芸人人生「急がば回れ」の平畠啓史さんの立ち位置

最初に、今回語らせていただきたい平畠啓史さんの話をする前に、DonDokoDonというコンビでかつて平畠啓史さんとコンビでテレビに出ていた山口智充さんの話をさせていただきます。彼の姿がかつてほどテレビで見られなくなって久しいというのが実に寂しくもあります。というのも、この文章を書いている私が静岡在住ということで、まだ山口さんが全国的な人気になる前にコンビで出演されていた静岡限定のローカル番組、静岡県にある飲食店を紹介する番組「くさデカ」(フジテレビ系列のテレビ静岡の番組)を見るだけでなく、出掛けた先でロケーションを行なっていて、得意のギターで即興でお店を紹介する歌を歌っているのを見たことがあったからです。山口さんのそのスター性というかかなり脂ぎったパワーに圧倒されているうちに全国ネットの番組に出演するようになったという感じでした。

山口さんはものまねがうまく歌もお上手で、メインのMCとしてもきっちりとやるだけの技量を持ったタレントとしてある意味「天下を取った」のではないか? と思われるほどテレビで見ない日はなかったのですが、なぜか最近になってめっきりテレビで見る機会がなくなってしまったような気がします。

逆に山口さんが全国ネットで活躍すればするほどその地味な存在感でいじられてきたのがDonDokoDonというコンビで相方だった平畠啓史さんのことです。山口さんが静岡の番組を卒業し、東京へ出て行った後にも、同じ静岡の番組に出続けて地味な食レポを続けていたのが平畠さんで、グイグイ前に出ていく感じの山口さんとは違って、マイペースで食レポを続ける平畠さんはテレビを見ている静岡県の方々の気質に合ったのか、県内でロケをしていれば地元の方に暖かく迎えられ、山口さんが抜けたあとも番組をクビになることなく現在も番組の出演者として過去と変わらぬ食リポを毎週見せてくれています。

かつて、テレビ朝日系の「アメトーーク!」で平畠さんを始めとする「地方の有名タレント」という形で紹介された時に、全国でほとんど無名であったにも関わらず、静岡県民にインタビューをしたところ、彼の名前を知らない人がいないほどの有名タレントとして認知されていることに東京で活躍されている他の出演者達はひどく驚くとともに、格好のいじりネタになったのですが、たまたま呼ばれただけかも知れない静岡でタレント活動をすることによってタレント活動に新たな展開を見せることになります。

というのも、静岡県というのは現状でこそ代表選手がいなくなってしまい、高校選手権でもなかなか全国で勝てなくなってしまった感じはありますが、小学生からJリーグまでを見まくるサッカーのファンがいる地域でもあります。平畠さんは実は高校生の時にサッカー部のキャプテンとしてインターハイの出場を果たしているほどサッカーがうまく、サッカーという競技に造詣が深い方でもあります。そうしたサッカー愛が講じて、いわゆるトップリーグのJ1だけでなく下部リーグのJ2やJ3のカテゴリーの試合でもプライベートで見に行くほどのサッカーフリークという一面もあるのです。

サッカーに関する静岡県内での仕事はそれなりに存在し、最近でも静岡朝日テレビの「ピエール瀧のしょんないTV」でサッカーの話題になるとキャスティングされるなど、彼のサッカー通というところは多くの人に静岡県では認知されています。地方だけでなく、サッカーに関するお仕事は今回の番組を放送しているスカパーでの仕事も多いのですが、Jリーグの試合がネット配信のDAZNで行なわれるようになると、中継に人員を割くことが難しいJ3での試合の実況をも平畠さんお一人で行なわれることもあります。その記念すべき一試合目が、静岡県藤枝市を本拠地とする藤枝MYFCの試合でした。

今回の番組は普段スカパーに加入していないので(^^;)初めて見ましたが、「くさデカ」での定番食レポのコメントは封印して、Jリーグのホームタウンの一つである神戸周辺のグルメレポートと観光スポット紹介を挟みながら、主に全国のサポーターが試合を見に行く際のいいレポートとして番組は機能しているように感じました。選手とのインタビューでは、多くのJリーグの試合を生で見ているという面からの質問が出てくるわけですし、選手の方もそれほど硬くならずに本音を吐き出しているようで、今回は鳴り物入りで神戸に入団したイニエスタの話題で相当盛り上がっていたように感じています。

テレビの世界で生き残るためには、「いかにして人より前に出るか」という相方の山口さんのような姿勢の方が大切だろうと思うのですが、今回の番組を見ていて思ったのですが、見ていて全く構えることがなく、その中にも神戸のスポット情報やサッカー情報が散りばめられていてこれはこれで芸人さんとしてありなのではないかと思えます。平畠さんの他にも、恐らく数多くの「サッカー芸人」と呼ばれる人がいるとは思いますが、現在もずっと日本のプロリーグを会場まで行き生で見ている平畠さんが言うことと、テレビでしか見ない人の言うことは説得力も違い、早くからサッカーと芸能活動を結ぶことを実行してこられた平畠さんの立場にとって代わる人というのは出てこないだろうと改めて番組を見て思いました。

テレビの世界というのは難しいもので、いくら才能のある芸人の方でも、全て才能だけでトップを取れるかというとそういうことでもなく、ちょっとした力関係のきっかけでテレビに出る機会を失なってしまって、その間に自分に変わる新たな人にとって代わられてしまう恐怖というものがいつも付きまといます。そうしたとって代わられる恐れというのは少なくとも平畠さんには当てはまらないのではないでしょうか。

最近の人気芸人について言えば、ガツガツとした感じで目立つことが売れる近道だというような感じでテレビに出演している方がほとんどかとは思うのですが、それがテレビで活躍する方法の全てではないということがわかっていただけるのではないかと思います。平畠啓史さんのように、自分の得意な専門知識をテレビを見ている人に優しく伝えるような才能を持っている人であれば、継続してのご活躍が見込めるという先例になったような感じがします。

(番組データ)

平ちゃんの「ほな行こか。」#19 ~神戸篇~ スカサカ!(Ch.580)
11/3 (土) 12:00 ~ 13:00 (60分)
▼出演者 ・平畠啓史 ・林智美

(番組内容)

今回は神戸をぶらり旅!郷家友太選手・藤谷壮選手のロングインタビューもお楽しみに!

Jリーグのホームタウンを平ちゃん独自の目線で紹介します!選手・監督のインタビューはもちろん、地元の人だけのディープゾーンまで、知られざるJタウンの必見スポットを駆け巡るスカパー! オリジナルプログラム、アウェイゲームに行きたくなる“ぶらり旅”の第19回目は神戸を特集します。

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