこか許せる」「取るに足らないけど、どこか愛嬌があって憎めない」そんな“愛すべきくだらなさ”『しょんない』を追求する番組です。

なんだかんだ色々あった、この1年間を総ざらい!今年も大胆に「ピエール瀧のしょんないTV」1時間スペシャルを放送しちゃいます。気になる「瞬間最高占拠率ランキング」や「瀧さんの○○映像」、「広瀬アナの2017年」などなど、貴重な映像を一挙大公開!! 果たして、あなたが選ぶ”しょんない名場面”はノミネートされているのか…さぁ皆さん、これを見て、ゆる~く年の瀬を迎えちゃおう!


今年は「ブリリアン」が地獄を見た‥‥

2017年にはこの番組の後に黒柳徹子さんの自伝ドラマ「トットちゃん」が放送されている中、テレビ創成期から今までのテレビに関わっているテレビ界の伝説とも言えない事もない黒柳徹子さんの存在は誰もかなわないところがあります。そんな黒柳さんの司会をする「徹子の部屋」に、まだ自分たちの足元もおぼつかないと思われる、その年にブレイクした芸人を迎えて、その「芸」を披露するという触れ込みで紹介し話を聞くのが毎年のパターンなのですが、そこは芸人にとっては大変な試練の場としても多くの人から認識されるようになってきました。これは同じテレビ朝日系の深夜番組「アメトーーク!」によって黒柳徹子さんが「芸人殺し」だという禁断の事実を公表したことにはじまります。

元々、黒柳さんは自分のタレントとしての才能だけではなく、新たなお笑いの才能を見付け出すことにおいてもその才能を発揮してきました。有名な話として、タモリさんがまだ全くの素人だった頃、ジャズピアニストの山下洋輔さんのツアー先の打ち上げで面白芸を披露し、そのままメンバーと一緒に上京して山下さんの行き付けのバーでその芸を披露していたのを漫画家の赤塚不二夫さんが面白がり、自分の出る予定のテレビ番組にいきなり出してその宴会芸をさせたことがあったのだそうです。放送されたそのテレビを見ていた黒柳さんがすぐに関係者に電話で連絡を取ったという話があり、ある意味タモリさんの芸をテレビで見て一番早く評価した人間として一部では認知されているということもあります。

そんな過去があるからだと思うのですが、その年に売れた芸人を自分の番組に呼んでネタをしてもらうのですが、とにかくお笑いに関する勘が鋭いので、多少のノリで面白いことをやってもまるで笑わず、それまで受けたネタを一通りやり尽くした芸人たちに向かって、改めて「面白い事をやって」とお願いするという、地獄のネタ披露が番組内で毎年繰り広げられる状況が続いています。

そうした状況をネタにしたのが先に挙げた「アメトーーク!」で、小島よしおさんが徹子の部屋の収録をする直前に、どうすれば地獄から逃れられるかという風な相談からシミュレーションが繰り広げられたのです。そのシミュレーションの中で、小島よしおさんが、黒柳徹子さんがどのゲストに話を聞くために作った(恐らくスタッフが事前に調べた内容なのではないかと個人的には思います)メモがぞんざいにテーブルの上に何枚も広げられているので、自然な感じでテーブルの上の飲み物をこぼしてしまい、インタビューのためのメモを台無しにすれば黒柳さんはメモがないと番組は進行できないだろうからネタの無茶振りもなくなるのではないかと考えたものの、実際の出演時にはメモを台無しにはできませんでした(^^;)。

しかし、誰かがその後干されることを覚悟して黒柳さんのメモを破ったり食べてしまったりしたらどうなるのか? という期待は大変無責任な発言とはわかっていてもテレビを見ている側としてはそこでアタフタする黒柳さんが見たいという気持ちもあります。

さて、今年の生贄となったのは2017年の1月1日放送の「おもしろ荘」からブレイクした「ブルゾンちえみwithB」でした。そのネタは案外黒柳さんのお気に召したようだということと、意外とブルゾンちえみさんがしっかりとインタビューに答えていたのでそんなに波風も立たずに番組は進んだのですが、さすが芸人殺しと陰口を叩かれる黒柳さんだけあって、「withB」としてブルゾンちえみさんとセットで出ている男性二人が「ブリリアン」というお笑いコンビであることを知ると、テレビを見ている人のほとんどがネタをやらせない方がいいと思いながら見ているのに、「ネタをやって見せて」という禁断の一言を口にしてしまったのでした。

私自身はブリリアンが今回披露したネタは「しゃべくり007」(日本テレビ)の中のコーナーでやって思いっ切りすべっているネタと同じだと思いながら見ていましたから、冗談ではなく「ここからが地獄の始まりだ」と思いながら見ていましたが案の上でした。その半面、ブルゾンちえみさんはうまく地獄を免れたとも思えました。毎年の恒例とは言っても、来年ブレイクした芸人さんがまた無茶振りをされて地獄を見ることが既定路線になっている中ではありますが、あえて来年の今頃に地獄を見る芸人は誰なのかを考えながら、まずは年またぎの「おもしろ荘」を見るのもいいのではないでしょうか。

(番組データ)

徹子の部屋 ブルゾンちえみwithB テレビ朝日
12/21 (木) 12:00 ~ 12:30 (30分)
【司会】黒柳徹子
【出演】ブルゾンちえみwithB(ブリリアン)

(番組内容)

今年大ブレイクを果たしたブルゾンちえみwithBが満を持して登場!黒柳さんはブルゾンさんの独特なメイクに視線が釘付け。そして、ブルゾンさんの脇を固めるネクタイ姿の男性“ブリリアン”のダイキさんとコージさんにも興味津々の様子…。今日は、お茶の間の大反響を呼んだ「キャリアウーマン」のネタはもちろんのこと、特別に用意したという“黒柳徹子”のネタも披露する!


「M-1グランプリ」には常に採点の進化を望みたい

私自身、お笑いの専門家ではなく、単にテレビを見て楽しんで、このブログでは単に感想を書いているだけなので、今回の題材である「M-1グランプリ」について何か書けるとしたらあくまで自分の好みの芸人さんの話とかになってしまうのですが、ここでは「お笑い」の話というよりも、その審査について改めて考えてみたいと思いました。

というのも、芸歴15年までという制限を付けて、優勝賞金が1,000万円で、優勝者には相当のテレビ番組出演や営業のオファーが来ると思うので、皆の総意でチャンピオンを決めなければならず、本来そこには「情」というものを入れてはいけないものであると考えます。

例えば、過去に坂本博之さんというボクシング選手がいまして、この方は児童養護施設の出身で努力の結果世界タイトルマッチにまでこぎつけたものの、残念ながら世界チャンピオンになることはできませんでした。世界戦の会場には彼の出た児童養護施設の児童が応援に来ている姿が大写しになる中、心情的にはどうしても彼にチャンピオンになってボクサーとしてのストーリーを完結させて欲しいと思っていたのですが、現実というのはある意味残酷です。勝負の世界というのはメロドラマとは全く異質のもので、結局はKOするか、ポイントで1ポイントでも勝っているかしなければダメなのです。ですから、そんな真剣勝負の場で審判の買収や不可解な判定があれば大きな問題になります。

私自身は「M-1グランプリ」という場は1,000万円の賞金を出した時点で、決して後から疑われるような判定を出してはならず、参加者が不正を働いてもいけないと思っています。今回の審査がダメだからということでは決してないことをまずはお断わりさせていただきます。その上でテレビを見ている側としては、常に公平なジャッジをしているという部分に揺らぎが出ることのないよう、大きな問題が今後も出ないように続けていって欲しいと思います。

私が「M-1グランプリ」を見るのは実は前々回からとかなり後になって見出したのですが、前々回は敗者復活で最後に出た「トレンディエンジェル」が優勝しました。彼らは敗者復活からの勝ち上がりの勢いのまま、最後にネタをやった評価が高く優勝までつっ走ったという印象でしたが、この時に思ったのは演技順によってかなり審査員や観客の印象が変わっているなと思いました。

これは採点競技全てに言われることですが、最初は点が出過ぎないようにセーブされ、一番最後の演技者はその後に出る人はいないので見たままの印象でそのまま採点されるという有利さがあります。トレンディエンジェルについては、そうした勢いをうまく利用したということになるわけですが、そもそも敗者復活から本選に出られるなんてことはその時には想像もしない中でほんの少しの可能性に賭けていたわけですし、単に敗者復活者はずるいとまでは思わないものの、冷静に見てやはり誰が来ても敗者復活から出場する方が有利だということになれば、そうした文句が出ないように審査方法も変えていく必要が出てきます。

今回の審査方法も、すでに順番を決めて待機するのではなく、その場でくじを引くまで誰がどの順番で出るかわからない方法にしていたというのは評価でき、これで一番バッターになってしまったら、それはそれで仕方ないと諦められる範囲の事だと思えました。人気者になるには運も必要だとは確か萩本欽一さんの言葉だと思いますが、もし今回優勝した「とろサーモン」さんが一番バッターだったら違った展開だったかも知れませんし、結果として「とろサーモン」さんには実力だけでなく「運」もあったという風にも言えると思います。

審査員は前回の5人から7人に戻り、一人の点数が100点満点で合計700点満点で審査されましたが、この「満点方式」についても今後は一考の余地はあるのではないかと思います。これについても先例があります。オリンピックにおける体操競技は以前は満点を10点としてそこから減点をしていく方式でした。そのため、それまでの判定基準を超えるようなとんでもない才能を持ったルーマニアのコマネチ選手が出てきた時には、その演技評価を10点にせざるを得ず、その後のロサンゼルスオリンピックでは10点満点が連発されてしまいました。

そうした事を考えた上で体操競技は今の審査方法になったのですが、このように、満点という制限の中で全てを決めるよりも、「演技者の勢い」のようなものは審査点の中でも別に分けた加点方式にするとか、逆に言葉が早すぎたり聞こえづらかったりして何を言っているかわからないとか、明らかにミスがあったというような場合の減点基準をはっきりさせたほうが更に多くの人が納得する審査になるかと思うのですが。もちろん、審査員個人の「好き嫌い」で決めてもいいのですが、審査員も出場者も同じ舞台やテレビでご一緒されることもあると思いますので、できるだけ客観的な部分も入れた評価で点数を出したほうが個人的には納得できます。もちろん、ここまで私が書いた事よりももっと公平さを演出できるような審査方法があればどんどん採用すべきですし、そうして常に審査方法や審査員を変えながら出演者にM-1グランプリ対策をさせないというのも大事だと思います。

それから、M-1グランプリを一日でスターを作る番組として考えた場合、いつもテレビで見ているコンビが多く出てくるので、その分プロでないアマチュアが残るという下克上がなかなか見られないというのは残念です。この点についてはこれまでの主張と比べるとかなり甘いと言われるかも知れませんが、テレビ東京の大食い決定戦のように新人戦を開催し、そこで優勝したコンビに本戦参加についての何らかの優遇策(一部予選を免除したシードのようなこと)を考えるというのもさらに競争を促して面白くなるような気がします。

駆け出しでもみっちり漫才の基本を仕込まれたプロのルーキーコンビと、単なる娯楽のために組んだ社会人や学生のコンビとの差は果たしてどのくらいあるのかとか気になりますし、何よりテレビを見ていて面白いのは「ジャイアント・キリング」がガチ勝負で実現することでもあるのです。サッカーの天皇杯で市立船橋高校がプロチームや大学チームを倒し、当時日本トップの実力があったと思われる横浜マリノスとの対戦でも2点のビハインドから追い付き、延長戦まで戦い抜いてPK戦までもつれこんだことでマリノスを敗戦の危機にまで追い込んだ事は今でも強烈に覚えています。

もし新人戦経由で本戦に出場したアマチュアコンビがグランプリを取ったら、その盛り上がりはどうなってしまうのか考えただけでもワクワクします。あくまでアマチュアやルーキーを優遇せず、これまで通り最初から実力で這い上がれなければダメだというなら、あえて提案したいのがコンビの名前だけで騒がれて有利になることの無いよう、敗者復活戦も含めて完全な無観客漫才にするという方法です。お客さんがいない中で漫才をするというのは劇場で漫才をしてきたコンビにとってはとてもできないと思われるかも知れませんが、それでこそ過去の名声やイメージを廃して評価することができるとも考えられます。少なくとも人気があったり知名度があるから有利にはなりないような配慮もしていただいた方が、今よりもずっとエンターテイメント系競技という感じで楽しめるものになると思うのですが。

(番組データ)

M-1グランプリ2017 テレビ朝日
12/3 (日) 18:57 ~22:10
【司会】今田耕司、上戸彩
【審査員】 オール巨人、上沼恵美子、春風亭小朝、中川家・礼二、博多大吉、松本人志、渡辺正行 ※50音順
【出場者】 かまいたち、カミナリ、さや香、ジャルジャル、とろサーモン、マヂカルラブリー、ミキ、ゆにばーす、和牛 ※50音順【敗者復活枠】スーパーマラドーナ

(番組内容)

4094組を勝ち抜いた最強の10組が最後の決戦へ!出番順はその都度、抽選で決められる新ルールも導入され、展開は予測不能!M-1第13代王者誕生の瞬間を目撃せよ!
【出番順】 ファーストラウンドの出番順は、その都度「笑神籤(えみくじ)」と呼ばれるクジを引き、呼ばれたコンビがそのままネタを披露するという新ルールを導入!手に汗握る予測不能の展開となるでしょう!!
【大会ルール】 ファーストラウンドは審査員1人につき100点、700点満点で採点。上位3組が最終決戦に進出し、再びネタを披露。審査員7人が最もおもしろかった組に1票を投じ、最多票が優勝となる。


番組は激レアさんが最初に行った歯医者を公表せよ(^^;)

世の中でテレビでエピソードトークをしてもらって面白い人というのは限られていると思うので、どうしても「どこか別のテレビで見た」という人の「かぶり」が発生することがあります。今回の「激レアさんを連れてきた。」で最初に出てきた方も、恐らくTBSの「がっちりマンデー!!」でその事業が紹介されていたのを見た気がしました。こういう時にインターネット検索というのは有難いもので、番組名と内容で検索したらがっちりヒットしました(^^;)。というわけで、最初の方は私にとっては激レアさんではなかったということになります。

ただ、続いて出てきた激レアさんについては初見で、この方は確かに「激レア」さんでした。「消しゴム差し歯」を4年間はめ続けている(へたってきたら新しいものに替えることを繰り返しているそうです)という方で、突っ込みどころ満載でしたが、なぜ4年間も消しゴムを加工した前歯(仮)を付け続けなければならなかったというと、治療のために訪れた歯医者さんで、前歯を一本作るのに30万円かかると言われたので、それは無理だと諦めて消しゴムで代用することになったとのことでした。

普通の社会人ならある程度お金はためてあるのではないか? と思ったのですが、この方は芸人として身を立てようと努力していて、毎月の生活費に7万円を捻出するのが精一杯で、とても30万というお金を用立てることはできなかったということです。

ここで、賢明な方は気付いた方もおられると思いますが、前歯が一本30万円というのには実はカラクリがあるのです。お茶やコーヒーをよく飲む方だとその色が人工の歯では付いてしまうので、そうした汚れが付きにくく落としやすいセラミック製の歯を付けると30万だということで、これには健康保険が効かないため高値になってしまっているのです。

番組では健康保険を使って入れられるプラスチック製の差し歯についてもその価格を調べていて、保険使用の歯なら1万5千円で入れられたとのことです。激レアさんが出掛けた歯医者さんでどんな風に聞いたかはわからないものの、普通の歯医者さんなら、保険使用と不使用の場合の料金を教えてくれ、どちらにするかを患者の意志で決めさせてくれると思うのですが。

もし、そうした保険不使用の金額を提示しないまま高額な治療代がかかるとしかその歯医者さんが言ったとしたら、これはバラエティ番組ではありますが大きな社会的な問題になってくるのではないでしょうか。

というのも、番組内で専門医に差し歯の代わりに消しゴムを使うことについての安全性について尋ねたところ、雑菌が混入する危険やかみ合わせが悪くなるので歯だけでなく姿勢が悪くなるのだそうで、今後腰などにも悪い影響が出る可能性があるということを話していました。

さらに、この激レアさんは前歯だけでなく奥歯も5本ないのだそうで(^^;)、だったら歯医者へ行って保険の適用内で直せよと思うのですが、おそらく前歯一本で30万と言われたら、差し歯と奥歯で6本を直すお金がないと思ったのでしょうね。もし良心的な歯医者さんに当たっていれば、安い費用でとりあえず仮歯を入れてもらう中で治療の計画を立て、差し歯と奥歯を全て保険で直す場合の費用と期間を示し、治療開始時からいつ1万円以上の負担がかかるのかというところまで打ち合わせをしてくれていたはずでしょう。

ロケで激レアさんのお宅に訪れていたのは、朝のワイドショーにも出ていた山本アナウンサーだったので、今回の内容について同じようにどんな人にも保険を使わない場合の治療費しか教えず、高額の治療代でないと診察をしないような歯医者が現実に存在するならその実態をあぶり出して欲しいと最後には思ってしまいました。

最初は消しゴムを差し歯にし続けるエビソードトークを笑って見ていたのですが、さすがに彼女と別れる原因になったりするという、激レアさんにとっては人生を左右するような事態にこの歯医者さんの言葉が影響を及ぼしているというなら、「貧乏人は歯も入れられないのか」ということになってしまいます。もし本当にこんな医者がいるのだとしたら、ぜひ朝のワイドショーの独自取材で明らかにして欲しいと思います。

(番組データ)

激レアさんを連れてきた。 テレビ朝日
11/27 (月) 23:15 ~ 0:15
【研究員】若林正恭(オードリー)
【研究助手】弘中綾香 山本雪乃(テレビ朝日アナウンサー)
【客員研究員】志尊淳

(番組内容)

とんでもなく珍しい体験をした“激レアさん”を研究室に連れ込んで、体験談を聞きまくる!驚きと笑いにリアルに役立つ知識も交えて激レア体験をトコトン研究します!!

本日の激レア研究はこちら・・・

【激レアさん(1)】 派手に漏らしてしまった苦い経験をバネにトイレのタイミングを予知してくれるマシーンを発明した人。

【激レアさん(2)】 差し歯が取れてしまったが貧乏なので自作の“消しゴム差し歯”を発明し、それをハメて4年間粘っている人。