無意識に地方軽視の姿勢を露呈させたJOBK

現在の日本では、本当に払う根拠があるのかという考えを持つ人もいますが、それほどの例外はなく、国内にテレビ受信機とアンテナを設置しただけでNHKの受信料を払っています。さらにその額というのは北海道から沖縄まで一律になっています。

この事について何の疑問も持たないのは生まれてからずっと全ての民放キー局を受信して見る事ができる地域に住んでいるからこそのものでしょう。しかし、例えばスポーツ中継などで、

「この後も、一部の地域をのぞいて中継をお送りします」

とアナウンスされることがあり、自分の地域がその「一部の地域」であることを自覚している人からすると、なぜ自分の地域だけがと思って悲しくなってしまうのではないでしょうか。NHKの受信料は民放も含めて払っているわけではないですが、場所の違いで見られるチャンネルが変わってくるなら、現在のペイチャンネルの考え方が当り前になってきている今であればなお、東京と青森が同じ受信料を取っているのはおかしいのではないかと思う人が出てきてもおかしくないでしょう。

ただ、こうしたTVチャンネルの地域差における大きな問題として、昔から今まで常に問題にされてきたものとして、「テレビ東京系列の番組がリアルタイムで見られない地域が多くある」というものがあります。かくいう私の住む静岡県内にもテレビ東京系の地方局はありませんので、このブログで取り上げたいテレビ東京の番組は多くあるのですが、リアルタイムで見られない事で、他のチャンネルのように取り上げづらいという問題が起こっています。

ちなみに、現在テレビ東京の番組がリアルタイムで見られるのは、北海道・関東・愛知・大阪・岡山・香川・福岡・佐賀(佐賀県と徳島県については地方局がなくても隣県で見られるなどの条件を考慮してあります)で、残りの地域では見られないわけですが、例えば静岡県であっても神奈川県に近い熱海や伊豆などではアンテナを向ければ映ってしまうような場所はあるものの、私の住む地域では全く見られないなど、同じ県でも差がある場合も出てきます。

こうした民放局の「地域格差」を無くすために衛星放送(BS)開始の時に期待されたのが、地上波アナログの難視聴地域対象に作られた東京地区で流れている地上波アナログ放送をBSのチャンネルで常時同時配信するチャンネルでした。ただ、このチャンネルを見るには地上波が見られない地域に住んでいることを証明して申請することが必要で、もしその申請が通ったとしても同時配信するチャンネルを全て見られるわけではありませんでした。もし申し込んだ人の住んでいる地域でテレビ東京が見られなかったとしたら、ご丁寧にテレビ東京のチャンネルだけスクランブルが掛けられて見られなくなってしまっていたのでした。

最初に書いたHNKの受信料が全国一律であるということから考えると、当時からBSのアンテナと専用テレビを持っている日本国内に住んでいる人に関してはこれら東京で見られるチャンネルを全て見られるようにするのが公平と言えそうな気もするのですが、そういう事を許すと地元の地方局の経営が圧迫されるからということで、護送船団方式で全国の地方局が守られてきたということですが、それでも常にリアルタイムで見られないチャンネルだけはスクランブルを掛けずに見せるべきでなかったかと私は思います。

そうした流れのせいもあり、テレビ東京が地上波でリアルタイムに見られないという状況は今のデジタルテレビの時代にも続いています。この件については、全く同じ時間に同じ番組を放送するわけではないので、地方局の営業阻害とは関係ないことです(静岡のテレビ局はテレビ東京の番組を買って週末などに一気に放送していますが、そんな事をしなくても済む分、むしろ地方局の経費削減にはいい影響も出るのではないかと思います)。このようなテレビに関するブログをやっていても、地方在住であれば見られる番組に制限がかかり、同じ事をやっている人がいたとしたら、それだけでハンデになってしまうからです。

ここまで前置きが長くなりました。しかし、こういった状況を知った上でこれから書くことを読んでいただけると、違った感想になってくるのではないかという考えの元で書かせていただきました。本日のドラマの内容は、落語「時うどん」を笹野高史さんが再現して素晴しかったのですが、ドラマが終了して次週案内のために出てきたのが、女義太夫の芸人リリコに扮した広瀬アリスさんと、主人公の親戚で、京都の薬種問屋に奉公している手代の風太に扮する濱田岳さんでした。

夫婦漫才のような感じで、濱田岳さんはご丁寧にびくと釣り竿を携えています。二人は来週のあらすじの紹介し終えると、濱田岳さんがいきなり「チヌ釣りに行こう」と急にごねだし、広瀬アリスさんがビンタを食らわすという知っている人にはおなじみのネタを披露して番組は終了したのですが、この時、ネットの実況を見ていると多くの人はそのネタ元をご存知だったものの、全くそのネタを知らない人にとっては、何故唐突にこの二人が仲良くなってるの? と疑問を持った方もいたようです。

普通にこのドラマだけ見ていれば風太と近い関係なのはむしろ同じ店で奉公しているトキに扮する徳永えりさんの方ですので、制作者の意図がわからないと思われても仕方のない面もあります。しかし、広瀬アリスさんと濱田岳さんが、テレビ東京のドラマ「釣りバカ日誌 新入社員 浜崎伝助」で恋人関係から新婚の夫婦役になっているのを知っていれば、あのままの調子で演技されていたこともあり、ここに「テレビ東京とNHKとのコラボ」が実現していたということがわかり、余計に楽しめたというわけです。

しかし、ここで大きな問題になるのが最初に紹介した通り、テレビ東京の番組は全国一律で見られるものではないということです。私自身はテレビ東京のドラマは、地方局が購入したものを時間差で見たり、ネット配信されたものを見ているということはあるものの、リアルタイムには見ることはできません。ただ、視聴率とは関係なく地道にいいドラマを作るなという感じはあります。それは、出演料の関係で人気絶頂の俳優やアイドルを使えない分、地道なキャスティングをすることでカバーし、安心して見られるように作られているという風に思われるからです。ただ、それにしてもテレビ東京が全く見られない地域については「釣りバカ日誌 新入社員 浜崎伝助」という、有名な同名映画をスーさん役を映画では浜ちゃんを演じた西田敏行さんが演じる形でリメイクしたドラマが放送されていたことすらも知らない人が今朝ドラを楽しみに見ている人の中にもいると思います。

個人的にNHKの大阪放送局に対して改めて問いたい事というのは、このような日本全国に届く放送を毎日行なっている中で、日本全国どこでもテレビ東京系列の放送がリアルタイムで見られる人ばかりだと思ってテレビ東京のドラマ内コラボを実現したとでも言うのかということです。

少なくとも今回の放送によって、私の中では半ば眠っていたテレビ視聴に関する地域格差の存在を思い出し、こんな形で爆発してしまいました。NHK大阪放送局は寝る子を起こしてしまったということになります。先日は来年の朝ドラでも企業のPRのような題材を扱うということで批判させていただいたばかりですが、この調子では来年の今頃にも何をしでかすかと考えると、ブログのネタを提供してくれる点ではありがたいですが、あまりつっ走り過ぎてもどうかと思います。

それこそ、将来的にNHKがネットで同時配信をするというなら、テレビ東京の見られない地域限定でも(もちろん、他の民放ネットが整っていない地域での民放も)NHKに加えて地上波で見られない同局の番組を常時同時ネット配信することが実現されなければ、今後も今回のように不平等な番組同士のコラボが生じる恐れも出てきます。そんな議論が出てくれば、改めてネットでの常時同時配信自体に影響が出るような騒動も起こりかねない今回のNHKの所業であったことは確かではないでしょうか。

(番組データ)

連続テレビ小説 わろてんか(42)「風鳥亭、羽ばたく」NHK総合
11/18 (土) 8:00 ~ 8:15
【出演】葵わかな,松坂桃李,大野拓朗,岡本玲,兵動大樹,藤井隆,内場勝則,笹野高史,高橋一生,鈴木京香
【作】吉田智子

(番組内容)

てん(葵わかな)と藤吉(松坂桃李)は風鳥亭の存続をかけ、文鳥(笹野高史)の特別興行を開催した。伊能(高橋一生)の助言で新聞にも取り上げてもらい、風鳥亭にはこれまでで一番大勢の客が押し寄せた。ところが高座に上がった文鳥が前座噺(ばなし)の『時うどん』をやると言うと、文鳥の十八番を期待していた客たちは驚いて騒ぎ出す。だが噺(はなし)が進むにつれ文鳥の巧みな芸に引き込まれ、寄席は爆笑に包まれてゆく。


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