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「番宣が必要なドラマ」と「番宣とは関係無いドラマ」との違い

最近の日本映画を見ていても同じようなことを思うのですが、製作会社やスポンサーの利益を大きく上げるために多くの人に見に来てもらったり、番組の視聴率を上げたりするためにはいわゆる人気俳優や人気タレントの力を借りることがごく普通に行なわれています。そもそも、コマーシャルに芸能人を使うということ自体が企業活動の一環であるわけで、民放テレビ局の収益の柱が広告収入に依存している以上、いかに多くの人に番組を見てもらって、スポンサーの売上を伸ばすかというのがテレビでも映画でも安定して続けるための要件になるでしょう。ただ、その動きがあまり度を越してしまうと興ざめするようなところがあるのが正直なところです。

クリスマス・イブの夜9時から、TBSのドラマ「陸王」を家族がどうしても見ると譲らないので(^^;)、今回紹介するドラマ「レモン・ハート」はリアルタイムで見ることはできませんでした。地上波のゴールデンタイムに放送され、TBSが局を挙げて多くの視聴者に見てもらうためのプロモーションをしているドラマ「陸王」と比べると、BSフジという衛星放送でしか見られない「レモン・ハート」の方がかなり劣勢になります(^^;)。

何と言っても「陸王」の方は主演の役所広司さんを始め、今年の話題を独占した若手男優の竹内涼真さん、さらに山崎賢人さん、若手女優として映画「君の名は」で主演声優を務めた上白石萌音さんを起用し、さらに檀ふみさんと一緒に阿川佐和子さんをキャストとして引っぱリ出すなど、本筋に関係ない話題にも事欠きません。

それに対し、「レモン・ハート」の方はゲストで女性は出てくるものの、レギュラーメンバーは「マスター(中村梅雀さん)」「松っちゃん(松尾諭さん)」「メガネさん(川原和久さん」というレギュラーメンバーで色気も何もありません。松尾諭さんは映画「シン・ゴジラ」での演技が印象的でしたが、そうでない情けなさと優しさを持つ松っちゃんを好演しています。川原さんはテレビ朝日系「相棒」の警視庁捜査一課の刑事、伊丹さんが夜にはコートをはおりサングラスを掛けてバー「レモン・ハート」に出入りしているのではないかと漫画を読みながら思ってしまうほどぴったり「メガネさん」の役にはまっている感じがします。マスターの中村梅雀さんについては漫画の姿とは松っちゃんと同様に違いますが、多趣味でウンチクを言うのが好きそうなので、バーのマスター役はけっこうはまっていると思います。

「レモン・ハート」のキャスティングについては、少なくとも「陸王」など地上波の視聴率(この計算で大体どのくらいの人がリアルタイムでテレビを見ているかの判断になります)が要求されるドラマのように、スポンサーの取り扱う商品の売上が上がるなんてことも緻密に計算して人気の俳優をキャスティングするのではなく、あくまで漫画の「レモン・ハート」の雰囲気を実写で出すために考えられたキャスティングであります。制作側とスポンサーの方々の考え方についても、地上波のように全ての世代に見てもらえるとは思っていないと思うので、私のように漫画をずっと読んでいるような世代の人に確実に見てもらうためには、人気の俳優を起用するのではなく、あくまで原作の雰囲気を壊さずに楽しんでもらえるような感じで考えていたのではないかと思います。

もちろん、「陸王」の方は地上波でお金もかかっているドラマなので人気の若手俳優でも実力のない人は出していませんし、脇を固める俳優陣もきっちりと揃えてきており、ドラマとしての好みは別として、単に俳優の人気取りとして使っているものではなくドラマとしても十分見ごたえがあるものであります。ただ、それだけお金を掛けていることもあるので、出演させた俳優さんには積極的に同局のバラエティ番組に出演することでドラマの番宣をし、より多くの視聴者を引き付けて視聴率を上げる努力をしなければなりません。

「レモン・ハート」の方は、今のところあえて番宣をする必要がないと思われますが、その代わり番組の途中では気に入って見ている人に向けてこれまでの作品が詰まったDVDBOXの宣伝をしっかりしていました(^^;)。それでも、一定のファン層を確保できれば、細々と続けられるだけの支持をこのドラマは持っていると思います。個人的にはこのドラマが深夜の地上波ドラマでなく、BSのオリジナルドラマとしてこじんまりと始まったことに感謝しなければならないかも知れません。そのために、出演者もいちいち番宣に出ることなく、もちろん当代の人気若手俳優を無理して出すこともなく、オリジナルメンバーを変えずに続けられることにもなるのでしょう。今の時代、なかなかそんなドラマはないのでとりあえず今回新作が一本作られたことに感謝しながら改めてじっくりと見させていただきました。

今回のクリスマススペシャルは待望の新作として今日のクリスマスイブに寄せた一本と、過去の名作を3本という構成の2時間番組になっています。もちろん、ドラマとドラマの間にはDVDBOXの紹介だけでなく、都内のバーの一品やカクテルを紹介するお酒を愛する人のためのコーナーもありました。

ちなみに、今回のクリスマス用の新作のゲストは斉藤暁さんで、相変わらず色気もへったくれもありません(^^;)。しかし、かわいい女の人の格好をした妖精でなく、丸顔で笑顔が愛らしいおじさんが運んでくれる福というのもあるのかも知れないなと思いつつほっこりした気分になれました。また、番組の最後を飾ったのは過去の名作の中でも温水洋一さんが幽霊の役になった回で、温水さんの顔芸の凄さを感じて怖くも楽しかったのですが、ラストの挨拶もなくフェイドアウトするように番組が終わってしまったというのは、このドラマらしいといえるのかも知れませんね。

ともかく、今回スペシャルがオリジナルキャストで新作を入れて放送されたということで、次のシーズンの放送があるかも知れないという期待は持てることになりました。コミックスの内容はそれこそ毎週放送しても追い付かないくらいの量がありますので、決してバラエティの番宣には出ることがないであろうキャストの都合が許す限り、次のシーズンも新作が作られることを期待しています。

(番組データ)

BARレモン・ハートクリスマスSP「クリスマスの神様」BSフジ
12/24 (日) 21:00 ~ 22:55 (115分)
【出演】中村梅雀 川原和久 松尾諭 斉藤暁ほか

(番組内容)

BSフジ開局15周年記念番組としてスタートした、ドラマ版「BARレモン・ハート」。30年以上連載が続くハートウォーミングな原作の中から、厳選したストーリーをチョイス・放送し、視聴者から好評の声を集めてきた。 今回のスペシャルは、新作ドラマ(「クリスマスの神様」)に加え、「クリスマス」をテーマにぽっと心温まる旧作(「めおと鶴亀」「悪魔という名のビール」「停電の夜に」)を3本、さらに誰もが行きたくなるBAR情報を松ちゃんが紹介する。 クリスマスの夜は、ぜひBARレモン・ハートにご来店下さい。

『クリスマスの神様』

クリスマスイブ。店内装飾が少しだけクリスマス気分のBARレモン・ハート。 いいことがないーと、ぼやく松ちゃん。BARレモン・ハートの表では、一見浮浪者風の男が寝ころんでいた。心配したマスターはその男を店内に招き入れる。みれば、男の額には立派な福ボクロ、厚みのある耳、丸みを帯びた顔…完璧な福顔。みすぼらしい姿と顔があってない。何者だろうか。名前を聞くと好きなように呼んでいいという。松ちゃんはその男を福ボクロさんと呼ぶことに。 ポケットから出した盃に松ちゃんとメガネさんのお酒をおすそ分けされ、美味しそうに飲む福ボクロさん。立派なホクロを持つのに、どうして福に見放されたのだろうか?と不思議がる松ちゃん。ところが、福ボクロさんはマイ盃があるだけで最高に幸せだという。その盃に秘密があるのだろうか?マスターはある酒をプレゼントする代わりに盃の秘密を聞こうと…。 今夜もレモン・ハートの常連との楽しい一夜が始まる。 人にとっての「幸せ」とは? そしていったいこの男は何者なのか!?

良質な番組素材「箱根駅伝」だが感動だけでいいのか?

実はこの番組は後編で、春と夏の有力校・有力選手を追ったドキュメンタリーは11月22日に同じBS日テレで放送されました。有力校の合宿の様子に取材するなど、本大会が翌年の1月2日~3日なのでかなり前から箱根駅伝で引っぱっているという印象があります。また、本来は単なる関東での記録会に過ぎない箱根駅伝予選会の生中継もさらにその前の10月14日に地上波の日本テレビや、私の住んでいる静岡第一テレビでも地上波中継されました(BS日テレは録画放送)。改めて「箱根駅伝」というブランド力の強さを感じます。

ただ、日テレで地上波、ラジオでもNHK(関東ローカルの文化放送も)が生中継するという全国的なイベントになっているにも関わらず、大学生の駅伝の中で出雲駅伝と全日本大学駅伝を抑えて一番の知名度を誇っているのは、やはりその歴史によるところが大きいと思われます。

今でこそプロ野球でも全国各地にプロチームや学生の強豪がひしめいていますが、過去にはそこまで競技人口がなかったこともあり、とにかく競技普及のために大きな大会やリーグを東京周辺に集めてしまうことにより選手の強化を図ったという時代背景があったように思います。高校野球の甲子園は関西ですが、甲子園で活躍したスターの受け皿としては東京六大学のリーグ戦があり、今では必ずしも東京六大学リーグが日本最強ではなくなっているにも関わらず、さらにリーグ戦の順位に関係なくても必ず最後の早慶戦をNHK教育で中継するという慣例があるように、駅伝の世界においてもそうした伝統が引き継がれていて、実は全国大会ではないのに国民的行事になってしまったのが箱根駅伝だと言えるでしょう。

元々はアムステルダムオリンピックに日本人選手として初めて出場したマラソンの当時の世界記録保持者、金栗四三氏によって始められた箱根駅伝ですが、マラソンでオリンピックを狙う人材がそのために東京周辺の大学に集まってきたことは確かで、その状況は今でも続いています。全国から関東の大学に有力選手が集まってしまうことから、箱根へ向けてのトレーニングをする中で選手自身も能力が開花するなど、オリンピック選手を育成するための一定の役割を今も担っていることは確かです。ただ、テレビで今回紹介するような選手やチームに対する取材のもとで、スター選手が生まれる中、そうしたスター選手が思ったほど世界的には活躍できないというジレンマも生んでいます。

もし東京オリンピックに「駅伝」という新種目をオープン競技として大手町~箱根間往復で行なったとしたら、十分メダル圏内に入るとは思いますが、オリンピックの種目には残念ながら「山登り」や「山下り」を競う陸上競技はなく、いくらテレビで「山の神」と持てはやしたとしても、トラックやロードで世界の強豪と競えるだけの結果が出ていないことも確かです。もっとも過酷で急な山登り山下りのある競争がオリンピック競技として公認されるかというと、安全性の面から難しいでしょうが。

さらに、走る人数が多くなれば当日の体調によってブレーキとなってしまう可能性もあるのですが、そこで完全に脱水症状になって足が止まっているのにチームとしてタスキを繋ぐことを最優先にするなんてことになってしまうと大変なことになります。例えば、山梨学院大学の大エースで、前の年には世界選手権のマラソンの日本代表になった中村祐二選手が1996年の「花の2区」で足の痛みをおして走ったものの1キロ過ぎから痛みで走れなくなった時の事を思い出します。

普通は走れなくなればコースアウトするなり指導者が掛け寄る形で棄権させるのが選手生命を考えれば最良の選択だと思うのですが、その時は応援していた山梨学院大の選手達は、レースを止めさせるのではなく、とにかくタスキをつなげて欲しいと思ったのか、中村選手の伴走をしだしたのでした。これはお涙頂戴の根性論からすると実に美しい光景かも知れませんが、選手によっては伴走している選手達に義理立てをして無理をして走ることでその後の選手生命が絶たれる場合もある危うい行為です。そのまましばらく中村選手を走らせた上田監督の判断も本当に適切だったのかどうか、私自身は陸上の専門家ではないのでわかりませんが、単に精神論で押し切って美談にしてはいけないのではないかと、その時には思いました。

昨今の箱根駅伝を見ていてもテレビアナウンサーの勇み足だと思うのが「無念の繰り上げスタート」というフレーズです。もし体に変調をきたすほどのトラブルがあってタスキ渡しが遅れるのなら、体調がいい時に「その一秒を絞り出す」のはいいとしても、痛めた足をかばってまで頑張らせる必要はありませんし、さらに脱水症状によってフラフラになっている場合には頭を打つようにして倒れればそれだけで命の危険もあります。その場合には有無を言わさずに棄権させるようでないと、たとえ才能のある前途有望な選手だったとしても、調整不足から脱水症状を起こしたら、走るどころかフラフラ歩くようになり、ついには頭から崩れるように転倒して再起不能どころかその後の生活もおぼつかない事故が出る恐れもあります。

翻って考えると、1984年ロサンゼルスオリンピックの女子マラソンで印象的な姿をテレビに映し出したスイスのガブリエラ・アンデルセン選手の様子をテレビが最後まで映し出した事が、どんな状態になっても死力を尽くしてゴールするということが美しく素晴らしいという価値感を生み出し、それが箱根駅伝にも伝染してしまったのではないかと考えることもできます。テレビがフラフラになったアンデルセン選手をアップで映し出す前に、大会関係者やスイスの陸上スタッフが早めに彼女の安全を考えて棄権させるべきだったと思います。

種目は違いますが、この文章を書いている2017年12月現在、話題の大相撲の貴乃花親方も当時の小泉首相による「痛みに耐えてよく頑張った、感動した!」というフレーズで賞賛された優勝決定戦への強行出場が力士としての寿命を縮めたということもあります。やはり本当に世界で戦える人材を箱根駅伝が育成するというなら、選手の健康や生命を危うくするような無理を強要させて「悲劇のヒーロー」を作ったり、世界レベルでそれほどのタイムが出ていないのに安易にスターに祭り上げるような事は避けて欲しいと思います。しかしテレビは来たる1月2日からの箱根駅伝本大会ではまた新たなスターを祭り上げてしまいそうな気がします。そんな中で思うことは、今回のような取材が訪れたとしても、あくまで選手の方々は冷静に対応していただいて、本気でオリンピックのメダルを狙っている選手はここをゴールにしないで欲しいと言うことだけですね。

(番組データ)

密着!箱根駅伝 春夏秋冬 後編(秋・冬)BS日テレ
12/20 (水) 19:00 ~ 20:54 (114分)

(番組内容)

1月4日早朝。ひとつの戦いが終わった翌日、次の戦いはすでに始まっていた!箱根駅伝に挑む学生ランナーたちの1年間に独自密着、その後編。
前哨戦では東海大、神奈川大が王者・青山学院を撃破。時代は変わるのか?王者が輝きを取り戻すのか?箱根を目指す学生ランナーたちの1年に密着。

番組タイトルと中味の違うことをやってそのまま放送する番組があった

教科書に出てくる偉人というと、普通の人でない超人的な能力を持っている人ではないかと思いがちですが、今の世界は人類が生殖を続けてここまで辿り着いているものに過ぎません。ですから、現在の社会でもテレビに向かって多くの人々が文句を言うような人が、後世の人から見ると、まれにみる偉人として取り扱う可能性だってあります。

今回の番組で紹介される数々の偉人と言われる人でも、生きている時には何をしでかすかわからない人間であり、決して聖人ではありません。しかし、有名になったのにはそれなりの理由があり、光り輝く経歴を持つに至った人間というのは、普通に生活していてはなかなか会うことが難しく、その人の事について書かれているものを読むと、中にはその人物を偉大に見せるために実際と違う創作部分が挿入されているのではないかと疑いの向く部分もあります。

その最も顕著な例が、独裁政権を権威付けるために書かれた伝記というか「伝説」の類の書です。君主の業績を余すことなく書き連ねようとするために、最高権力者の姿を、ある時は頭脳明晰、ある時はスポーツマンというような正義のヒーロー的な偶像化をしてしまう事は良くあることですが、そうでない現実の人物像を知りたいと思っている方は少なくないはずです。

今回紹介する「発見!偉人とホントに会った人」という番組のコンセプトとしては、そうした虚実相まって祭り上げられた偉人としての姿ではなく、現在生きている人が会ったことのある過去に栄光を極めた人物について、実際に会った人でなければわからないような事を聞き出し、そこから人物像を深く掘り下げることを目的としたと思うのですが、今回のオードリー・ヘップバーン、榎本健一、沢村栄治というジャンルの違う3人の実像に2時間で(実際はショップチャンネルのコマーシャルが間に挟まっていたのでトータルの時間は短いですが)迫るというのはかなり難しいと思わざるを得ません。

それでも、オードリー・ヘップバーンや榎本健一さんについては今でも出演している映画ソフトをいつでも見ることができますし、女優やお笑い芸人というジャンルは廃れることなく残っていますので、名前が出た時点でどんな人なのかという事を理解しやすいですが、問題は最後の沢村栄治さんです。

日本人と野球というのは、過去には切っても切り離せない関係がありました。昔の「野球は巨人」というような、テレビのプロ野球中継が全て読売巨人軍の試合を軸に回っていたということで、栄光の巨人軍を歴史作った伝説の選手であることに疑いの余地はありません。しかし、どれだけその偉業とともに「沢村栄治」という名前が現代社会においてそれほど知られているわけではないでしょう。

こうした番組を作るからには、どこまで取り上げた人物を後世まで語り継いで行こうかという覚悟を示すものとして、それなりの熱意が必要ではなかったかと思います。具体的には、3回も召集令状が来るほど戦争に駆り立てられ、それでもめげずに野球界に復帰した沢村選手の野球がやりたいと思ってもできないまま無念の戦死をしたということを、過去のテレビが伝えたくらいのメッセージ力をこの番組では発揮していたかということです。

日本のTVアニメは手塚治虫さんの「鉄腕アトム」が先陣を切りましたが、その後もSFアクション系のものが続き、食傷気味な部分があったのではないかと思います。そんな中、新たなジャンルとして小供だけでなく大人でも人気の野球を題材としてアニメが作られました。それがTVアニメの「巨人の星」です。

改めて放送データを見ると、巨人の星は1968年から1971年まで放送されていましたので、リアルタイムで司会をした立川志らく師匠が見ていたとしたら5才から8才と、さすがに細かい内容は覚えていないくらいの年代ではあるのですが、このアニメは何回も再放送されたことで、当時の日本の小学生から中学生の野球熱が高まる要因になったということもあります。今では差別用語(「日本一の日雇い人夫」の回など)の自主規制のため、小さい子に見せてはいけないような状況になっています。

今回沢村栄治さんについて語られた内容の多くは、実はアニメの「巨人の星」の第91回「栄光のピッチング 沢村栄治物語」の中でほとんど語られていたのです。当時の男の子は野球が好きとか嫌いとかいうことはなくて、毎回楽しみにアニメを見ていたと思うので、戦争に行って手榴弾の投げ過ぎで肩を壊し全盛期の上手投げでなく横や下から投げることもあったという話も見ていたはずです。まあ、そこまでアニメで語られた沢村栄治さんのエピソードを知らないということはあるかも知れませんが、それだけ当時のTVアニメを作っていた人にとっては、この沢村栄治という選手がいたことを当時の子供たちに伝えていきたいと思って、ストーリー展開からすると少々異色な、沢村栄治物語だけで一本の物語を作ってしまったのです。

そうした熱意を無意識に感じた当時のお子さんの世代が立川志らくさんの年代であると言えるわけで、その割には番組上でのリアクションが薄かったと感じるとともに、このストーリーを今の子供たちに引き継いでいこうと思うなら、今回紹介されたくらいの話ではとうてい足りないのではないかとすら思えたりするのです。

先日紹介したばかりの昭和11年に立教大学登山部が未登頂のヒマラヤ山系ナンダ・コートに世界で初登頂した偉業もそうですが、多くの人に忘れられている過去の偉業を埋もれさせることがなくアピールしていくためには数人をまとめて取り上げるのではなく、少なくとも一人の偉人に2時間はかけないと、そもそも何がすごいのか(沢村栄治さんの事で言えば、なぜアメリカの大リーグ選抜チームを抑えることができたのか、大谷翔平選手と比べてどのくらいのインパクトが有ったのかなど)、それこそ今生きていて全盛期の沢村栄治さんの投球を見たというぐらいの人に、大リーグに行った他の日本人選手と比べて実際のところ沢村栄治さんの実力はどうだったのかという事を聴くでもしなければ、本当のところはわからないと言う結論になってしまいかねません。

さらに、個人的にこの番組が問題だと思ったのは、番組内で沢村栄治さんの事について集中してインタビューを受けていたのは、番組がご本人に実際に会った人から聞くという触れ込みなのにも関わらず、宇治山田から京都商業へ一緒に行った捕手の友人は既にお亡くなりになっていて聞くことができず、仕方がないからとその子孫の方に伝聞という形で喋ってもらっていましたし、最後に出てきた沢村さんと戦地で一緒だったという100才の男性の写真を出しておいて、直接お話は聞けませんでしたというのはまさに看板と中味が大違いという事になってしまいます。ですから、この番組における沢村栄治さんに関する内容は、全てが伝聞に基づいて作られているということで、この番組で取り上げるべきではなく、別のコンセプトで番組を作った方が良かったように思います。

次に同じような企画をされる時は、まず取材当時に生きている方にインタビューするのを鉄則にし、そのインタビューも大切な内容を聞く場合なはディレクターではなく司会をされる方が直接出向き、その臨場感を伝えられるようでないと、見ている方の中は「テレビって適当なんだな」と思う人が出てくると思います。

(番組データ)

発見!偉人とホントに会った人 BS-TBS
12/17 (日) 19:00 ~ 20:54 (114分)
出演:立川志らく(噺家)

(番組内容)

教科書にも伝記にも載らない『偉人』の話 オードリー・ヘプバーンが親友に送った最後の手紙とは!?喜劇王『エノケン』が娘を怒鳴ったただ1度の理由。伝説の投手沢村栄治

教科書にも伝記にも載っていない『偉人』に 会った人だけが知る貴重な話を立川志らくが聞く オードリー・ヘプバーンと親友だった日本人に語った理想の男性像「ストロングマン!?」スクリーンから遠ざかった9年間の真相 私の前世は日本人!?旅先で見せた大スター らしからぬ母親姿 直筆の最期の手紙 チャップリンも認めた『エノケン』の娘&貴重映像 小松政夫を救った心に染み入る言葉 伝説の投手沢村栄治の捕手

BS11とナンダ・コートとの密接な関係に今後期待する

今回の「BS11 開局10周年特別番組」と銘打たれたヒマラヤのナンダ・コート(標高6861m)への登頂を扱った番組を見終えて、偉大な先輩の後に続き、現代の技術でのナンダ・コートへの登山のチャレンジをした立教大学の山岳部OBを中心にしたグループとBS放送の中でも後発のBS11という存在の共通性というものを感じ、「だからこの題材で番組を作ったのか」と思い当たりました。

昔も今も、未登頂峰を目指すチャレンジは熾烈を極めるものですが、昭和初期の日本の登山のスペシャリストというのは、必ずしも今回紹介する立教大学に集まっているわけではありませんでした。当時の登山技術は大学生が主導していたことは確かでしたが、番組で紹介していた当時のトップは慶応や学習院大学の登山部の方だったといいます。世界の登山家がヨーロッパアルプスからヒマラヤへとその目標を変更する中、日本でもヒマラヤを目指した登山計画を多くの隊が考える中、しかし実現にこじつけることは難しい状況にありました。

立教大登山部がナンダ・コートに登頂を果たしたのは1936年(昭和11年)の10月5日の事でしたが、同年の2月26日にあの「二・二六事件」が起こっていました。そんな状況の中、日本という国の威信を海外に示すには、登る山にもそれなりの「ハク」がないと駄目だと思った隊は多かったのではないかと想像します。日本という国の優秀さを世界に向けて示すには、どうしても8千メートルを超える山への登頂を目指さなければという気持ちになればなるほど、無理な計画を実行に移す事の無謀さを感じて諦めるしかなくなるでしょう。

そんな中で、ヒマラヤにあってそれまで人類がまだ登ったことがなく、更に標高にこだわらずにあくまで自分たちの技量の身の丈に合った山ということで立教大学登山部が選んだのが標高6861mのナンダ・コートだったわけです。この「身の丈に合った目標を見付けて十分な準備のもと実現させる」という行動が、ついにはナンダ・コートの人類初の登頂という栄光の記録となって今でも燦然と輝いているのです。

翻って今の日本のテレビ界を見てみると、公共放送にNHKがあり、山であればエベレストだとすると、他の8千メートル級の山々に比した民放には日本テレビ・テレビ朝日・TBS・フジテレビがあり、そこから少し低い山としてテレビ東京があるとすると、BS11はそれら地上波を持つテレビ局と比べるとさらに標高の低い存在であることは何となくイメージすることができます。しかし、「山高きがゆえに貴からず」ということわざのように、低い山だから簡単に登れるというわけでないのも登山の奥深さではないでしょうか。

初登頂を立教大学隊が成し遂げた時、「日章旗」「毎日新聞社旗」「立教大学校旗」の3つの旗をナンダ・コートの頂上に埋めて帰っていたという話があり、当時の登頂までを撮影したフィルムや実際に山行で使用した当時のテントが発見されたこともあり、新たに立教大学OBをメンバーにして3つの旗を登頂した後で探し出して持ち帰るため、ナンダ・コート登山のための遠征隊が組織され、その撮影にBS11が手を挙げたというわけです。

ここからはネタバレになってしまいますが、当初の目標であった遠征隊全員での登頂という目標は早いうちに崩れ、それでも何とか日程内に山頂にアタックすることになりました。しかし、山頂の200から250mという所で安全に進めなくなり、危険を承知でアタックを続行するか安全に下山することを優先して断念するか、究極の選択を迫られることになりました。

極限状態の山頂付近の映像を、そのほとんどが本格的な登山の経験もない中でこたつに入りながらぬくぬくとテレビで見ている視聴者というものは本当に勝手なものです。やはり遠征隊が山頂にたどり着いてもらい、81年前に埋められた3つの旗を見付ける決定的瞬間を見たいと思ってしまうものです。恐らく遠征隊に同行した撮影スタッフも、このアタックをここで止めたら番組的にはどうなるか? という問題についても頭にあったに違いありません。

しかしながら、番組では撮影隊の方から安全に全員下山することを優先した方がいいという提案があり、立教大OBの最年少参加者の鈴木さんもそれを受け入れ、テレビ的な見せ場はないまま番組は終了してしまったのでした。

しかし、タレントや有名人に何が何でも山頂に立ってもらうようにするバラエティ番組ならまだしも、この番組はテレビが先にあったのではなく、あくまでも登山計画が先にあったものにカメラが付いて行っただけのことですから、登山の現実として安全に下山できない可能性があるなら登頂を諦めて帰ってくるのが正しい判断であることに疑いの余地はありません。つまり、目的達成でめでたしめでたしにならない事こそがドキュメンタリーのドキュメンタリーである所以で、逆にこれで次回のチャレンジを見られる期待が出てきたということにもなるわけです。

BS11は開局10年を数え、まだなかなか魅力的な番組を先行する局ほどには送り出してはいないと思うこともありますが、今回の番組を最後まで見させていただいて、当然この遠征隊の次回のチャレンジもBS11で放送してくれることを期待してしまいます。製作費の関係から過去のドラマの再放送や中国・韓国のドラマを放送することも仕方ないところはあると思いますが、今後は自社制作の番組も増やし、地上波系列の放送局を脅かす存在になることでテレビ全体が更に面白くなるのではないでしょうか。

(番組データ)

ヒマラヤの聖峰、80年目の再挑戦 山頂に眠る旗を探しに【BS11◆10周年特別番組】 BS11
12/16 (土) 20:00 ~ 22:00 (120分)
【ナレーション】田口トモロヲ

(番組内容)

【BS11 開局10周年特別番組!】 ◆戦禍に埋もれてしまった“快挙の証”を求め、再びあの頂を目指す-- ヒマラヤの聖峰ナンダ・コート塔頂に挑んだ遠征隊に密着したドキュメンタリー。
今から約80年前の1936年。堀田弥一隊長率いる立教大学山岳部と大阪毎日新聞社運動部の竹節作太記者らからなる5人の登山隊が、ヒマラヤの聖峰、ナンダ・コート(6,861m)に世界初登頂を果たした。
その証として山頂に埋めた、立大校旗・毎日新聞社旗・日章旗を求め、塔頂から80年目の今年、立教大学山岳部OBを含む登山隊が、再びナンダ・コートに挑んだ。 当時の記録映像と共にプロジェクトの一部始終を伝える。

2回目になって「聴きやすく」なった「聴くメンタリー」

前回の放送の後で、第一回目の放送が地上波深夜で放送されたり、BSフジでも再放送がありながら、「珍盤アワー 関根勤の聴くメンタリー」もついに2回目の放送となりました。2回目ということもあり、ある程度は手探り状態を脱してより多くのレコードを聞くことができましたし、前回はあまり感じなかったのですが、改めて落ち着いて見てみたら、一つ感心した演出方法がありました。

テレビとは見るもので、聴くものではないのですがラジオだとずっと聴いていないと大事な音源を流す場合に聴きどころを外してしまう場合があります。これは情報が音だけでしか入って来ないのですから仕方のない部分ではあるのですが、今回特に思ったのが、レコードを掛け、その音源が聴こえている時間には共通の「よく聞いてください」というマークが画面に出ることによって、このマークが出ている時には画面を注視するよりも耳をそばだててテレビから出てくる音に集中しようというテレビを見ている人達への共通認識を促す効果を出しています。今回のネタの中では、赤ちゃんの鳴き声の聞き分け方のレコードというのが個人的には秀逸でした。

今回は特に出てきたネタが多かったこともあって、こうした共通マークの出現によってかなり自分自身の視聴にメリハリを付けられたのではないかと思います。そして、番組中盤に行なわれた「未来の聴くメンタリー」とでも言うべき音を、出演者の井川さんが録ってきてそれが何の音なのか当てるというコーナーが有り、現在において失なわれつつある音があるという事を感じるとともに(フルサービスのガソリンスタンドや幼稚園の子供の遊ぶ声など)、もしこの番組が毎週でなくてもいいのでレギュラー放送がなったとしたら、ぜひ視聴者からの「音の投稿コーナー」を作っていただいて、その中から未来に残していきたい音を紹介できるくらいの事ができれば面白いなとも思います。

この番組で紹介している「聴くメンタリー」の要素の詰まったレコードというのは、いわゆる生録ブームで街にカセットデンスケとマイクを持って生活音や環境音、SLの走行音などを録りに行く「生録マニア」の存在が支えていたのではないかと思います。当時はアナログのカセットテープに録音するので大変だったと思いますが、そのようにしてマイクと録音機を持って外に出た人が日本中に出現したことによって、多くの珍しい音源が後世に伝わるというところもあったでしょう。恐らく素人の録った音というものは、そのほとんどは既にきちんとしたものが録られていたり、あまりに普通のものだったりして後世に残せるというところまで行なかいことが多いとは思いますが、多くの音を聞き込んだ専門家に判定してもらうことによって、道端にダイヤモンドが落ちているくらいのとんでもないお宝が混ざっているかも知れません。

さらに動画と違って、録音機の進化というのは現在でもある程度落ち着きを見せているということも、野外録音をしてみようという人にとってはいい環境であると言えるでしょう。というのも、私の手元にあるTASCAMのDR-05というICレコーダーは2011年に購入して今年で6年目というものですが、メーカーの製品ページを見るとまだ現行製品で、本体のファームアップ用のプログラムが2017年11月にも最新のものが出たりしているのです。

ですから、ステレオでの録音ができないスマホでは難しいですが、評価の安定した1万円前後のレコーダーとバイノーラル録音のできるマイクとイヤホンが一緒になったローランドのCS-10EMあたりをを合わせて使えば、だいたい2万円くらいの予算でも十分に使える機材が手に入ります。これらの機材を組み合わせると生録に興味がない人から見れば、単にミュージックプレイヤーを歩きながら聞いているようにしか見えないのが、常に自分の両耳のところにセットしたステレオマイクから入って来た音をイヤホンでモニターしながら録音することができます。しかもまさか録音しているように見られることはないはずなので、特別な機材も必要とせず、どんな所へ行ってもそこでの生活音や自然音を録ることが怪しまれずにできるということになるのです。

このように気軽に音を録ることができるようになれば、自分で自分の興味あるものの音のライブラリーが作れます。私自身も今回の放送を見させていただいて、暮れからお正月に掛けて、録音機とバイノーラルマイクをセットにして初詣にでも行ってみようかなと思いました。それだけでなく、旅行へ行った時にはスマホで撮った写真とセットになるように、音の記録を取るというのも面白そうです。興味がある方はネット上には様々なエキスパートの方々が残した情報がつまっていますので、ぜひご自身で調べてみて下さい。

(番組データ)

珍盤アワー 関根勤の聴くメンタリー BSフジ
12/15 (金) 23:00 ~ 23:55 (55分)
出演者:関根勤 清水ミチコ 井川修司(イガイガワ)
ナレーター:よしいけいこ
編成:大森慎司
企画構成:若木康輔
演出:粂田剛
プロデューサー:河野孝則

(番組内容)

「レコードといえば音楽」と思っていませんか?しかし、ビデオがまだなかった時代、音楽以外の音、効果音や肉声、ドキュメンタリーなどが録音されたレコードが存在しました。 「聴くメンタリー」とは、耳で聴くドキュメンタリー。これはテレビ史上初、音楽じゃないレコードを「聴く」番組です。 出演者にモノマネ芸人として「音」を繰り出すプロである関根勤と清水ミチコを迎え、ひたすらマニアックな迷盤・珍盤を数々のモノマネを交えいじり倒す贅沢な1時間です。 第2回目のラインナップは、赤ちゃんの泣き声やイタコの口寄せ、音の出る雑誌、砂漠を歩く音の現地録音など、1回目に輪をかけてマニアックなレコードが登場します。 また、1980年代に大旋風を巻き起こした女子プロレスタッグ「クラッシュギャルズ」の試合実況やインタビューを収めたレコードを、現在の長与千種に聞かせに行く感動のVTRも必見です! さらにベトナム戦争をテーマにした珠玉のドキュメンタリー盤では普段見ることのできない社会派の関根さんも見所です。

日本卓球躍進の影に「テレビ東京」あり

日本のスポーツ中継というものは最近特に地上波ではスポンサーの理解と視聴者が見たいと思わせる競技でないとなかなか難しいものがあります。過去にうまく行っていたのはプロ野球で、シーズンのゴールデンタイムに常にメインを占めていたのはセントラルリーグの黄金カード「読売巨人 対 ○○」の試合を中継することが、スポンサー収入および視聴率が取れる優良プログラムでありました。その後、読売巨人軍が常勝ではなくなり、他のプロスポーツも一般化することによって、見事に地上波でのプロ野球中継は衰退しました。スポーツ中継の場合は予定時間内に終わらない可能性があるので、視聴率が上がらないスポーツからBS波・ネット中継へと見る方法が移りつつあります。

それでもサッカーの代表戦やオリンピックのような大きなイベントの時には通常の放送を中止してでも魅力的な世界の技を地上波で見せるだけのテレビの度量はあると思っていたのですが、個人的に何を考えているんだろうと思ったのは、2006年に日本で行なわれたバスケットボールの世界選手権について、地上波で放送されたのは決勝戦のみで、しかも生中継ではなく深夜の中継録画だったというTBSの仕打ちです。

普通に考えれば、早めに放映権を確保した上で事前の広報番組だけでなく、漫画の「SLAM DUNK」のように今でも人気のあるバスケットボールを題材にした物語を当時の人気絶頂の若手俳優らにより実写ドラマ化して、バスケ人気を盛り上げるような事もできたのではないかと思えます。しかし、地上波が生中継をせず、当時のCS放送(スカパー)のみで全試合生放送という状況では、相当バスケに思い入れのある人しかリアルタイムで見られなかったでしょうし、当時は日本でそんな大会が行なわれていたことすらも知らない人も多かったでしょう。そうなると、そもそもなぜ日本が世界選手権を誘致したのかすらよくわからないわけで、大会が大赤字だったと言われても、それは勝手に誘致して何の宣伝もしなからだとしか言いようがありません。

こんな事がもし2019年にあるラグビーのワールドカップでも起こらないか心配になるのですが、まず気になるのがテレビ中継は局を挙げてワールドカップをサポートし、ちゃんと地上波のゴールデン帯で注目の試合をやってくれるのかということです。ラグビーの場合はバスケとは違い、日本がそれなりに世界に対して戦えるなら地上波で見る人も多いでしょうが、その他の試合について、地上波での放送がなくスカパーかDAZNのみで全試合放送なんて形で放送されてしまうのか、改めて日本のスポーツイベントに対する力の入れ方が、今後どの局が試合の放送を行なうか発表された時点で問われると言えるでしょう。せめて予選リーグから全試合を無料で見られるBSで放送することのできる系列局に放映権を獲得して欲しいものです。

特にラグビーのワールドカップについては、国土交通省を巻き込んで、すでに自動車の記念ナンバープレートを発行するほどの力の入れようではあるのですが、サッカーのワールドカップのようにあそこまで盛り上がることは難しいだろうという話もあります。これはテレビとは関係のない話になってしまいますが、少なくともその開催について赤字が出たらその赤字を税金で補填なんてことは止めてほしいと思っています。

さて、今回紹介する卓球については、政府や協会だけの主導で盛り上がったのではないということは十分言えると思います。そもそもは中国どころか韓国・北朝鮮などアジアの国々にも簡単には勝てないくらいの実力に、かつての「卓球日本」とまで呼ばれたナショナルチームが落ち込んでいたこともあり実力だけでなく人気もていめいしていました。しかし、あの「福原愛」という一人の選手がたった一人で卓球のマスコミ人気を牽引して5才のころから民放のテレビバラエティに出演することで、変化が起きました。

元々福原愛さんがテレビに出た頃には、まだ「卓球=暗い」というイメージがタモリさんの発言に多くの人が同意するような形であった頃で、逆にそうしたタモリさんのネガティブイメージが浸透していたからこそ、卓球協会は福原愛さんをはじめとする小学生以下の子でもテレビに出したということもあるかも知れません。

卓球というスポーツは実はテレビのバラエティ番組と大変相性が良く、お金を掛けてコートを作らなくても、スタジオ内に卓球台を一台運んでくるだけで試合ができるので、番組の予算もほとんどかかりません。さらに、ちょっと運動神経の有りそうなタレントさんが卓球の試合を行なったとしても、恐らく今も当時も小学生の全国レベルにはとても歯が立たないだけの技術が必要なスポーツでもあります。つまりは体力的にはとてもかなわない大人と小学生が試合をしても、少しだけ卓球をかじってそうした技術を会得しさえすれば、子供が大人をこてんぱんに負かすことのできるスポーツで、視聴者はラケットを握ったタレントが「こんな子供には負けない」と大きな口を叩けば叩くほど、その負けっぷりがバラエティの絵となり、盛り上がるというわけです。

ただ、当時の福原愛さんは背が小さすぎて台上で2バウンドするようなサーブを出すことができれば(打ち返すことができないので)簡単に素人が対戦しても得点できました。しかしそんな大人のずるさを発揮して勝とうとするような事をする人はいないだろうと思われたのですが、あえてテレビの中でそんな大人気ない事を本番でやることによって当時5才の福原愛さんを泣かせるお笑い芸人がいたのです。そのため、全国の視聴者にその負けず嫌いで泣き虫の「愛ちゃん」の姿がより強く印象付けられることになりました。

その後、愛ちゃんの成長に合わせてその芸人さんとリベンジ・マッチを行なうなどシリーズ化することによって、テレビを見たお子さんの中には「愛ちゃんみたいになりたい」ということで、卓球を始めた子も少なくなかったと思います。その中の一人こそリオデジャネイロオリンピック男子シングルスで銅メダルを獲得した水谷隼選手であったりしたのです。同じようにテレビを見ながら卓球選手を志した現在日本の卓球界を背負っている多くの選手がいたであろうことを考えると、福原愛さんとえげつない勝負を繰り広げた明石家さんまさんお得意の素人いじりが日本の卓球界をも変えてしまったとも言えるかも知れません。日本卓球協会はタモリさんやとんねるずだけではなく、ぜひ明石家さんまさんにも何らかの謝意を示すことをお勧めする所以です。

しかし、愛ちゃんが人気でもなかなか卓球という競技について、本格的に試合の中継をする民放局というものはありませんでした。毎年1月に行なわれる全日本卓球選手権はNHKが地上波とBSで生中継していますが、オリンピックはともかく、隔年で行なわれる世界選手権というのはかつて日本選手が強かった頃にはNHKが放送したことはあったものの、民放が行なうことはありませんでした。しかしそんな中、地道に中継を始めたのがテレビ東京だったのです。

ちなみに、テレビ東京が見られない地域に住んでいる私としては、肝心な生中継が見られないという現実に、過去何度も煮え湯を飲まされました。仕方がないので中国のテレビが見られるサイトを探しだして日本選手が決勝に行ければ中国選手との試合は見られましたが、当然日本選手中心のプログラムにはならないわけで、テレビ東京の卓球中継における熱意には感服しながらも、どうせならBSでも同時にやってくれと思っていたのですが、今回は世界ジュニア選手権の様子について、リアルタイムでないのは残念ですが、何とかBSで放送してくれました。以前このブログで書いた池上彰さんの選挙番組もテレビ東京の地上波とBSジャパンの同時放送が実現していますので、この調子で次回の世界選手権も地上波との同時中継を行なってほしいです。

今回の放送では女子シングルス準決勝での加藤美優選手の活躍と、男子の団体決勝の様子を見ましたが、どちらも中国に敗れてしまい、改めて中国との力の差を感じることになりました。特に男子団体を見てびっくりしたのが、団体シングルスに出てきた中国人選手3人のうち2人が、日本には一人もいない中国式ではありますがペンホルダーのグリップを使っている選手だったということです。

今や世界の卓球界は超攻撃的な戦術になっていまして、昔にはちらほらいて世界選手権で活躍した選手も出た守備型の「カットマン」とともに絶滅危惧種な戦型がペンを握るようにラケットを持つ「ペンホルダーラケット」を使う選手です。

中国の卓球は日本の影響からか昔からペンホルダーが主流でしたが、そんな中でヨーロッパの進化したシェイクハンド(テニスのように持つグリップ)の攻撃型選手に対抗するために、中国ではそれまでの片側のラバーだけで左右のボールを打つ(右利きの場合左側に来たボールはブロックが主で、当時の日本でも同じように片側だけにラバーを貼って試合していました)というやり方を改め、ペンホルダーでも両面にラバーを貼って両面打ちをする技術に進化させたことにより、常にナショナルチームでもペンホルダーの選手はいますが、今は日本を含む他のアジア地域でもほとんどがシェイクハンドグリップが幅を利かせています。

かつてはアジアの選手が多く採用していたペンホルダーが、かつてヨーロッパで主流のシェイクハンドグリップにとって変わられたというのは、合理的な理由はあるものの、今後を考えると日本のチームがどう中国に対抗していくかということで、改めてペンホルダーを使った選手の育成についても考えて欲しいのです。

というのも、両面を使って打つシェイクグリップが今の日本の卓球では主流で、トップ選手にペンホルダーグリップを採用している選手がいないので、もし今回男子団体で優勝したメンバーがそのまま世界のシニア大会でも活躍するようになったら、彼らへの対策ができなくなるということです。日本でペンホルダーがすたれたのは、昔には右利きの場合体の右側で打つ「フォア」の威力は素晴らしいもの、反対の「バック」側が弱いということで集中して狙われると、特にシェイクハンドのバック対バックの打ち合いになった場合どうしても劣勢になってしまうということがあります。

しかし、今回見た中国のペンホルダーの選手は裏面にもラバーを貼って台上のボールをこすり上げるようにして回転を掛け強烈に打ち込む「チキータ」をシェイクと同じように自分のものにしています。そうなると、バックでもそこそこの対応が可能で、「フォア」対「フォア」での打ち合いならペンホルダーの方がボールに力を乗せやすく、打ち合いの中で圧倒できます。さらに台上でのボールの扱い方はペンの方がやりやすいということから、今回の日本との試合でも常に先手を取って攻撃をしているという印象がありました。

現代の卓球が超攻撃的卓球であることは紹介しましたが、昔は台上のボールをこすり上げて打つチキータの技術だけで相手を打ち抜くことができましたが、今はあえて相手にチキータで打たせて返ってきたボールをさらに強打するような戦法も見られるようになりました。それと同時に増々重要になるのがボールを台上で短く簡単に打てないような場所に返す技術であり、チキータで強打する事が難しいほどの短いボールを叩くように強打したり、払うようにして打つフリックという技術になるでしょう。これらの台上での技術について、ペンホルダーとシェイクハンドのどちらが上手にできるかという事で、現在の中国のナショナルチームが出した答えが中国式ペンホルダーを使いこなす選手もシェイク選手とともに育成し、その結果として主戦の2人がペンホルダーということになったと思われます。

となると、中国のペンホルダー選手に勝つためには、日本でもそうした戦術を使いこなせるペンホルダーの選手養成が必要になるのではないかと思うのですが。現実的には近づいた東京オリンピックに備え、中国式のペンホルダーを使いこなす仮想中国のコピー選手としてペンホルダー選手を育成するということも必要になるのではないでしょうか。すでに中国では日本人の選手を自国リーグに参加させないなど、日本選手に中国対策をさせずに中国が金メダルを取るための道筋を作りつつあります。

今回の男子団体戦でも中国のペンホルダー選手に手も足も出ずに負けてしまったことを考えると、日本としても中国のコピー選手を育成する中で世界で戦えるペンホルダーの強豪を作って欲しいですし、日本のペンホルダーの強さというのを改めて世界に向けて発信していってくれれば見ている卓球ファンの多くは溜飲が下がるのではないかと思えるのですが。

(番組データ)

卓球世界ジュニア選手権 BSジャパン
2017/12/10 13:30 ~ 2017/12/10 16:00 (150分)
MC 中川聡(テレビ東京アナウンサー)
解説 福澤朗 三原孝博(日本ペイントホールディングス女子卓球部監督/元日本代表コーチ)

(番組内容)

18歳以下の世界一を決める戦い!世界ジュニア選手権!昨年、団体戦で男女W優勝を飾るなど歴史的な活躍を見せた卓球NIPPON!果たして連覇なるか!?
【大会日程】 2017年11月26日(日)~12月3日(日)
【開催場所】 イタリア リヴァ・デル・ガルダ
【種目】 男女団体戦、男女シングルス、男女ダブルス、ミックスダブルス
昨年大会で日本は団体戦男女W優勝、さらに張本智和が史上最年少で男子シングルスを制するなど、若い世代でも世界で戦える強さを存分に見せつけた。特に張本はこの後、世界卓球やワールドツアーなどシニアの戦いで大活躍。世界ジュニアが飛躍への足掛かりとなった。いわばこの大会は世界的スターへの登竜門。若き新星が続々と誕生している卓球ニッポン、果たしてこの大会から次なるスター候補は現れるのか!?

見ながら身につまされる番組もたまには良い

実のところ片付けが苦手な私なのですが、一時期には部屋がゴミ屋敷まっしぐらだった状態を何とか脱して今ではやみくもに物を買ったり、しばらくすると確実にごみになるパンフレット類をもらってこなくなったことで、一応小康状態を保っています。しかし、今まで溜め込んだ物について、多少は処分したもののまだ無駄に物をかかえている状況に変わりはありません。

そんな私にとって、物を溜め込んでとんでもない事になっている3家族が、いかにして断捨離を実行し、物を捨てていくのかという番組のコンセプトには興味がありました。多くの人達がそうだと思いますが、片付けの重要性をわかっていても、日々の忙しさにかまけて十分に片付ける時間があるにも関わらず、私の場合はテレビを見ながらその内容をパソコン上でメモしながらブログネタを書いているうちに時間はあっという間に経ってしまうのです。

そもそも、物が捨てられないと悩んで、この番組に連絡した人たちが番組に登場しているわけで、まず大事なのは、今の生活を変えなければという意識をどう変えるかということが大切だとしみじみ思いました。そうして番組に登場した三家族は自らの問題点を挙げることができた時点で、問題の多くは解決に向かって動き出していたとも言えるでしょう。

ただし、家族の中に問題意識を持つ人がいても、全ての家族の意志が統一されているわけではありません。2番目に出てきたひたすらふなっしーとリラックマを二人の娘に買い与え、さらに自分の服や趣味の物をひたすら買い込んで溜め込むご主人は本当にいい味を出していました。番組に出て断捨離をしたいと考えた奥さんはご主人の行動が悩みのタネで、当初あまりにご主人の理解がなく、遂には本気の夫婦喧嘩をカメラを前にしてやってしまう始末でした。

ただ、本当に離婚の危機まで行かなかった理由というものが断捨離を提唱するやましたひでこ氏のアドバイスの中にあって、ご家族と生活している中で断捨離を実行しようと思っている方には参考になるのではと思います。というのも、親が子供の物を勝手に捨てたり、奥さんがご主人のものを捨てたり(逆も当然あります)するというのは断捨離のルール違反で、あくまで自分の持ち物だけを出したり捨てたりして、他人の物には手を付けず、自分の物は自分で考えた上で捨てるか残すかの判断をさせるのが基本なのだそうです。

このままでこの家族はどうなるのかと心配しながら見ていたのですが、時間を掛けながらも最初は全く言う事を聞かなかったご主人も、自分以外の家族の物がどんどん片付くのを見ている中で、ペースは遅いものの徐々に物が少なくなっていきました。

もうひとつ、断捨離を行なう場合のルールとして、ある程度空間に余裕ができるまでは、いらないものは全て捨てるようにし、時間も手間もかかる「売る」という行為に走らないというこのをやましたさんはおっしゃっていました。

いわゆるコレクションをする方の中には自分が高いお金を出して買ったものだからと、衣類を含めて今は中古ショップで買い取ってくれるものなら売りたいという気持ちはわかります。しかし、自分が中古品を買う時の事を考えた場合、やはりホコリの付いたまま売りに行くなんてのはできないので売る前の多少のメンテナンスをする時間が必要になり、それが空間をすぐに空けたい時間を阻害することになるのだそうです。

そして、よほどのブランド品や人気の品であればわかりませんが、普通の中古品はメンテナンスをしたところで「一山いくら」の世界である可能性が強く、お店まで行くための車のガソリン代にもならないかも知れません。そう考えると、そのままゴミとして何のメンテナンスもせずに出してしまった方が家計的にもお得になると考え方の転換をした方がいいのではとも思えてきます。

確かに家にある「いつかは使うだろう」と思って買ったものの中には、一度も使わないでホコリを被っていたり、ダブって存在するものもたくさんあるので、自宅でも使わないものは処分するということと、新しく気に入ったものについても何か買ったら何か処分するとかを考えて買わないと駄目だろうと思います。

そうした考えを突き詰めすぎるとまた問題が出るかも知れませんが、そもそも人間はそんなに広くない所であっても雨風をしのいで寝られる場所さえあれば生活はできますので、例えばキャンピングカーの中に収納できるものだけを残して、いざとなれば移動しながら生活することもできるくらいになれれば、それはそれなりに人生は楽しく過ごせるのではないかとすら思えるようになってしまいました。この番組はそう考えると実に深く「断捨離」という事について考えさせてくれる番組であり、次回の放送がもしあるようなら、その時には多少でも自分の部屋についてもいらないものは捨てるようにしておきたいなと思わせてくれた大変いい番組だったと思います。マンネリ気味の地上波のバラエティを避けてこちらを見て得るものは大きかったと感じています。

(番組データ)

ウチ、“断捨離”しました!第2弾~捨てられない3家族 片づけ密着ドキュメント~ BS朝日
12/7 (木) 21:00 ~ 22:54 (114分)
【出演】やましたひでこ(断捨離 代表/クラター・コンサルタント)
【ナレーター】平泉成

(番組内容)

今年6月に放送して大好評だった「ウチ、断捨離しました!」第2弾!不要なモノを減らし、生活に調和をもたらすことを目指す「断捨離」を提唱するクラター・コンサルタントのやましたひでこのアドバイスのもと、片付けに悩む3家族が整理整頓に挑む様子を追ったドキュメンタリー。年齢を重ねるに連れて増えていく、「思い出の品」や「捨てられないモノ」を片付けることで、自分が本当に望むものを見つめなおす。

今回挑戦するのは…「あわや離婚!?もったいない!収集癖の夫で占領される家」「共働き・子供4人・祖父母同居 時間とモノがカオスな家」「女三世代受け継がれた婚礼布団に悩む家」の3家族。片付けることを通じて、家族の悩みと向き合う。

NHKは喜劇そのものを作るより「喜劇講座」を放送した方が良い理由

「たけしのこれがホントのニッポン芸能史」というシリーズも今回12回目になりました。中には、あんまり知識のない内容についても無理にビートたけしさんに語らせているような回もあり、あえて「たけしの」と番組名を付けてしまったスタッフの苦心する様が垣間見えた事もありましたが、今回の題材は「喜劇」という事で、ビートたけしさんやゲスト出演した伊東四朗さんの言葉はすっと入ってきました。

ただ、当のNHKの流すテレビの喜劇というのは最後の最後にビートたけしさんが語ったように、NHKの流す現代の喜劇はつまらないという言葉の通りなのではないかと思います。

民放では「吉本新喜劇」を除けば、もはやお芝居として喜劇役者を出すなんてことは、民放のドラマ自体でお金を掛けたキャスティングが予算の都合で出来ず、さらにセットや道具などで現代劇よりお金のかかる時代劇をなくし、ついには2時間サスペンスも消そうとしているのではないかと思われる番組編成を一部でしていることからもわかるように、まずそんな事はできないでしょう。テレビ放送のためにセットを一回の芝居のために作るお金も勿体無いと思っているのかどうか知りませんが、昔のドリフターズのような番組というのも今は作れなくなっているのではないかと思われます。

ただ、その点NHKには潤沢な受信料による資金があるので、民放では一時とだえてしまった時代劇も大河ドラマだけでなく「金曜時代劇」という枠もあり、最近になってBSジャパンの時代小説のドラマ化やBSTBSで水戸黄門が始まるまでは唯一時代劇をレギュラーで作り続けていて、その余波で最近はコント番組にも手を付けていて、現代のテレビコント消滅の危機を時代劇と同じように巣食っているようにも見えます。しかしビートたけしさんがNHKの喜劇がつまらないとおっしゃる意味を考えてみると、出ている人がみんな民放に出ている時とは違い優等生になってしまったり、出る人が優等生らしくふるまうように場の雰囲気を作ってしまうからなのではないかと思ったりします。

この事を考える時に、かなりはっきりと覚えている事をここで披露したいと思うのですが、当時大人気の間寛平さんが十二単を着て顔は白塗りにして登場する「引きずり女」というキャラクターがあって民放では大ウケだったということで、その年のNHK紅白歌合戦の幕間で登場したのです。しかし、それまでの厳かな雰囲気の中で登場したためなのか、とにかくその場の雰囲気に馴染めなかったというか登場した時点でお客さんが引いてしまい「引きずり女は……客が引く」と小さい声を絞り出して舞台から去っていったのです(^^;)。やはり何の説明もなく引きずり女の格好をして紅白の舞台に出るというのはやってはいけなかったのでは? とその当時は思うとともに、こういうギャグが受けないから当時のNHKではコント番組で大爆笑できないんだと思ったことを思い出します。それが私自身の今にまで続くNHKとコント番組のイメージとなってしまっています。

そういう意味では、NHKがバラエティというよりも真面目に「喜劇」の事を勉強するというようなスタンスで紹介するこの番組の事については、逆に違和感なくさまざまな喜劇についての人物や歴史を教えてくれたのでためになったように思います(^^)。優等生には優等生らしくきちんとした講座でさまざまな芸能史をひもとく企画というものにも個人的には期待しているのですが。

あと、もう一つ番組を見ていて気になったのが、伊東四朗さんが最後に言っていた「今の若手は(ネタ元を知らないので)パロディができない」という事でした。これについて、実は逆にフジテレビの人気番組「さんまのお笑い向上委員会」に謹慎明けの漫才コンビの片方であるアンタッチャブルの柴田英嗣さんが出ていじられた時、その事を強く感じました。

というのも、最初に何とか横山やすしさんの「メガネメガネ」と落としたメガネを探すギャグを振られて何とか受けたものの、その次に彼のメガネ姿をいじろうとFUJIWARAの藤本敏史さんから出た「三木のり平」さんの名を出されても柴田さんはその事がわからず、

・「ねぼすけに、はじめ優しい、ママの声」
・「午前様、角と一緒に、茶漬け出し」
・「長電話、聞こえるように、邪魔をする」

と藤本さんに振られても「ごはんですよ」と、長年三木のり平さんのアニメで、のり平さん亡き後も息子の小林のり一さんが声の出演をしていた桃屋のテレビCMの返しをすることができなかったのです。

柴田英嗣さんは1975年生まれで、藤本敏史さんは1970年生まれということで5年の開きがあります。ちなみに上記の川柳がちりばめられた桃屋の「ごはんですよ」のコマーシャルはネット調べでは1981年放送ということなので、柴田さん6才、藤本さん11才ということで、それなら柴田さんはのり平さんの出た久世光彦さん演出のホームドラマ「あとは寝るだけ」(テレビ朝日 1983年)なんかも知らないんだなあとしみじみと時代の流れを感じてしまいました。

現在20代から30代くらいの若手のお笑い芸人とのジェネレーションギャップはあるかも知れませんが、すでに40を越えている中堅どころのお笑い芸人さんにも三木のり平さんの事を全く知らない人がいるというのは、別に柴田さんを個人的に突っかかっているというわけでなく、単純に伊東四朗さんの嘆きは相当深刻なものであることを今回改めて確認してしまいました。

これからテレビに出てくるお笑い芸人の予備軍の方は、自分から言う必要はないにしても、一通りは芸人の先輩や長老の方から急に昔の事を振られても、振られた「元ネタ」に関して何とか自分の知識の中で返せるだけのスキルを付けていかないと、テレビの笑いというのは瞬発力こそが大事なので、立ち往生になってしまえば次からは呼ばれなくなるかも知れません。また、色んな事を知った上でテレビを見ている人から「あの人はこんな事も知らないんだ」という色メガネを付けて見られてしまう可能性があることを理解しておいた方がいいのではないかとも思います。

(番組データ)

たけしのこれがホントのニッポン芸能史(12)「喜劇」NHK BSプレミアム
12/2 (土) 19:30 ~ 21:00
【出演】ビートたけし,所ジョージ,伊東四朗,ムロツヨシ,遼河はるひ,荒俣宏,
【アナウンサー】黒崎めぐみ

(番組内容)

芸歴60年喜劇界のレジェンド伊東四朗がたけしと語り合う名優たちの伝説!▽初共演、ムロツヨシがたけし・所に体当たり!▽動くエノケン・ロッパ?貴重な映像を大公開!▽希代の喜劇王・三木のり平の魅力を中村メイコが語る▽驚異のリハーサル日数!?吉本新喜劇の舞台裏に密着!不動の人気を誇る関西の笑いの秘密をすっちーと池乃めだかが語った!▽実験!80年前の喜劇を東京03が現代に再現!?▽たけしが語る喜劇とは?

音声だけでも十分に面白い素材を発掘できるか? 「聴くメンタリー」

地上波とは違うBS波での新たな挑戦として、BSフジが出す新たな企画には単なる旅番組やドラマの再放送にはない面白さがあるので、興味深く見守っていきたいと思っています。今回は新番組としてシリーズ化を狙っているのかも知れない「珍盤アワー」という、何やらテレビ朝日の「タモリ倶楽部」のコーナー、「空耳アワー」のような感じの名前の番組が始まりましたので見てみました。

のっけから出演者のタレント頼みのような感じではありますが、MCをイワイガワの井川さんがやってレコードの説明などを行ない、関根勤さんと清水ミチコさんがそれに対しておしゃべりをするというかなりぬるい番組で、スタジオ内にいる全員の事を良く知っている人であれば、テレビでなくラジオの番組としてあってもおかしくはありません。

ただ、テレビでこういった企画をやるというのは、実際のレコードジャケットや中の解説がどんなもので、画像のない音だけという中でレコードを聴く人ができるだけ具体的にイメージが湧くようなものを作っていたのかを見せるには大事な事ではなかったかと思います。番組内でF1の日本グランプリが富士スピードウェイで行なわれていた時の実況録音盤を紹介していましたが、コースの一覧及び、どこにどういった機材をセットして録ったのか、さらに機材の名前までクレジットしているということは、やはり現物を見てこそ実感できるものですし、実際に持っていたという人にとっては懐かしさいっぱいのものですので、しっかり紹介することは必要でしょう。この辺は、最近のBSフジの傾向である、簡単に若者におもねったりせず、中高年で昔を懐かしむような人向けのコンセプトをキープしていることがわかります。

ただ、番組はそれだけではなく、この番組で紹介する「音によるドキュメンタリー」を「聴くメンタリー」と称し、まだ家庭用の動画撮影機材としては8ミリフィルムしかなく、カセットデンスケを担いで集音マイクをセットしてあらゆる生活音を「生録」して悦に入っていた生録マニアがいた時代、何とかして音で時代の雰囲気を残そうと努力しようとした人々の悪戦苦闘した結果としての作品をピックアップするというようなコンセプトがあるようです。

しかし、ネットではスマホで動画を撮ってアップして共有するのが当り前の時代にあって、音楽でもない音だけを楽しむのは時代遅れではないか? と思われる人もいるかも知れませんが、実は案外そうでないところもあるのです。

最近はある意味では動画はあえて撮影せず、スマホやICレコーダーを隠し持つことで決定的な瞬間を狙う「隠し録り」をする人も出てきています。例えばそれは、正々堂々とカメラを向けたらその人は自分の正体を隠してしまい、決定的な証拠となる暴言を吐いてはくれないということがあるからだと言えるでしょう。2017年に多くの人に強い印象を残したテレビワイドショーの題材の一つは、画面ではICレコーダーを映しただけの豊田真由子・前衆議院議員の肉声でした。私たちは実のところ、動く豊田前議員の姿は見ていたものの「このハゲー!」や「違うだろ違うだろ」や、ミュージカル調でネチネチと秘書を追い詰める姿については一切見ていないのに、あの音声だけで想像の翼を働かしてご本人が再起不能になるくらいの強い印象を受けてしまったわけで、現在の世の中であっても今後この番組で紹介されるような変な音のレコードのような企画が受ける可能性を持っていると思います。

ただし、この番組が化けるかどうかというのはまた別の問題で、やはり一番大事なのはテレビ受けする素材をどこまでテレビで紹介できるのかということと、この番組の主題はあくまでレコードの音源であるので、むだなおしゃべりを中心にしないで、素材の面白さをじっくりと聴かせていただけるかが鍵になるような気がします。

この時間には地上波のフジテレビでは人気番組の「全力!脱力タイムズ」とかぶってしまうので同時視聴はきびしいとは思いますが、こちらは一時間番組なので、裏番組録画をして追っかけ再生をするようにすれば、ほぼリアルタイムで2番組を続けて見られます。ただ、面白そうな音源を少ししか掛けず、つまらないおしゃべりが主になってしまうようなら、個人的には早めの離脱も仕方ないかなと思っていますので、今後に期待というところでしょうか。

(番組データ)

[新]珍盤アワー 関根勤の聴くメンタリー BSフジ
12/1 (金) 23:00 ~ 23:55
出演者:関根勤 清水ミチコ 井川修司(イワイガワ)
ナレーター:よしいけいこ
編成:大森慎司
企画構成:若木康輔
演出:粂田剛
プロデューサー:河野孝則

(番組内容)

「レコードといえば音楽」と思っていませんか? しかし、ビデオがまだなかった時代、音楽以外の音、効果音や肉声、ドキュメンタリーなどが録音されたレコードが存在しました。「聴くメンタリー」とは、耳で聴くドキュメンタリー。これはテレビ史上初、音楽じゃないレコードを「聴く」番組です。出演者にモノマネ芸人として「音」を繰り出すプロである関根勤と清水ミチコを迎え、ひたすらマニアックな迷盤・珍盤を数々のモノマネを交えいじり倒す贅沢な1時間です。

第1回目は、ドドンと豪華に6枚のレコードを紹介します。日本初のF1グランプリの爆音が収められたレコードはなぜ・どのように作られたのか?当時の録音技師を尋ね直撃取材するなどVTRも充実。日本の名鐘を集めた重厚なレコード「梵鐘」に収められる、今では聴くことのできない名寺の鐘を聞き比べは必聴! さらに7連覇達成当時の読売巨人軍の王や長嶋のプライベートのひとコマを録音したレコードから、蓄音機を発明したエジソンの肉声の演説や、「ヒトのいびき」を集めた変り種のレコードまで、懐かしさと真新しさが同時におしよせるレコードの数々を大放出します。

若年層を切り捨てるとこれだけ面白い!? 11時間生放送の脳トレ生合戦

BSフジの平日夜に連日放送されている「クイズ!脳ベルSHOW」から派生して、11月11日に11時間通しての生放送をしてしまおうという相当思い切った企画に、つい最初から見続けてしまいました。基本的には出演者も演出の手法も昭和の香りが満載ということで、完全に若者の視聴者を置き去りにしているような感じなのですが、特番になったことで更にびっくりするようなゲストがやってきたりして、これはかなり番組として化けたのではないかと思われます。

通常の番組ではどちらかというと脳トレという本来の目的や解答者の珍回答にスポットが当たったりすると思いますが、今回はとにかく豪華な昭和時代に活躍したゲストの面白さが抜群でした。優勝賞品や視聴者プレゼントのしょぼさは民放BSらしさを感じますが、それが番組自体の面白さのスパイスにもつながっているようにも思えました。

何しろ11時間も続く番組だったのでみどころも多すぎでここではとても書き切れないのですが、ゲスト関連で言うとアダモステの格好でスタジオに乱入した島崎俊郎さんが昭和のノリそのままでなかなかスタジオからはけようとしなかったぐだぐだな状況をそのまま垂れ流したというのも冒険のできるBSの番組ならではのことでしょう。また、クイズとクイズの間の箸休めに登場したケーシー高峰さんの生エロ漫談は見ていてハラハラした方もいたのではないでしょうか。

レギュラー番組のコーナー「クイズ脳ベルダービー」の回答者は江藤博利さん、小金沢昇司さんに何とJAGUARさん(千葉のローカルタレントで最近では日本テレビ「月曜から夜ふかし」にも出演)がそろって、あの「からくりTV」の「ご長寿早押しクイズ」を髣髴とさせるようなクイズバトルを編集なしの生放送で行なったのですが、編集が無くてもそれなりにボケ回答連発で、見ていて大笑いするものに仕上がったのは単なる怪我の功名だったのか計算されていたのかわかりませんが、このコーナーは都合3回行なわれ、生放送の緊張感が消えるにしたがって面白くなっていったように思います。

そして、ゲスト出演の企画で最高だったのが特設リングに机とヘルメット、ピコピコハンマーを置いてプロレスラーの武藤敬司さんと長州力さんにプロレスではなく「叩いてかぶってじゃんけんぽん」を真面目にやらせたものでした。勝負自体は長州力さんのじゃんけんが弱かったためあっという間に武藤敬司さんが勝利してしまったのですが、そこに至る経緯のうち、長州力さんの発つ言葉と存在感が最高だったので大いに笑えるものになっていたのです。最初の武藤敬司さんとの試合があまりに面白かったため、本当は数時間後に行なわれたメインイベントとして番組スタッフが考えていただろうと思われる、「長州力対藤波辰爾」の戦いは対武藤戦とは違う対決方法にする予定だったのが、現場判断で同じ「叩いてかぶってじゃんけんぽん」の試合になってしまったのにも笑いました。

藤浪さんとの勝負も最初は長州さんがじゃんけんで負けてそのまま一本取られて(二本先取で勝ち)、このまま終ってしまうかに思えましたが、途中から獣神サンダー・ライガーさんのじゃんけんアドバイスの耳うちのおかげでまさかの藤浪さんに逆転勝ちし、そのまま終わるかと思ったらそうではなく、一人で熱くなっている長州力さんが武藤敬司さんにリベンジマッチを申し込み、これも獣神サンダー・ライガーさんのじゃんけんアドバイスによってじゃんけんに勝った勢いで見事リベンジを果たしたのでした(^^)。

もしかしたら武藤敬司さんが手加減されたのかも知れませんが、このまま負け犬となって終わる長州力さんの姿は見たくなかったので、この結果は良かったと心から思いましたし、生放送の中で丸く収まるという奇跡的なパターンになったのは心底ほっとしました。流血などは当然ありませんでしたが、古き良き昭和のプロレスの抗争をやんわりとユーモアを付け足して表現したということでも、11時間の番組の中でも一番のハイライトであったと思います。あんな面白さはとても地上波のバラエティでは出せないとも思えましたし、あの一連の流れを生で見られただけでもこの番組を見た意味があったのではないかとすら思っています。

元々、この番組は中高年の脳トレ用のクイズの拡大版ということで、対象とする視聴者は少なくとも回答者として出ているタレントに合わせるような感じとして40代以上を想定しているようで、さらに出演者の中には高齢の方もいるので、普通に振る舞っているだけでも突っ込みどころ満載な状況というのがそこかしこにあり、それがまた作られたものではないおかしさを誘ったりしていました。

全体的には出演者にやさしく、さらに出演者がなかなか正解を出さないので、ゆっくり正解まで考えることがでるようになっています。そこにあるのは、昭和の時代を生きてきた中高年を主な対象にして全ての世代におもねらない番組制作の姿勢であったのではないかと思います。

実際のところ、この番組が対象としていない年代にはどう映ったのかはわかりませんが、地上波と同じことをやるよりも11時間という長丁場でもそれほど変わったことはせずに、さらに司会の岡田圭右さんの適度な出演者いじりが面白さを倍増させ、実際は年代を問わず多くの人が笑える番組になっていたのではないでしょうか。

本家フジテレビは視聴率が低迷したり、とんねるずの番組の件で社長が謝罪にまで追い込まれたり、あまりいい話は聞きませんが、お金をかけなくてもこれだけの面白い番組が作れるわけですから、今後のBSの番組についても考えていただきたいところです。深夜に安易に通販番組を突っ込むのではなくてもっともっと実験的な番組を地上波でなくBSで試してみるというような事を真面目に行っていくことによって、その才能が今度はBSだけの面白さではなく、地上波でも通じる面白さを持った番組を作ることのできるように成長していくのではないでしょうか。単に、BSで受けたからその企画を地上波に持って行くのではなく、まずはBSで見るから面白いという番組を多く作っていって欲しいと正直なところ感じます。

(番組データ)

BSフジ11時間テレビ 全国対抗!脳トレ生合戦!! BSフジ
11/11 (土) 11:00 ~ 22:00
MC:岡田圭右(ますだおかだ)
アシスタント:川野良子(フジテレビアナウンサー)福井謙二アナウンサー
ゲスト:あいざき進也/相本久美子/赤座美代子/麻丘めぐみ/石橋正次/氏神一番/海原はるか・かなた/江藤博利/大川栄策/大木凡人/大沢逸美/おぼん・こぼん/風見しんご/葛城ユキ/カルーセル麻紀/川上麻衣子/神奈月/北原ミレイ/ケーシー高峰/小金沢昇司/小桜京子/コント山口君と竹田君/桜木健一/シェリ ー/島崎俊郎/嶋大輔/JAGUAR/獣神サンダー・ライガー/鈴木正幸/瀬戸内美八/多岐川裕美/谷隼人/仲八郎/ナポレオンズ/板東英二/ピーター/ビートきよし/細川ふみえ/堀ちえみ/堀江淳/松崎しげる/マッハ文朱/松村雄基/マリアン/真理アンヌ/村野武範/森口博子/山本晋也/ゆーとぴあ/芳本美代子/若林豪/若原瞳(50音順)             スペシャル(秘)ゲストがぞくぞく登場!

(番組内容)

とうとうやってまいりました! 11月11日11時間の生放送!! 『BSフジ11時間テレビ 全国対抗!脳トレ生合戦!!』 月曜~金曜の22時から放送中の「クイズ!脳ベルSHOW」をベースに演芸、歌謡コーナーなどなど、おなじみの脳活化クイズだけでなく笑いや歌でも脳を活性化しちゃう11時間となっております! 出演者は47都道府県・6ブロックを代表する有名人の皆様! トーナメント方式で優勝を競います!