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おバカな面々は飽きられるが出川哲朗さんが生き残る理由

この番組のコンセプトとしては、最近はリアクション芸人としての姿というよりも多くの世代に好かれるキャラクターとしての魅力があり、言い間違いや常識のなさをあえて前面に出すことでも面白い姿をテレビのこちら側にいる多くの人に見せて楽しませてくれる出川哲朗さんがメインになっています。ただ、表面的に出川さんの発言や行動を「おバカな面々」というゲストの人たちと同一に捉えていいのか、個人的には疑問に思っていました。

確かにみやぞんさんや滝沢カレンさん、丸山桂里奈さんなどは多くのバラエティ番組に出演なさっていて、その普通よりちょっと違った感性を口に出すことで、テレビ番組的にかなり面白い素材であることは確かです。

ただ、普通の人は何回も同じような事を答え、受け答えに慣れてくると言っていることに新鮮味がなくなり、単に自分の感性だけで受け答えをしているだけではテレビを見ている人達を笑わせられなくなる事も確かです。過去にはフジテレビ系の「クイズ ヘキサゴン」でおバカな解答者として歌まで出した「羞恥心」の中の2人、つるの剛士さんと上地雄輔さんは今では過去におバカキャラだったことを知らない人がいるのではないかと思うほど、普通にタレントとして活躍されていますし、元AKB48の川栄李奈さんも、過去にはおバカキャラで通していたものの、今の活躍を見るとそんな風には思えず、それだけ努力をして今の芸能界での居場所を作り出してきたと言えるでしょう。

逆に言うと、年を重ねていくに従っていわゆる「おバカな言動」というものがチャーミングに見えなくなり、単にこの人は莫迦だというイメージが形成される中で、当然テレビでの活躍の場は限られています。何しろテレビに出たい若い才能は今も掃いて捨てるほどいるのです。そういう点ではこの番組のゲストとして出ていた「おバカな面々」と呼ばれている人は、これからどのようにして芸能界をわたっていくのかを真剣に考えなければならないのではと、テレビを見ているこちら側が心配になるほどです。

そんな中、これは番組の演出としてわざとやっていたのか、そのまま素が出てしまったのかはわかりませんが、一つの象徴的な場面がこの番組の中で出てきました。番組の講師役として様々な知識を説明するパートがあるのですが、特定のゲストがそうした話をまるで聞いていないところがしっかり映ってしまっていたのでした。

学校の勉強ができる子とできない子は確かに出てしまうことはあるのですが、私個人の印象にはなりますが、出川哲朗さんは少なくとも真剣に講師の方の発言を聞いた上で「全然わからない」と言い放つものの、わかろうと努力したり、自分の得意なものを伸ばそうとしているように思います。だからこそ多くの人が入れ替わるお笑い界の中でも生き残り、現在ブレークするほど注目を浴びているのだと思います。しかし今回出演したゲストの中にはそうした講師の方のお話をおしゃべりや他の事をしていて全く聞いていないのでできないしわからないというような感じでそのままテレビに出ているという風に感じる人がおりました。こういう人というのは次に自分とかぶるような人が出てきたらとたんにお呼びがかからなくなることを理解しなければならないでしょう。

逆にそうした人に向かって講義をしなければいけない講師役として番組に呼ばれた方々は本当に大変だったろうと思います。スタジオでの講義でも出川さんはわからないなりに講師の方の話を集中して聞いていましたが、そうでない人たちの注目を集めて多くの人に物を教えなければならない教師という職業は本当に大変な仕事だということも改めてわかりました。

ただそんな中面白かったのが、講師役として出演した橋下徹さんの印象でした。最近は政治的な動向が見え隠れする中で、どうしても今の与党か野党かという勢力争いの中でどうしても橋下氏とそれに対抗する人達との間でギスギスするような番組に出演することが多く、見ていて後味を悪い事が個人的には多かったのですが、今回の橋下講師の話にもゲストはまるでトンチンカンな反応を見せ、あまりの受け答えに苦笑いからしだいに表情がゆるみつつ自説を述べるのですがそれがまたゲストの芸能人には一向に伝わらないという状況になってしまっていました。そんな時にはいつもは強い口調で相手をやり込めるのが得意な橋下氏でも、こうした人が相手だとまさに暖簾に腕押しで、テレビ的にはにこやかに終了したということでこれはこれで十分楽しめました。

(番組データ)

出川哲朗のアイ・アム・スタディー 知っとかなきゃヤバイよ日本のピンチSP 日本テレビ
4/17 (火) 19:00 ~ 20:54 (114分)
【MC】出川哲朗
【進行】羽鳥慎一
【ゲスト】みやぞん、滝沢カレン、丸山桂里奈、渚(尼神インター)、定岡ゆう歩、平沼ファナ
【講師】小池百合子、橋下徹、原晋、デヴィ夫人、齋藤孝、河野玄斗、左巻健男
【企画・演出】石崎史郎
【監修】古立善之
【プロデューサー】笹部智大

(番組内容)

小池都知事が「東京の秘密」を初授業!出川のアブナイ質問攻め▽デヴィ夫人の「終活」に密着!みやぞん歌う感動&爆笑の模擬葬式▽橋下徹も参戦!おバカ軍団と激論で降参?

この番組は、皆様に有益な情報をお伝えするのではなく、出川率いるおバカな面々がコミカルに学ぶ様を楽しむものです…
(1)小池都知事が初めて案内!東京を災害から守っている巨大地下○○潜入!総理大臣になりたい?出川が切り込む!
(2)神脳で話題の天才・現役東大生が直伝!偏差値上がる記憶術をみやぞん実践
(3)青学・原監督が教えるマラソン速く走る裏ワザとは
(4)ベストセラー作家から学ぶ「大人の語彙」出川・滝沢カレンの爆笑食リポ

99.9 ドラマと現実と

刑事事件を毎週一回無罪にしていくジャニーズ事務所所属の俳優・松本潤さんの出演するドラマの題名が「99.9」(TBS系)で、事前の番組告知についてもこのドラマの事を想像させるような感じだったり、番組内でも仲間の弁護士の方々と今村弁護士が飲みながら語っている場面では、ドラマを意識するような発言も出ていました。

ただドラマでの弁護士軍団は実にスマートに活動するさまが描かれていますが、現実の世界とはかなり違うことが改めてわかりました。番組内での同僚の方へのインタビューによると、ドラマのような弁護士の人数の事務所で刑事の冤罪事件をやり続けるのは、かなり財政的に厳しいのだそうです。今回の主役である今村弁護士は25人くらい弁護士がいる合同事務所の中の一人だから、何とかやっていけているということがあるのだそう。逮捕されて無実を主張する人の弁護を引き受ける場合でも、この今村弁護士が受けている事件は世間的に注目されるような事件でないことが多く、ほとんどが依頼人にお金がなく、裁判に勝たないと報酬を受けられない中で弁護活動をしていくので(その場合の報酬も比較的少ないと言うことです)、支援者からのカンパが頼りの仕事になることが多いという事でした。

そんな今村核弁護士がテレビの取材を受けられ、過去に無罪を勝ち取った一部の裁判の内容を紹介するのがこの番組の主な内容です。いかにもカメラを向けられ記者の質問に答えたくなさそうな今村弁護士は怖くてとっつきにくいという感じがするのですが、番組を通して見ていくうちに、記者とも打ち解けてきて、儲からない刑事事件を多く扱う事についても口を開いていきます。

その中で改めて語られるのが刑事事件の裁判においては、「疑わしきは罰せず」ではなく、被告人の方で無罪を証明する事ができないと有罪になってしまう現実です。こうしたえん罪を晴らすためには科学的な眼が必要で、そのため独学で科学についての本を読みながら相当勉強をしている跡が彼の書斎を見る限りは伝わってきました。裁判で検察が依頼した学識経験者に科学的根拠に基づいた鑑定書が提出され、弁護側はその意見を根本的に崩さなければいけないのですから、いかに科学的で雑学にも秀でる眼を持つことが大事かということが改めてわかります。

番組内で2件目の事件として紹介された痴漢冤罪事件については、その裁判を扱う裁判官によって正しい判決が歪められることもあるという世の中の理不尽さを示しています。というのも、意図的に今村弁護士によって提出された重要な資料を不採用にし、残りの証拠物件のわずかなスキを付くような形で誰もが予期しなかった有罪判決を下したことで、今村弁護士からこんな判決は聞いたことがないとまで言わしめています。そのレポートの中で大変興味深いのは、事件を取材したジャーナリストの方が改めてこのような判決を出す裁判官は一体どんな生き方をしてきたのかと調べたところ、実に興味深い過去の話に行き付いたというのです。

その裁判官の方は昔はリベラルな考えを持っていて、あまりに理不尽な警察の逮捕状要求にはあえて逮捕状を出さないということもしばしばあったとのこと。そんな人が検察や警察の意を汲むような判決を普通に出すようになるには、恐らく大きなリベラル派としての挫折があったのだろうと推測されますが、政治でもそうですがいわゆる「転向」した人というのはまるで過去に信じていた自分の考えと同じような考えを持つ人に対してはアレルギー反応のようにかたくなな拒否感を出すことがあります。紹介された裁判官の方にどのような事があったのかはわかりませんが、正しいことを正しいと通すことのできない社会があり、今村弁護士は青年から中高年に至っても未だその世界を信じて戦っているのに対し、裁判官の方にはもはや諦めの境地が感じられます。私たちも世の中こんなもんだと諦めるしかないのでしょうか。

一つの希望というところまで行かないかも知れませんが、私自身、こんな地味な番組を見ようと思ったのは、最初に紹介したTBSのドラマを知っていて、実際にそんな弁護士の方がいるのかと興味を持って見たからで、ドラマはドラマとして荒唐無稽な役者同士のやり取りとかがあって笑ったり怒ったりして見ていた人の中にも、この番組の事前告知を見て、本物のえん罪弁護士とはどういうものかという事に興味を持った方も少なくないと思えます。冤罪事件に関わらず、今社会で問題になっていることをドラマで取り上げることは、あながち人気の若手俳優を使って多くの人が楽しめる筋立てにしたドラマであっても捨てたものではないと思えるのです。ちなみに、上記の裁判直後にツイッターでこの判決の話が拡散し、多くの人の怒りの感情が今村弁護士が感じたものと同じような考えだったことから、控訴審に向けての力となり、ついには控訴審で無罪が確定しています。裁判の世界においても社会大衆の声は全く無視することもできない存在なのではないかと、この話を見て思いました。

テレビのニュースにならないような小さな事件でも、それまで普通に生活していた人がいきなり刑事事件の犯人として拘束され、罰を受けざるを得なくなってしまう現実がある中、警察や検察の思い込みだけで逮捕から有罪までにされるような現状については、一人一人では伝わらなくても今の社会はネットで繋がっていくこともできるので、地道にお仕事をされている今村弁護士を含む全国の弁護士の活動を何らかの形で応援することの必要性を感じた今回の視聴でした。

(番組データ)

BS1スペシャル「ブレイブ 勇敢なる者“えん罪弁護士”完全版」NHK BS1
4/15 (日) 22:00 ~ 23:50 (110分)
【出演】弁護士…今村核,
【語り】本田貴子,
【声】若林正,相沢まさき,桐井大介,中野慎太郎,中尾衣里,下山吉光

(番組内容)

大反響を呼んだ「ブレイブ“えん罪弁護士”」の未放送映像を加え、再構成した100分完全版。有罪率99.9%に挑み、無罪14件という驚異的実績を誇る今村核に迫る。

「無罪14件」。その実績に他の弁護士は「異常な数字」と舌を巻く。“えん罪弁護士”の異名を持つ今村核(いまむら・かく)は、20年以上も刑事弁護の世界で闘ってきた。過去に取り組んだ事件では、通常裁判の何倍もの労力をかけ科学的事実を立証し、えん罪被害者を救ってきた。勝てる見込みも少なく、報酬もわずかな「えん罪弁護」。それなのになぜ、今村は続けるのか?自身の苦悩を乗り越え、苦難の道を歩み続ける男に迫る。

若い女性が大谷翔平選手を見る前に見る番組

表題のような思いを今回紹介する番組を見終えた後に感じざるを得ないということは、実際に番組を見た方にとっては何となくわかっていただけるのではないかと思います。

日本で野球が人気種目になり、太平洋戦争前でも甲子園大会や東京六大学野球は人気を呼び、日本でプロ野球ができたのは、1934年(昭和9年)アメリカのメジャーリーグから選抜チームを招聘した際、メジャーリーガーに対抗するために集められた全日本軍がそれで、当時ホームランでメジャーリーグ界を席巻していたベーブ・ルースが来日したことで多くの人の関心を呼び、その時の全日本軍が「大日本東京野球倶楽部」となり、このチームが今の読売ジャイアンツの前身であったのです。

今後、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平選手が活躍する中でこの「ベーブ・ルース」という名前がクローズアップされてくると思いますが、日本ではこの日米野球でベーブ・ルースを抑えた伝説の投手・沢村栄治選手のいた当時の話であり、いかに古い時代のベースボールと比較されているかおわかりでしょう。そういう意味では正に百年に一人の選手といってもいいかも知れません。

日本において、こうしたスポーツの世界にとどまらない、社会現象になるかもしれない人物について、興味を持つのはコアな野球ファンだけではなくトレンドの動きに敏感な若い世代であると言えます。そんな中でさらに爆発的なブームを呼ぶか否かは、今までメジャーリーグどころか野球すら見たことのない人たちだったりすることは、日本のプロ野球における「カープ女子」のように、若い女性がどれだけ食いついてくれるかということにかかっているといっても過言ではありません。

なにせ、普通の「オヤジ」が楽しめることをやってもさっぱり話題にならないのに、そのオヤジがやっていることを若い女性が真似しただけで話題になるというのがこの世の中の流れです。なぜこんなことになるかというと、基本的に若い世代の方が年寄りより行動的であることだけでなく、その世代に引っ張られるように趣味に関する物品の販売が増える傾向があるからです。

テレビというのはスポンサーとつながっていますから、若い男性と比べてレジャーにお金を掛ける傾向があり、若い女性自体が他の世代の男女を巻き込んでブームの牽引車になっていく事例は私がここで挙げるまでもないでしょう。男女差別という観点で考えると若い女性ばかりがちやほやされる事に不快感を覚える方もいるかも知れませんが、景気を上げるためには何でもやらなくてはというところに今のテレビを含めた多くのものが毒されてしまっていることは確かですが、今の大谷翔平選手の活躍というのはマスコミによって作られた偽物のブームでないことは確かなので、大谷選手のニュースを見てその試合を生で見たいと思った野球未経験者のためのこんな番組もありではないでしょうか。

番組自体は若い女の子がまだ片想い中の彼がいるグループでメジャーリーグのワールドシリーズをテレビ観戦するにあたり、メジャーリーグ通の同性の友人からメジャーリーグ観戦のための基礎的な知識をクイズ形式で教えてもらいながらメジャーリーグについての感心を深め、彼に好かれる女の子へと変わっていくというロールプレイングゲーム形式のストーリーが展開していきます。

この番組きっかけでメジャーリーグや日本のプロ野球に興味を持つ人が増えればそれはそれでいいと思いますが、それだけテレビはスマホ民を取り込まないとテレビの一つの醍醐味である生中継の試合ですらも興味を持って見てくれなくなるのではないかと思っているからこそ、こんな番組を作っているという風にも考えられます。あと、それと同時に大谷選手の活躍を「全米が熱狂」とあおっている日本のテレビ関係者がいると思いますが、アメリカにおけるベースボール自体がバスケットやアメリカンフットボールに対して人気で負けていますし、正確には「全米のコアなMLBファンが熱狂」というのが正しい状況分析ではないかと思います。

(番組データ)

our SPORTS!「5min.観戦マニュアル“恋するメジャーリーグ”」 NHK BS1
4/14 (土) 9:00 ~ 9:05 (5分)
【声】金本涼輔,金子有希,吉川未来

(番組内容)

スポーツの魅力を伝えるourSPORTS。今回はアニメゲーム感覚でメジャーリーグの観戦マナーやオモシロ情報などを紹介。

お金のかからない「トリビアの泉」は居酒屋トーク的クイズ

この「クイズ☆モノシリスト」という番組はいかにもBSらしい、お金を掛けずにアイデアだけでそれなりに成り立たせようと考えられた番組のように思えました。一応この番組のジャンルは「クイズ」になっていますが点数を競うわけでもなく、罰ゲームがあるわけでもなく、「モノシリスト」と呼ばれるパネラーがコースターに何らかのウンチクを含んだクイズを書き、そうしたクイズを出して全員で考えていくという、飲み屋ですぐ真似できそうな企画です。

恐らく地上波で同じようなウンチクを披露することになるとフジテレビの「トリビアの泉」のようになって、VTRを作るのにお金を掛けるようになり、別の意味で番組を続けることが大変になるようなことも出てくるのでしょうが、このシステムはゲストの人選をしっかりやっておけば、毎回違うジャンルの権威を連れてきて、翌日周りに話したいようなネタをクイズの形で提供してもらうことは可能でしょう。それはいつもテレビで見る有名な人である必要性はなく、お話好きな大学教授のような方や、マニアの中で有名な方をオファーして、まず視聴者が知らないような知識をクイズにして解説を他の出演者を巻き込んで行なえれば、さらに面白くなるのではないかと思います。

ただ、テレビを見過ぎている私にとっては、今回のBS朝日が満を持して放送した問題の中に、過去に別のテレビで放送した内容とかぶるものを見付けてしまいました。それは名字の「渡辺」さんに関わる問題で、NHKの「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」で放送されたものと全く内容がかぶってしまって興ざめしてしまいました。

この辺は盗作とは違いますが、番組のオリジナル性を出したいと思えば思うほど、番組担当者は他のクイズやバラエティで同じ内容を扱う企画がないかということを調べてから採用されるようにしないと、いかにBSとは言ってもちゃんと見ている人もいるわけですから、今後も内容が他番組とかぶらないように気を付けて欲しいと思います。

また、今回に限ってはスペシャルだからということもあるかも知れませんが、居酒屋のウンチクトークのような番組で2時間は見ていてかなりだれます(^^;)。出演者の方々は濃いメンツでお話される時には楽しいので、長い話も気にならないのかも知れませんが、テレビを見ている方としては、この種の番組の場合1時間が限度のような感じがします。ともあれ、今後のやり方によってはお金を掛けずに化ける可能性のある番組として今後チェックしていきたい番組ではあると思うのでこれから期待して見ます。

(番組データ)

[新]クイズ☆モノシリスト 初回スペシャル BS朝日
4/10 (火) 21:50 ~ 23:44 (114分)
【MC】いとうせいこう(クリエイター)
【モノシリスト】市川猿之助(歌舞伎俳優)、春風亭一之輔(落語家)、竹俣紅(女流棋士)、武井壮(タレント)、田中寅彦(棋士)、鈴木貴博(経済評論家)、原孝寿(KADOKAWA編集長)、能町みね子(コラムニスト)
【制作】BS朝日、イースト・エンタテインメント

(番組内容)

「寄席で一番最後に出る資格を持つ演者を表す、落語の真打ち、”真”って何?」「芝居が終わることを意味する、芝居がはねるの”はねる”とは?」など、歌舞伎界・落語界で使われる言葉に関するクイズが博識なモノシリストたちを唸らせる。他にも「動く歩道にスムーズに乗る方法とは?」「若者言葉”絶起”とは?」「142857という数字でしばらく楽しむ方法は?」など、すぐ試してみたい裏ワザ的クイズも!

主宰・いとうせいこう進行の下、各界を代表する知識人=“モノシリスト”たちが、無尽蔵の“とっておきモノシリ知識”をクイズ形式で出し合う、全く新しいクイズ番組!全員が出題者・解答者となって知識合戦を繰り広げる!さらに、問題をきっかけにモノシリストたちの雑学知識が次々連鎖。ここでしか聞けないオールジャンルの雑学クイズ満載で、貴方の知的好奇心をくすぐります。

フジテレビの新しい番組制作の試みに拍手

この番組はたまたま新聞のコラムで成り立ちを知ったことをきっかけにここで紹介させていただくものです。現在の民放の視聴率トップと言えは言わずと知れた日本テレビで、春の改変期の現在でも、人気番組が多いためか多くの番組は継続ということになっており、そこまで変化というものが見えませんが、フジテレビだけは違います。

古くは「笑っていいとも!」、今年に入ってからは「とんねるずのみなさんのおかげでした」「めちゃイケ」「ウチくる?」、さらにBSで放送されていた「ポンキッキーズ」も終了し、その後の展開をどのようにして視聴率を回復させていくのかというのは、今後地上波のテレビを見ていく中での個人的な興味にもなっています。

新聞のコラムによると、今回紹介する「99人の壁」という番組は2017年の大晦日に放送されて好評を博し、今回が第2回目になりますが、実はこの番組は入社2年目の社員のプレゼンが番組としての形になったものなのだそうです。今回が初見という方の中には番組内容を見ても良くわからないところがある方もいるかも知れませんが、恐らく見続けていくうちにその面白さに引き込まれていくだろうと思います。

クイズとしての面白さももちろんありますが、100人いる出演者でありクイズ回答者がこの番組のキモのように思えます。オーディションをしていかに番組が面白くなるかを考えて人選をしていると思うのですが、100人の回答者にはそれぞれ自分の得意とするジャンルがあり、なぜそのジャンルを選んだのかにもドラマがあり、クイズを答えていく中でパーソナリティがはっきりとしてきます。さらに出演者は司会者にやじを浴びせるガヤとしての役割も持つため、うまく収録を編集していけばかなり面白い部分を抜き出して楽しめるものとなるでしょう。というか、今回の放送はそういう意味でも十分楽しむことができました。

番組を見た方ならお気付きでしょうが、今回の番組ではかなりの部分を切って編集しており、それはあまりにもガチすぎてブロックする側の回答者がつまらないミスを連発したり、どんどんチャレンジャーが変わっていくことが繰り返されるだけの状況が今回の番組でもあったことが想像できます。素人いじりのうまさを見せてMCとしての評価を上げた俳優の佐藤二朗さんでもどうにもならない中だるみの状況があったかとは思いますが、そういった部分は削った方がテレビを見ている側としては有難かったりします。

さらに、今回は特別ゲストとしてギャラを貰って(回答者として出演した方の中にはノーギャラでオーディションから参加した能町みね子さんのような方も出ていたので)クイズに挑戦するゲスト回答者のコーナーも有りました。

今回はゲストが出てくる前に、前回の出演で全く実力を発揮できなかった切手通の出演者が百万円を獲得したこともあり、さらに出演者はゲストの存在を全く知らされていなかったため普通に場内が盛り上がっていましたが、さらにXジャパンのToshiさんのクイズのお題が音楽関係でなく「ガトーショコラ」というのも意外でしたし(結果はまさかの5問連続正解で百万円獲得でした(^^))、そこからゲストの人間性が垣間見える感じがしてチャレンジはかなり見ている人にとっては面白く見られたと思います。

そういう意味でもこの番組は単なるクイズ番組ではなく、1人のチャレンジャーの人間性を見せてくれるものであり、今後のさらなる番組としての発展が期待できると思います。今後も回答者のオーディションを丁寧に行ない新たなキャラクターを開拓し、今までクイズとは無縁だと思われた人と出演交渉をするなどして、今度は秋にでもさらにパワーアップした内容で楽しませていただけると嬉しいですね。

(番組データ)

超逆境クイズバトル!!99人の壁・春の乱【1人VS99人!全員敵の新型クイズ】フジテレビ
4/5 (木) 22:00 ~ 23:34 (94分)
【MC】 佐藤二朗
【スペシャルワンマッチ・ゲスト】 滝沢カレン  Toshl  長嶋一茂  (五十音順)
【チーフプロデューサー】 濱野貴敏
【プロデューサー】 木月洋介
【演出】 千葉悠矢
【制作著作】 フジテレビ

(番組内容)

挑戦者1人VSブロッカー99人の早押しクイズ!挑戦者は5問連続正解で100万円!99人を撃破し100万円を獲得するのは誰か!?俳優・佐藤二朗が司会

MCは、俳優の佐藤二朗が務めます。  この早押しクイズは、100人の一般公募の参加者の中から選ばれた1名のチャレンジャーが、それを阻止しようとする99人のブロッカーを相手に早押しクイズで対決するというもの。

見事5問連続で正解すれば賞金100万円をゲットできるのですが、1問目は25人のブロッカーが2問目は50人と増えていき、最終的に99人となります。その“99人の壁”を乗り越えなければなりません。当然、人数で圧倒的に不利なチャレンジャーに与えられた唯一のアドバンテージは、自分の“得意ジャンル”を指定してクイズに挑戦できることです。“将棋”“刀”“イントロ”“カーリング”などジャンルは何でもOK!

自分のためだけに作られたクイズで100万円獲得を狙うことができるのです。今回のスペシャルではボーナスステージとして芸能界から3人のスペシャルゲストが参戦。Toshl、長嶋一茂、滝沢カレンが、スペシャルワンマッチで「このジャンルならば誰にも負けない自信がある」という得意ジャンルを掲げて、99人の壁に挑戦します。芸能人たちのガチファイトにもご期待ください。

「和牛」と「とろサーモン」の評価に一石を投じる番組

昨年のM-1グランプリの優勝を審査員の評価の微妙な違いにより逃してしまった「和牛」がテレビに引っぱりだこという印象がこれを書いている2018年4月現在します。器用でどんなところでも笑いが取れるという点が、今回から始まった「新型教養番組」でも生かされています。

この番組は一流企業で営業の現場にいる社員を前にして、漫才という芸を極めた芸人が講師という立場で登場し、ロールプレイングをしたり、お笑いの手法が営業にも流用できるように説明したりしながらNHK的に演芸の素晴らしさを伝えるという面もある番組だろうと思います。これは、教育テレビでの「教養番組」として考えれば全く非の打ちどころのない構成と「和牛」の二人のこなし方に唸るばかりで、企業や商業高校が研修や授業に使う教材として大変優れていると思います。改めてそんな講師のような事を当り前にこなす「和牛」のお二人の器用さも随所に感じました。

恐らく「和牛」さんは今後もどのような形が自分に求められているのかということを今後もしっかり感じて営業をこなすことで、生涯お仕事には困らないでしょうが、この方向性で大ブレイクしたり大きな賞を取れるのかと言えばそれは別の問題になります。

個人的には、今回番組のために明かしてくれた「笑い」を引き出すテクニックを公開すればするほどネタ番組では「あの時ああ言った事をそのまま使っているのだな」という風に感心はしますが、その分「笑い」というものは感じなくなっていくということも事実です。もしこの世に「お笑い評論家」なる商売があり、テレビのネタ番組で実況するアナウンサーの横でテレビを見ている人にわかりやすいようにギャグの解説をするというような仕事があれば、まさにぴったりな感じなのですが、テレビを舞台にしたお笑いとは違う感じで、このまま「和牛」のお二人がしゃべくり漫才の真髄を極めて行くのなら、あえてテレビはNHKの演芸番組やこうした教養番組のみにして、お笑いの教科書に載るような笑いを目指して行って欲しいと思います。

そう考えるとM-1グランプリで優勝した「とろサーモン」は「和牛」と比べると優勝したのにその扱いが「和牛」よりも下という感じもしますが、そこは「優等生」と「クズ」の対比ということで、個人的にはとても講師としてキリンビールの社員を前に自分達の漫才をネタに営業教育なんて離れ業はできないと思いますが、その分テレビの枠の中で弾けることのできる可能性は感じます。

ここまで読んで勘違いして欲しくないのですが、今回比較している「和牛」と「とろサーモン」は、審査員の好みの問題で優勝と準優勝に分かれただけで、どちらが面白いかということについては個人個人の好みが分かれるところだろうと思います。ただ、こういう番組を見ていると、安心して見ていられるきっちりと計算された笑いを作る度合いがより強いのが「和牛」の方ではないかなという気がします。今後彼らがテレビ界をうまく立ち回ることができれば、さらに飛躍する可能性は大だと思いますが、逆にテレビの枠からはみ出すような笑いを実践するのは難しいのではないかと私には思われます。

あと、もう一つ番組内容以外に気になった点を挙げます。番組では「一飲料メーカー」として紹介されている企業がテレビに出るのに、「一番搾り」「FIRE」のジャンパーをわざわざ着て仕事をし、NHKの方もロゴを消すこともせず放送するというのは教養番組だからなのかも知れませんが、ますますNHKの大手企業とのタイアップ疑惑を感じざるを得ません。

(番組データ)

芸人先生 #1「和牛×飲料メーカー」(前編)NHKEテレ
2018/04/02 23:00 ~ 2018/04/02 23:30 (30分)
【出演】和牛,
【解説】営業コンサルティング・童話作家…和田裕美,
【語り】桜井玲香

(番組内容)

第1回の芸人先生は2年連続M1準優勝の和牛。漫才でいう「ツカミ」の大切さをビジネスにも生かす方法を教える。訪問先は某ビール会社。笑えてためになる授業をご覧あれ!

漫才、コントは「究極のコミュニケーション術」である!!この番組は、現役で活躍する一流漫才師、コント師たちが己の笑いの技術を“コミュニケーション術”に置き換え、日々ビジネスの世界で戦っている社会人たちに伝える「新型教養番組」である。第1回は2年連続M1準優勝の和牛。訪問先は、ビール会社。現役の営業マンたちに、最初の30秒間の大切さ「ビジネス基礎ファーストコンタクト講座」を教える。

現代の「お笑いウルトラクイズ」に「オールスター後夜祭」はなれるか?

日付こそ翌日になっていますが、今回紹介する「オールスター後夜祭」は、年度末にゴールデンタイム5時間通しで放送された「オールスター感謝祭」のセットをそのまま使い、ある意味本家帰りとも言うべきクイズを中心にしたバラエティに仕上がっていました。

「オールスター感謝祭」がクイズよりも改編期の新番組の出演者を大挙して番組に出し、さまざまな定番企画に出すことで番組名を売る番宣中心の内容になり、さらに賞金もここのところの経済状況を象徴するように賞金額も賞品もしょぼくなっているという中、深夜からの放送の後夜祭はどうなるのだろうと思っていたら、意外にも真面目な引っ掛け問題が多いクイズ勝負で、それほど見ている人がいないと思われる中でスタッフの地道な仕事が垣間見え、良質なプログラムであるということをまずは感じました。番宣や出演者やその事務所に対しての忖度を考えなければお金はなくてもこれだけ面白いプログラムが組めるという事を示してくれた今回の改編期一番の深夜番組だったのではないかと思います。

見ていない人のために簡単に説明すると、以前「感謝祭」の一コーナーとしてビートたけしさんがクイズの問題を出す時間があり、常識が通用しないひっかけ問題ばかりを出して真面目に問題に答えていた出演者からひんしゅくを買ったのと似ています。ただ後夜祭の出演者は感謝祭から居残っている番宣とは何の関係もないお笑い芸人と、さらに多くの人が名前も顔も知らないお笑い芸人を総勢160人集めているだけなので、こうした格下の芸人いじりには定評のある有吉弘行さんにとってはかなり自由に回せたことが想像されます。

この番組がここまで面白くなったのはスタッフによる構成の力であることは見ていてわかりましたが、一つだけ失敗した事があるとしたら、クイズで最下位を取った人に獣神サンダー・ライガーさんとザ・グレート・カブキさんから驚愕の罰ゲームを受けることを最初に発表してしまったことでしょう。ネットでの口コミでは「最下位ではなくブービーに罰ゲームを与えた方が良かったのでは?」という意見も多く書き込まれていましたが、全員がお笑い芸人のため、今回の最下位になった芸人を含めてわざと回答しないで最下位になりテレビに映ろうと考える人も出てくることは十分に予想できたわけで、クイズ最下位が罰ゲームということを最後に発表するか、番組全体を通して一番ポンコツ臭がする芸人を有吉さんの独断で決定するようにした方が(当然、指名される芸人には罰ゲームのリアクションを期待されるので)テレビを見ている視聴者側も最後まで十分楽しめるものになったのではないかと思います。

ただ、これも試行錯誤した中での結果であるので、次回があるとしたら秋になると思いますが、新しいクイズや企画だけでなく見ている人が興ざめしないような内容で続けていってほしいと思いますね。この日はめちゃイケが最終回でしたが、テレビの世界に限らず過去を振り返って懐かしむということより、新しく作っていくもので楽しむことこそテレビ的であるのではないかと思います。

その日のTBSオールスター感謝祭の裏番組で日テレでは「月曜から夜ふかしスペシャル」を放送していて、そこで将棋の加藤一二三九段と桐谷広人七段との対談があったのですが、恐らく多くの方が過去の対局で1勝1敗だった将棋の話を期待していたと思うのですがお二人の興味は過去でなく未来にあるようでした。

加藤九段がワタナベエンターテインメントに所属していることから、桐谷七段が今後事務所に所属して仕事を管理てもらおうかなと、お二人ともこれからの仕事についてのお話ばかりしていたのは、実に人間として素晴しい事だと思います。人間年をとったり物事に慣れてしまうと新しい事へのチャレンジを忘れてしまい、いつまでも過去の栄光にすがることで傍目から見ても老害だと思われてしまう人が少なくない中、いつまでも現在や未来の事を見ていくからこそ面白くなるということを示してくれています。

願わくばこの番組もそんな風に進化していってもらい、もし本編のオールスター感謝祭が終わったとしても「お笑いウルトラクイズ」のように単体でこの番組が残るような進化を期待しています。

(番組データ)

オールスター後夜祭 TBS
2018/04/01 00:58 ~ 2018/04/01 02:58 (120分)
【MC】有吉弘行、高山一実(乃木坂46)
【解答者】アイデンティティ、あかつ、アキラ100%、阿佐ヶ谷姉妹、あばれる君、AMEMIYA、アルコ&ピース、アンガールズ、イーちゃん(マリア)、いかちゃん、いけだてつや、イジリー岡田、井下好井、イワイガワ、岩井勇気(ハライチ)、インスタントジョンソン、インディアンス、ウエストランド、うしろシティ、エル・カブキ、エルシャラカーニ、岡野陽一、お侍ちゃん、
オジンオズボーン、オテンキ、鬼ヶ島、おばたのお兄さん、河邑ミク、神奈月、ガンバレルーヤ、キック、きつね、キャプテン渡辺、コウメ太夫、小島よしお、紺野ぶるま、ザ ツネハッチャン、サツマカワRPG、サンシャイン池崎、Gたかし、シオマリアッチ、ジグザグジギー、磁石、ジャッキーちゃん、新宿カウボーイ、スーパー・ササダンゴ・マシン、スパローズ、ゾフィー、だーりんず、ダイアン、TAIGA、
タイムマシーン3号、高田紗千子(梅小鉢)、デニス、テル、どきどきキャンプ、どんぐりパワーズ、なかやまきんに君、ニッチロー´、脳みそ夫、ノッチ(デンジャラス)、パーパー、パーマ大佐、バイク川崎バイク、Hi-Hi、馬鹿よ貴方は、X-GUN、8.6秒バズーカー、花香よしあき、浜谷健司(ハマカーン)、原口あきまさ、ハリウッドザコシショウ、バンビーノ、ピスタチオ、ビックスモールン、フォーリンラブ、
福島善成(ガリットチュウ)、FUJIWARA、プラス・マイナス、ぶらっくさむらい、HEY!たくちゃん、ペンギンズ、槙尾ユウスケ(かもめんたる)、牧野ステテコ、マシンガンズ、マツモトクラブ、マテンロウ、まんぷくフーフー、みかん、宮下草薙、ミラクルひかる、むらせ、メルヘン須長、モグライダー、餅田コシヒカリ、もりせいじゅ、安田大サーカス、八幡カオル、山本高広、ゆーびーむ☆、ゆってぃ、ラブレターズ、
ルシファー吉岡、ロビンフット、和賀勇介、わらふぢなるお
【プロデューサー】福田健太郎
【演出】藤井健太郎

(番組内容)

オールスター感謝祭の延長戦生放送「後夜祭」では、感謝祭からの居残り組に追加メンバーを加えた、合計160人の芸人たちが深夜ならではの笑いに振ったクイズや企画に挑戦!
■ガチ相撲トーナメント2018春~後夜祭場所 ・あかつ vs ジョシュ・バーネット ・ボビー・オロゴン vs ???(登場したのは大相撲を解雇された大砂嵐) トーナメントで優勝を決定、なお4人目の選手は生放送で発表
■後夜祭版「ホンモノだぁ~れ?」
■深夜の生電話企画

今のNHKは人を見て「忖度」する?

後からこの文章を読む方もいるとは思うので、この番組が放送された当時の世の中の動きについて紹介しておきますと、ちょうど前日に国会では元官僚の方が証人喚問で呼ばれ、首相や首相夫人、官邸や官房長官など政府の要人に良かれと思って証言をしたのではないかと野党が攻め立て、今年の流行言大賞は「忖度」ではないかと言われていて、NHKを含めて多くのテレビ局で批判的に「忖度」という言葉を扱っているように感じています。

そんな時に放送されたこのプログラムは、向田邦子さんとのコンビで数々のドラマを作り今なお多くのファンのいる演出家の久世光彦氏を敬愛する小泉今日子さんがホストとなり、「マイ・ラスト・ソング」という久世氏の同名エッセーを基にして数々のテーマとともにそれぞれの人生の最期に聴きたい歌を紹介していくという形の番組でした。

久世光彦氏の話をもっとしてくれるのかと期待していたものの、樹木希林さんが登場した割には大した話もしないで終わってしまったのは個人的には残念でしたが、実は樹木希林さんがスタジオに入ってNHKの紹介する「女子会トーク」を収録している時に、変な動きをする樹木希林さんに気付いたのでした。
見ていた方ならわかると思いますが、希林さんはバッグを本番のスタジオに持ち込んでおり、他の人が話したり自分で喋りながらそのバッグを自分の隣の席に置き、中に手を突っ込んで何かを探しているのを見てしまいました。恐らく、トークの内容に関係あるグッズでも出てくるのだろうと思いながら見ていたら、次のカットではバッグを足元に置いたままその後は手を付けず、結局何のためにバッグを本番の収録に持ち込んだのかはわからずに番組は終了しました。

正直、私はテレビに出ている人がその番組の中で私物の入ったバッグを持ち込むような人というのは、さんま御殿で司会の明石家さんまさんに私物のバッグを見付けられてかなり大きな声でマジ注意された蛭子能収さん以外にはこんな事例を知りません。蛭子能収さんの場合はお笑い中心のバラエティーのためある意味結果オーライで、蛭子さんのテレビからはみ出すような行動をうまく笑いに変えていたなとその時は思ったのですが、もしバッグの中に電話など音を出すものが入っていて収録中に急に鳴り出してしまったらと考えると、普通はスタッフが出演者に私物は持ち込まないで下さいと諌められて終わりなのですが今回はそうはならなかったようです。

特に今回の場合はバッグを自分の隣に置いてゴソゴソやっているところまで番組で見せているのですから、少なくとも共演者はその行動に触れて笑いに変えるとか何とか処理をするようでないと、わざわざ希林さんが私物のバッグをスタジオに持ち込んだ甲斐がありません(^^;)。もっともそれは私が民放を見過ぎているせいかも知れませんが、もしNHKのスタッフが樹木希林さんの勢いに押されて私物のバッグのスタジオ持ち込みを結果的に許してしまっただけだったら、それこそNHKスタッフは樹木希林さんに「忖度」した結果だけが残り、見ているこちら側は違和感だけが残ったというのが正直なところです。

今回は、トークの中で今はもうあれだけ人に対して怒る演出家はいないという久世光彦さんに対しての好意的な評価をしてから番組に入ったのに、NHKのスタッフには困る時でも大女優なら決して怒らずに忖度してしまうという事になったという、本当に残念な番組になってしまったように思います。樹木希林さんの自由な行動を番組で触れないことは、実は当の希林さんが残念に思っていたのかも知れません。

(番組データ)

マイ・ラスト・ソング~人生の最後に聴きたい歌は~ NHK総合
3/28 (水) 22:00 ~ 22:50 (50分)
【出演】小泉今日子,樹木希林,満島ひかり,又吉直樹,浜田真理子,奇妙礼太郎,
【語り】窪田等

(番組内容)

小泉今日子のライフワークがついに番組化!人生の最後に聴きたい日本の名曲を、小泉今日子自身の朗読とともに届ける。樹木希林・満島ひかりとの「いい女」トークも!

小泉今日子の人生において忘れることができない恩師、それがドラマ演出家の久世光彦だ。小泉は、久世が残した「マイラストソング」というエッセイをもとに、朗読と歌の舞台を10年にわたって上演してきた。今回、この小泉のライフワークがテレビ番組になった。小泉の朗読と、聴く人の人生に寄り添う、日本の「いい歌」を届ける。さらに樹木希林、満島ひかりを迎え、「女子会」さながらに人生についてディープなトークを展開する。

NHKのバラエティは民放ゴールデンタイムバラエティともはや遜色なしか

このブログでは最後に、番組のデータと内容を紹介しているのですが、この番組で注目すべきことがあります。それは、番組に出演している人達は司会を含めて全てタレントで固められているということです。NHKのバラエティというのは必ずどこかにNHKのアナウンサーや解説委員などの局の関係者が入り、それがいいという人もいれば、局の人間の出すオーラによってバラエティとしての面白さが台無しになるという人もいます。

今回は民放でバラエティ番組の司会を多く行なっている有吉弘行さんにしたことで、収録中であっても暴走してしまい、その雰囲気が番組に出てしまうのを心配するなら、隣りにいてしっかりと有吉さんの暴走を止めるようなアナウンサーを置いても良かったと思うのですが、実はそれでは今まで私達が見てきたNHKのバラエティーと同じ結果になってしまうことは明白でしょう。たとえそれが有働由美子アナウンサーや桑子真帆アナウンサーであってもです。

恐らく、NHKの中の人の間でもドラマやドキュメンタリー、教養番組では民放よりいいものを作る自信はあっても、バラエティについては民放には敵わないということを感じていたことはあったのではないでしょうか。今後NHK発のバラエティを進化させ、より多くの人に見てもらうためには、あえてNHK側の出演者を出さないバラエティを作ることでよりNHKへの視聴者への注目が集まるのではないか、そうなれば受信料もしっかりいただけるのではないか(この部分については個人的な邪推の域を出ませんが)という風に考えてのキャスティングなのではないかと思ったりもしました。

今回、NHKの局の人間を出さずに有吉さんに暴走させないための方法として、司会を有吉さん一人にしないで、下ネタやえげつない話はNGの鈴木福くんを起用したのは今後のNHKのバラエティを考えた時、ものすごいアイデアだと思いました。鈴木福くん自体は大したことも言えず、有吉さんの隣にいるだけで、下世話な話を振られても愛想笑いをしているだけでしたが、NHK的にはそれで良く、恐らくNHKのスタッフが作ったカンペを指定された時に読むだけで十分でした。キャラの立つアナウンサーが余分な事を言わないことで、有吉さんが自分で考えてしゃべる余地を作ったのが鈴木福くんの存在だったと言えるのではないでしょうか。

有吉さんはメチャクチャな事をやっているようでいて、場の雰囲気を読んでうまく立ち回ることができるスキルを、ピン芸人として復活していく中で身に付けていった苦労人です。だからこそ、あらゆるジャンルのタレントにフィットさせることができます。さらに、ゲストも民放のバラエティの司会とゲストという立場で何回もやり取りしている人ばかりです。こうなるともう、NHKスタッフのもくろみ通り、少し失礼にも苔を取ってお金設けをしている人のパーマの頭をアップにするようなVTR素材も入れながら、スタジオでのトーク回しは民放バラエティとほとんど同じで、その中でもあまり過激な話はしないなどNHKの方としても安心できる内容でNHKの新たなバラエティ番組の方向性を打ち出したように思えます。

となると、こうしたNHKの動きを受けて民放のバラエティ班がどのような番組作りを目指すのかということが気になります。VTRを見ながらゲストと司会者がやり取りするような番組においては、もはやNHKは今回の番組を成功させたことで、そのノウハウを十分に持ったと言っていいと思います。まだ深夜のクセがすごいバラエティは安泰かと思いますが、少なくともゴールデンタイムに放送されているバラエティのいくらかは、NHKとの競争に負けてしまう恐れが出てきたように思います。

過去の例としてフジテレビで放送され、人気抜群だった「ほこ×たて」にやらせが発覚して打ち切りになった後、NHKがしれっと「超絶 凄ワザ!」という一切やらせなしという類似番組を始めたということもあります。受信料収入をバックに資金をかければやらせなしでバラエティ番組だって民放より多くの視聴者を楽しませる番組を作れるということなのかも知れませんが、工夫すればテレビ東京のようにお金を掛けずに人気番組を作ることもできるのも確かです。今回の番組はまだそれほど民放の脅威にはなっていないと思っている方も多いと思いますが、私は民放のバラエティ班もNHKに対しての危機感を持った方がいいのではないかと思ってしまいました。

(番組データ)

有吉・福くんのお金発見 突撃!カネオくん NHK総合
3/24 (土) 20:15 ~ 20:45 (30分)
【司会】有吉弘行,鈴木福,
【ゲスト】高橋英樹,田中美佐子,岡田結実,
【カネオくんの声】ノブ(千鳥)

(番組内容)

日頃、気になるけどなかなか聞けないお金のヒミツに“おカネ大好きキャラクター・カネオくん”が突撃取材!家族で楽しめる生活マネーバラエティー!ぶっちゃけみんなのお給料っていくら?街で景気調査!1年で1000万貯めた主婦のスゴ技とは?知ってるようで知らない、世の中のお金事情&仕組みをわかりやすくお届け!MCはテレビ初のコンビとなる有吉弘行&鈴木福くん。彼らと一緒に世の中のおカネのヒミツを解き明かします!

思い出の品はどう処分する?

前回の番組も面白かったですが、今回の断捨離シリーズ第3弾もいろいろ考えさせられる番組でした。今回の番組ではそれぞれの「思い出の品」をどう処分するか(処分しないで残すかというケースを含めて)についての話が心に残りました。

出演者として登場した俳優の鈴木正幸さん家族は引っ越しにともなって部屋数が少なくなる関係から断捨離を決断したのですが、その際に捨てようか残そうか悩んだものが、ドラマ「3年B組金八先生」出演時の台本とテレビ放送を録画したテープでした。

鈴木さんにとってはこのドラマに出演したからこそ俳優への夢をあきらめないで今回の取材を含めてテレビの仕事もある「思い出のつまった品」なので、普段見なければいらない品であることには変わらないのですが、捨てるのか残すのかで悩む中で一つの考え方として示されたのは「昔を懐かしんで気分が沈むものは捨てる」ということでした。

いわゆる「過去の栄光にすがる材料」になっているのなら置いていても今後の人生にとっては良くないので捨て、時々そうした品を見て、自分らしく生きて行くための糧になっているなら捨てずにとっておくのもいいという考えでした。

この考えは後に出てきた3家族にもあてはまることがあり、自分の今までの人生や肉親との思い出とともに捨てられないで溜まってしまっているものを捨てるべきか残すべきか選択を迫られます。エステで儲かっている時に飲食店に手を出し失敗した女性の方は、高いお金を出して買ったレストラン用の器具を捨てられなかったのですが、それは捨てるとまだ残っている借金を返すモチベーションが落ちると考えで残しておいたことが仇となり、エステの事業からもお客さんが逃げるという状況になっていたのですが、本来エステに通う人というのは日常の生活感を極力感じたくないものなのに、依頼者のサロンのあちこちに飲食店にあった道具などが散乱しているのを目にすれば、別のサロンに行きたくなってしまうのは仕方のないことでしょう。しかしこの依頼者も番組の力添えで何とか過去の忌まわしい思い出を断ち切り、今後のサロンの復活に期待が持てそうな感じでした。

親族の思い出が詰まった品々というのは魂がこもっていると考えてしまうとなかなか捨てづらいものです。しかし、その魂というものは人間の心の中にあるものでもあるので、番組では出てきませんでしたが、例えば自分の場合なら思い出のものの写真を撮り、それをクラウド上に保管していつでも見られる状況を作っておくことで、本体を捨てられるということもあるかも知れません。そうした「分身」ではダメだと思ったらその分は残せばいいのです。前回の番組もそうでしたが、自分で納得して自分で行動することが断捨離では大切で、決して肉親であっても「人のものを勝手に捨てる」というのはルール違反です。

特に今回の依頼者はそれぞれ断ち難い思い出を持ち、単に捨てたり残したりするのではなく実際に親の所に会いに行って話をする中で何を残し何を捨てるかということを自分で決めた上で断捨離を実行した女性の場合は、母親にずっと反発してきたのは、実は愛情の裏返しだったことにだんだん気付いていく様子というのはテレビを見ている多くの人にとって共感できるところだったのではないでしょうか。

そして、最初に紹介した鈴木正幸さんの大切な台本とビデオテープについては、捨てるというよりも地元の図書館への寄贈ということも考えたみたいですが、結局は自分の俳優人生を作ってくれたものとして台本の梱包の紐を解き、改めてビデオテープと一緒に自分の生活とともに今後も残すということに鈴木さんがご自身で決められていました。今後新生活をスタートするのを機に、いらないものを捨てたいと思っている方は多いと思います。この番組は捨てるための方法というよりも、決断を促すための心の問題を解くことで断捨離が進むことを示してくれています。BS朝日ではまた忘れた頃に再放送があると思いますので、もし放送に気付いた断捨離を行なおうと思っている方は、今回の第三弾はなかなか見ごたえがある回ということでおすすめだと紹介しておきます。

(番組データ)

ウチ、“断捨離”しました!3 BS朝日
3/22 (木) 21:00 ~ 22:54 (114分)
【出演】やましたひでこ(断捨離 代表/クラター・コンサルタント)、鈴木正幸 他
【ナレーター】平泉成

(番組内容)

大好評企画の第3弾!挑戦するのは、「78歳建具職人が挑む!明るい“終活”にむけて!人生と家族の思い出を閉じ込めたままの家」「隠れモノメタボな家!隠されていたのはモノではなく母娘の確執」「再起不能!?ガラクタで埋め尽くされた名古屋のお城」の3家族。片付けを通じて家族の悩みと向き合う。 さらに、俳優・鈴木正幸さんが登場。母親との同居にむけて、思い出の品や食器類との“断捨離”に向き合う。

不要なモノを減らし、生活に調和をもたらすことを目指す「断捨離」を提唱するクラター・コンサルタントのやましたひでこのアドバイスのもと、片付けに悩む家族が整理整頓に挑む様子を追ったドキュメンタリー。年齢を重ねるに連れて増えていく、「思い出の品」や「捨てられないモノ」を片付けることで、自分が本当に望むものを見つめなおす。